コラム

アフィリエイトの1PVは0.1円から417円まで。掲載33件を並べたら、単価を決めていたのは書き手ではなかった

成果報酬(アフィリエイト)を主な収益源にする掲載事例33件(国内20・海外13)を数えた。月商とPVが両方あるものでは、1PVあたり収益は0.1円から417円まで4,000倍の幅があり、中央値は約4円。差を作っていたのは記事の質ではなく広告主の獲得単価だった。9件が5割以上の下落を記録している。

執筆: Small Start 編集部(掲載事例を1件ずつ数えています。事実は出典に、見立ては編集部に帰属します)
アフィリエイトの1PVは0.1円から417円まで。掲載33件を並べたら、単価を決めていたのは書き手ではなかった

2日前に、サイト売買で売れたAdSenseブログ225件を数えて1,000PVは386円と書いた。クリック課金の側の数字である。今回はもう一方、成果報酬の側を数える。掲載事例のうち、アフィリエイト(読者が申し込んだり買ったりしたときに広告主から報酬が入る形)を主な収益源として実数を公開している事例を1件ずつ拾うと、国内20件、海外13件の33件になった。集計の母数は自分たちで書いた記事で、数字はそれぞれの記事の出典欄に遡れる。

先に結論の形だけ言う。同じ「アフィリエイト」で、1PVの値段は0.1円から417円まであった。4,000倍である。AdSenseの225件は下から上まで13倍だった。桁が3つ違う。そしてこの幅は、記事の上手さでは説明がつかない。

33件の月商、中央値は140万円。上下には1,700倍ある

まず月商の分布から。運営中で月商の実数があるのは国内17件、海外2件の19件で、中央値は140万円だった。マクリンの数字である。国内17件に絞っても中央値は変わらない。その下に月商100万円ちょうどが3件並ぶ。Tsuzuki Blog、manablog、ユニコブログで、月商100万円に着いた3人で書いたとおり、この金額は公開したくなる金額であって、到達した金額の分布ではない。

上はクロネコ屋氏の年収1億200万円(月平均850万円)、クニトミ氏の月484万円、イケダハヤト氏の月405万円、ガジェマガの月378万円、サンツォ氏の月377万円。下はでらこブログの月1.7万円、旅ブログ「シングルトラベラー」の月5,000円。上から下まで1,700倍ある。

1PVの値段は、0.1円から417円まで

月商と月間PVが両方分かる18件で、月商をPVで割った。海外はドルを150円で換算している。

事例月商月間PV1PVあたり
Fin vs Fin(ウェルネス比較)約$83,0003万訪問約417円
eBiz Facts(情報商材レビュー)$4,199約3万約21円
WorldofTablet(タブレット)$5,500約6万約14円
ブログの神様(ブログ運営術)53,232円6,4998.2円
らふらく^^(副業・投資)191万円25.6万7.5円
Career Sidekick(転職)$50,000100万訪問7.5円
ガジェマガ(ガジェット)378万円59.5万6.4円
Own The Yard(庭)$6,00020万セッション4.5円
Tsuzuki Blog 6ヶ月目(VOD)68,728円20,9173.3円
でらこブログ 2年目(生活)年203,000円年76,6582.6円
マクリン(ガジェット)140万円60万2.3円
manablog(プログラミング)100〜150万円50万2〜3円
まだ東京で消耗してるの?(雑記)405万円218万1.9円
クラシキログ(ガジェット)151,637円12万1.3円
孤高の旅人(釣り・旅)30万円50万0.6円
ブログの神様 第1サイト(漫画考察)46,801円31万0.15円
シングルトラベラー 現在(旅行)5,000円5万0.1円

TravelMamasは月20〜35万PVで$15,000なので6〜11円のどこかにあり、表では省いた。18件の中央値はおよそ4円、国内だけなら2.4円。AdSenseブログ225件の中央値は1PV0.39円だったから、成果報酬の1PVはクリック課金の10倍で売れている。掲載事例に月間350万PVで1PV0.5円という広告メディアの天井があるが、この表の上半分はその10倍から800倍の位置にいる。

国内ブログの1PVあたり収益(月商÷月間PV)

シングルトラベラー(旅行) 0.1円 孤高の旅人(釣り・旅) 0.6円 クラシキログ(ガジェット) 1.3円 マクリン(ガジェット) 2.3円 Tsuzuki Blog(VOD) 3.3円 ガジェマガ(ガジェット) 6.4円 らふらく^^(副業・投資) 7.5円 ブログの神様(ブログ術) 8.2円
掲載事例の本人公開値から算出。海外の比較サイトFin vs Fin(約417円)は目盛りに収まらないため図から外した

