AdSenseは1,000PVで386円。ラッコM&Aで売れたブログ225件から、PVと収益の距離を測った
ラッコM&Aで成約済みのAdSense収益ブログ240件を数えた。PVと売上が両方ある225件で、1,000PVあたり売上の中央値は386円、半分が200〜800円に収まる。30万PVを超えると単価は下がり、100万PV以上では179円。売却額は月間売上の19ヶ月分だった。
このメディアには、売却額が100万円以下の案件を載せないという基準がある。小規模すぎるからで、基準そのものは今も正しいと思っている。ただ、この基準の外側に落ちているものが何かは分かっていた。ラッコM&Aの成約一覧である。以前29件を記事にして、全部この基準で下げた。1件ずつでは載らない案件でも、240件まとめれば分布になる。それを確かめるために、今回は他人の台帳を自分で数えた。
数えたのはラッコM&Aで「adsense」の語を含み、種別がWebメディア(ブログ・アフィリエイトサイト)で、成約済みになっている案件、全12ページ240件。2026年9月26日時点である。各案件には成約価格のほかに、売主が申告した売上/月・利益/月・PV/月が載る。このうちPVと売上が両方1以上の225件を対象にした。
最初に見たかった数字は1つだけだった。1,000PVはいくらの売上になるか。ブログを書く側は誰でもこの換算を頭の中に持っていて、誰の換算も少しずつ違う。225件の中央値は386円だった。手が止まったのは中央値ではない。PVが多い案件ほど、この単価が低かったことである。
1,000PVは386円。半分の案件が200円から800円の間にいる
売上/月をPV/月で割って1,000倍した値を、広告の慣例に合わせてRPMと呼ぶ。225件の分布は次の通り。
| 十分位 | 10% | 20% | 30% | 40% | 50% | 60% | 70% | 80% | 90% |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| RPM(円) | 108 | 201 | 267 | 326 | 386 | 497 | 629 | 940 | 1,436 |
中央値386円、四分位は235円と778円。全体の56%が200円から800円の帯に入る。上下の1割はそれぞれ108円未満と1,436円超で、下から上まで13倍ある。
13倍と聞くと「PVで収益は読めない」と言いたくなるが、それは違う。PVと売上を両対数で回帰すると傾きは0.95、相関係数は0.86だった。PVが10倍なら売上はおよそ9倍になる関係が、225件のほぼ全域で成り立っている。つまりPVは売上を決めるいちばん強い変数で、13倍の幅はその周りのばらつきである。ばらつきの正体は後で見る。
編集部の読みを先に言えば、386円はブログ運営者が心の中で持っている単価より低い。当サイトの掲載事例で言えば、月収100万円に14年かけた個人開発者が422万PVで100万円、つまり1,000PVあたり237円だった。主婦ブログの2年目は76,658PVで年20万3,000円、RPMにして2,648円。AIで記事を量産したトリヴィペディアの再始動1ヶ月目は1万971PVでRPM164.81円だった。この3件は同じ「広告収入」でも桁が違い、ラッコM&Aの225件はその間の、下寄りに分布している。
30万PVを超えると、1PVは安くなる
PVの帯ごとにRPMの中央値を取ると、こうなった。
| 月間PV | 件数 | RPM中央値 | 月間売上の中央値 | 成約価格の中央値 |
|---|---|---|---|---|
| 1万未満 | 57 | 417円 | 1,102円 | 12万円 |
| 1万〜5万 | 79 | 388円 | 8,607円 | 24万円 |
| 5万〜10万 | 31 | 430円 | 32,530円 | 44万円 |
| 10万〜30万 | 36 | 420円 | 84,657円 | 89万円 |
| 30万〜100万 | 16 | 258円 | 128,734円 | 122万円 |
| 100万以上 | 6 | 179円 | 248,267円 | 310万円 |
月間PV帯別の1,000PVあたり売上(中央値)
30万PVまでは、帯が変わっても中央値が390円から430円の間で動かない。PVが1万でも20万でも、1,000PVの値段はほぼ同じである。それが30万PVを超えると258円に落ち、100万PVを超える6件では179円になる。件数が少ない帯なので6件の179円を確定値としては扱わないが、16件の258円と合わせて方向は同じで、PVが積み上がるほど1PVは安く売られている。