表を上から読んで気づくのは、ジャンルが並び順そのものになっていることだ。上にあるのはウェルネスの高額コーチング、情報商材、転職、副業と投資、ブログ運営のツール。下にあるのは旅行、釣り、漫画考察、雑記。ガジェットは2.3円から6.4円の真ん中に3件固まっている。ブログの神様の事例が決定的で、同じ人が書いた2つのサイトで単価は0.15円と8.2円、55倍違う。しかも書く力で言えば340本を書いて31万PVまで持っていった第1サイトのほうが上で、収益は月4.7万円で止まった。単価は文章の腕ではなく、読者が読んだあとに買うものの値段で決まっている。

単価の正体は、広告主が1人の客に払える金額

なぜジャンルで単価が決まるのか。記事の中に、1件あたりの報酬額がいくつか残っている。

18,000円と300円で60倍。この差は書き手が交渉して作ったものではない。取引所は1人の口座開設者から取引手数料を長く取れるから18,000円払え、旅行会社は資料請求1件から取れる利益が薄いから300円しか払えない。成果報酬の単価とは、広告主が「1人の客を連れてきた人」に払ってもいいと考える金額であり、それは広告主の側で顧客の生涯価値から逆算されている。書き手が記事を書き始めた日には、もう決まっている数字だ。

このメディアに常設の持論がある。値段を決めているのは、売り手が作ったものではなく買い手が誰か、というものだ。売却額の集計から出てきた話だったが、アフィリエイトの単価はその小型版で、ここでの買い手は広告主である。Fin vs Finが月3万訪問で年商$1Mを立てられたのは、読者が高額なコーチングを買う人で、広告主が300社以上並んでその1人に高い値を付けていたからだ。

ここからは推測だが、この構造は個人が文章で収益を得るときの上限をほぼ一人で決めている。PVを10倍にする努力と、単価が10倍のジャンルに最初から座る選択は、数字の上では同じ働きをする。前者は数年かかり、後者は最初の記事を書く前に済む。

33件のうち9件が、5割以上の下落を数字で残している

上がった数字だけを並べると、この集計は嘘になる。33件の中で、本人または買い手が5割以上の下落を実数で書いている事例を数えた。9件ある。

事例下落の中身
きぐち氏年収3,000万円→1億円超→3,000万円。「8割の記事が下がった」
クロネコ屋氏2017年2月のアップデートで月900万円→300〜400万円
クニトミ氏最高1,200万円、直近は300〜500万円
ガジェマガ月66万PV→16万PV(10ヶ月で4分の1)
シングルトラベラー月120万円→コロナ禍で0円→月5,000円
BitVirtual月30万円→翌年末に月数千円(約98%減)。送客単価も同時に引き下げ
Fin vs Fin検索流入50%減で収益50%減、利益75%減
Pack Hackerコロナ禍でトラフィック6割減
Investor Junkie買い手が$5.8Mで買った資産を5年後に$1.3Mで転売

ほかにTsuzuki氏は主力記事が1位から5位に落ち、manablogは3サイトのうち2サイトを閉鎖している。33件のうち11件に、下がった記録がある。

落ち方に共通点がある。**PVが半分になったとき、収益は半分では止まらない。**Fin vs Finは流入50%減で利益75%減、BitVirtualはトラフィックと送客単価が同時に下がって98%減。アフィリエイトの月商は「PV×成約率×単価」の掛け算で、この3つの変数のうち、順位はGoogleが、単価は広告主とASPが、成約率は商材が持っている。書き手の手元にあるのは記事だけで、記事は3つのどれも直接には動かせない。ヒトデ氏の対談に「好調時はASPに相談すると特別単価の提案が出るが、不調時は単価を下げられることもある」とあるのは、この掛け算の3項目めまで他人の手にあることの証言だ。

編集部の読みを書いておく。この11件は運が悪かった11件ではない。むしろ数字を長く公開し続けた人ほど下落の記録が残るので、公開期間の長さと下落記録の有無はほぼ同じものを測っている。残りの22件に下落の記録が無いのは、下がっていないからではなく、下がる前の時点の数字しか公開されていないからだ。

売れたのは21ヶ月分から60ヶ月分まで。差を作ったのはここでも買い手だった

33件のうち売却で終わった事例は13件で、売却額と月間収益の両方から倍率が出せるのは6件ある。

事例売却額倍率買い手
WorldofTablet$115,000月商の約21ヶ月分個人(複数サイト保有)
WFH Advisor6桁ドル月間収益の34倍Empire Flippers経由
Own The Yard約$250,000月次収益の40倍非公開
Fin vs Fin7桁ドル年間利益の3倍ファミリーオフィス
CBWG$25M売上の5倍(60ヶ月分)XLMedia(上場アフィリエイト企業)
老人ホーム情報サイト140万円月間利益の81ヶ月分非公開(ラッコM&A)

英語圏の個人サイトが21〜40ヶ月分に収まるのは、売れたAdSenseブログ225件の中央値19.4ヶ月(掲載価格ベース)や掲載売却事例20件の中央値25ヶ月と同じ帯である。そこから外れているのが上下の2件で、CBWGは上場アフィリエイト企業が「これから解禁される州の検索面」を先回りで買ったから60ヶ月分、老人ホーム情報サイトは月1.7万円の利益ではなく施設台帳という構造を買われたから81ヶ月分になった。倍率が飛ぶのは事業が優れていたときではなく、買い手が月商以外のものを見ていたときである。

買い手の顔ぶれも書いておく。Investor JunkieとCBWGはXLMedia、Budgets Are SexyはMotley Fool系、転職アンテナは上場企業ログリーで7億円にアーンアウト最大3億円。金融・転職・賭博という単価の高いジャンルには、送客を本業にする上場企業が買い手として常に控えていて、そこに届いた事例だけが7桁ドル、億円の桁に乗っている。一方でLiving Cozy、Root + Revel、WorldofTabletの買い手は個人で、6桁ドルで止まる。売却額の桁を決めたのも、記事ではなく、そのジャンルを買う会社が存在するかどうかだった。

戻った人は、アフィリエイトを原材料にして別のものを作っていた

下落を記録したあとに前の水準を超えた記録を持つのは、33件の中でクロネコ屋氏の1件だけである。戻し方が、アフィリエイトの収益を伸ばしたのではなかった。同じ動きを下落の前から済ませていた事例が、ほかに4件ある。

クロネコ屋氏は年収5,000万円まで落ちたあと、10万円超の講座を500本以上売って1億200万円へ戻した。講座の中身は、アフィリエイトで月900万円に届いた経験と、アップデートで沈められた経験そのものである。サンツォ氏は7サイトの上にオンラインサロンを足し、収益の一部を検索の外に出した。イケダハヤト氏の月405万円は、アフィリエイト200万円にnote販売107万円が並んでいた。Pack Hackerは谷の中で会員制を試し、ガジェマガはYouTubeを足した。

これを「収益源の分散」と呼ぶのは、少し違うと思っている。分散なら同じ種類の収益を複数持てばいい。残った人たちがやったのは、アフィリエイトで得た経験と読者を材料に、単価を自分で決められる商品(講座、サロン、有料記事)へ移すことだった。単価を広告主に握られている事業から、単価を自分で書ける事業へ。33件の中でこの移動を最後までやり切った記録があるのはクロネコ屋氏だけで、だから前の水準を超えた記録も1件しかない、と読んでいる。

数え方と限界

33件は、掲載事例の本文と frontmatter を読んで「主な収益がアフィリエイトである」と編集部が判断したものだ。AdSenseと併用している事例は多く、Own The Yardのようにディスプレイ広告と半々のものも含む。逆にHalf Marathon GuideはAdSense一本足なので外し、BarBendは正社員15人の体制なので外した。境界線は編集部が引いている。

数字はすべて本人の公開で、ASPの明細や振込画像まで出しているのはユニコブログなど少数である。ひつじ氏の月170万円は「発生」であって「確定」ではなく、本人がそう区別して書いている。1PV単価の表は、月商の月とPVの月が同じ記事内で対応しているものだけを使ったが、らふらく^^のようにいつの月かが明示されていないものも含む。

母集団は「収益を公開したくなった人」で、下落を書いた11件も「下落を公開できる立場にある人」である。月商が上がったから公開し、下がっても公開し続けられるのは、既にその数字で食べていない人か、下落そのものが次の商品になる人だ。前の節のクロネコ屋氏は、後者にあたる。

書き手が動かせるのは、最初の1行だけだった

数え終わって残ったのは、単価の表の並び順が最初から決まっていたという感触である。0.1円と417円の間にある4,000倍は、記事を書く前の、何について書くかという1つの選択で大半が決まっていた。書いたあとに動かせるのはPVで、PVは順位が持っていて、順位はGoogleが持っている。単価は広告主が持っていて、成約率は商材が持っている。

アフィリエイトという事業で書き手の手元にあるのは、最初に座る場所を選ぶ権利と、そこで得た経験を別の商品に変える権利の2つだけだと、この33件を並べて思った。それ以外の変数は全部、他人の机の上にある。

出典

本記事は上記の公開情報の要約と独自分析です。 詳細は必ず出典をご確認ください。

本コラムは、Small Startに掲載している事例(すべて出典付きの公開情報)の集計と、公開情報の分析にもとづく編集部の見解です。特定の事業・投資・副業を推奨するものではありません。

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