理由は案件の題材にある。100万PVを超える6件の題材は、漫画のネタバレ、ドラマと芸能、占い、海外の反応、SNS発の体験談連載で、検索やSNSから大量の流入を短時間で集めるかわりに、広告主から見たクリックの値段が低い。逆に1万PV未満の帯でRPMが417円と高めなのは、住宅設備のアフィリエイト、美容、車、金融のように成果報酬や高単価の題材が混じるからで、そちらは1PVが高い代わりにPVが集まらない。この分け方は次の節で案件の申告どおりに確かめる。
AdSenseだけの案件は476円、アフィリエイトを併用すると557円。ただし旧区分の142件は348円
「adsense」で検索しても、AdSenseだけで収益を立てている案件とは限らない。案件ごとの詳細に載る「収益モデル」の欄で分けると、こうなる。
| 収益モデル(売主の申告) | 件数 | RPM中央値 | 月間PVの中央値 | 倍率(月数)の中央値 |
|---|---|---|---|---|
| 広告(旧区分・内訳なし) | 142 | 348円 | 36,914 | 21.6ヶ月 |
| CPC/CPM広告のみ(AdSense等) | 41 | 476円 | 38,277 | 9.9ヶ月 |
| CPC/CPM広告+アフィリエイト併用 | 36 | 557円 | 13,986 | 18.0ヶ月 |
| アフィリエイトのみ | 4 | 4,903円 | 1,070 | 127.8ヶ月 |
見てのとおり、この欄は途中で作りが変わっている。2023年までの成約案件はすべて「広告」の一語で、内訳が「CPC/CPM広告」「アフィリエイト広告」に分かれた表示になるのは2024年以降の案件だけである(2025年は94%が新区分)。つまり最初の行は「AdSense以外を含むかどうか分からない142件」で、2行目以降が「分かる83件」だ。
分かる範囲で言えば、AdSenseなどのクリック課金だけで運営されていた41件のRPMは476円、四分位は254円と786円だった。全体の386円より高い。アフィリエイトを併用する36件は557円でさらに高いが、PVの中央値が1.4万と小さく、成果報酬が数件入るだけで単価が跳ねる帯にいる。アフィリエイトだけの4件は中央値4,903円で、これはもう別の商売の数字である。RPMの上位1割に集まっていたのはこの併用型と、アフィリエイト型だった。
題材で分けると差はもっとはっきりする。カテゴリにエンタメ・芸能・トレンド、ゲーム・漫画・アニメ、海外の反応、スポーツを含む148件のRPM中央値は370円、それ以外の77件は464円。ただし前者はPV中央値4.6万、後者は1.3万で、規模は3.6倍違う。30万PV以上の22件のうち86%がエンタメ系で、1万PV未満の57件では42%だった。PVを集める題材と、1PVが高い題材は、ほとんど重なっていない。
もう1つ、詳細から拾える数字がある。記事数の中央値は219本、四分位は106本と452本。PVを記事数で割ると1記事あたり月128PV、売上に直すと1記事あたり月74円、成約価格に直すと1記事あたり1,500円だった。運営開始から成約までの期間は中央値15ヶ月で、四分位は9ヶ月と36ヶ月。売られたAdSenseブログの半数は、開設から1年と少しで手放されている。
売却額は月間売上の19ヶ月分。月1万円未満の案件だけ、60ヶ月分で売れている
成約価格を月間売上で割ると、売却額が「売上の何ヶ月分」かが出る。225件の中央値は19.4ヶ月だった。四分位は10.2ヶ月と53.9ヶ月で、ここも幅が広い。幅の正体は売上の大きさである。
| 月間売上 | 件数 | 成約価格の中央値 | 倍率(月数)の中央値 |
|---|---|---|---|
| 1万円未満 | 94 | 15万円 | 59.8ヶ月 |
| 1万〜5万円 | 65 | 35万円 | 14.8ヶ月 |
| 5万〜10万円 | 34 | 79.5万円 | 10.9ヶ月 |
| 10万〜30万円 | 26 | 153万円 | 9.5ヶ月 |
| 30万円以上 | 6 | 264万円 | 6.9ヶ月 |
月1万円に届かない94件は、売上の60ヶ月分、つまり5年分の値段で売れている。月10万円を超えると9〜10ヶ月分に落ちる。同じサイト売買の中で倍率が6倍違う。
これを「小さい案件ほど割高」と読むのは正しくない。月1万円未満の案件の成約価格の中央値は15万円で、買い手はそこに5年分の広告収入を見込んで払ったのではない。ドメインの年齢、記事の本数、AdSenseの審査が通っている状態を買っている。値段を決めているのは売上の何倍という計算ではなく、買い手がそのサイトを何として買ったかである。月1万円未満なら「始めるための土台」、月10万円を超えると「収入」で、後者になった瞬間に倍率は当サイトの掲載事例で出した日本の売却20件の中央値7.8ヶ月に近づく。
もう1つ、成約価格をPVで割った値も出しておく。中央値は月間1PVあたり9.2円だった。10万PVのサイトなら92万円という計算になり、上の表の10万〜30万PVの帯の中央値89万円とほぼ一致する。
売られたサイトの4割は、最高月の半分以下の売上で売られていた
売主の申告には直近の売上/月のほかに、期間中の平均と最高が付く。直近を最高で割った値の中央値は0.66で、39%の案件が最高月の半分以下の売上で成約している。売り時が「伸びている最中」なのは残りの6割で、それも直近が平均を上回る案件は49%と半々だった。
利益のほうは、売上とほぼ同じ数字である。利益/月を売上/月で割った中央値は0.956、26%の案件は利益と売上が同額だった。サーバー代とドメイン代しか原価が無い事業の帳簿はこうなる。買い手にとってこれは「利益率95%」ではなく、費用が書かれていない、と読むほうが安全で、記事の外注費や自分の作業時間はこの数字の外にある。
成約までの日数の中央値は18日、四分位は7日と39日。掲載から1週間以内に決まった案件が26%ある。
2021年から2025年で、1PVは2倍になり、倍率は半分になった
成約年ごとに並べると、単価と倍率が逆向きに動いていた。
| 成約年 | 件数 | RPM中央値 | 成約価格の中央値 | 倍率(月数)の中央値 |
|---|---|---|---|---|
| 2021 | 23 | 230円 | 42万円 | 21.2ヶ月 |
| 2022 | 37 | 384円 | 45万円 | 27.6ヶ月 |
| 2023 | 45 | 357円 | 35万円 | 28.3ヶ月 |
| 2024 | 51 | 464円 | 38万円 | 15.2ヶ月 |
| 2025 | 47 | 494円 | 19万円 | 12.8ヶ月 |
| 2026(8月まで) | 19 | 488円 | 24万円 | 15.6ヶ月 |
2020年は3件しかないので表から外した。RPMの中央値は2021年の230円から2025年の494円へ、2倍を超えて上がっている。同じ期間に倍率は21ヶ月から13ヶ月へ落ち、成約価格の中央値は42万円から19万円に下がった。
最初は題材の入れ替わりで説明できると思っていた。数えると外れた。エンタメ系の比率は年によって55%から80%の間を行き来していて、方向が無い。確かに言えるのは案件が小さくなったことで、成約案件のPV中央値は2021年の6.3万から2025年の1.6万に落ちている。ただし前の節で見たとおり30万PV未満ではRPMがほぼ平らなので、小型化だけでは単価の上昇を説明できない。ここからは推測だが、クリック単価そのものが上がったのか、売主が申告する売上の取り方が変わったのか、この台帳だけでは切り分けられない。倍率の低下のほうは読みやすい。買い手が広告収入を以前ほど長く続くものとして値付けしなくなった、ということで、検索アルゴリズムの更新でPVが落ちる案件を買い手側が何度も見てきた結果だと編集部は見ている。
数え方と、この数字の限界
対象はラッコM&Aの成約一覧で、検索語「adsense」を含む案件だけである。売主が案件文に「AdSense」と書かなかったブログは入っていないし、逆にアフィリエイトが主でAdSenseは補助という案件も、語が含まれていれば入っている。RPMの上位1割にはその後者が集まっていて、通信系のアフィリエイトサイトが1,000PVあたり4万円を超える案件もあった。中央値はこの混入に強いが、平均は使えない。だからこの文章に平均値は1つも出していない。
売上・利益・PVはすべて売主の申告で、ラッコM&Aが監査した数字ではない。GA連携やサーチコンソール連携のバッジがある案件は一部の数字を実データから引いているが、全件ではない。この点で、本人が自分のブログに書いた収益公開を出典にする当サイトの事例記事より、出典としての格は一段低い。数字は個別の案件のものではなく、分布として読むために使っている。
母集団は「売れた案件」である。売りに出て売れなかったサイト、そもそも売りに出ないサイトは入っていない。売れたということは、買い手が値段を付けられる程度には数字が整っていたということで、この225件はAdSenseブログ全体より、数字の見栄えが良い側に寄っている。当サイトの掲載事例が「公開したくなった数字」に偏っているのと同じ構造で、公開している数字は公開する理由があった数字だという前提はここでも変わらない。
個別の案件名や案件文はこの記事に引いていない。数字を集計に使うことと、他社の案件文を転載することは別で、後者はやらない。
PVを数えているのは書き手で、PVの値段を決めているのは題材だった
数え終わって残ったのは、単価の中央値ではなく、単価がほぼ平らだったことのほうである。1万PVから30万PVまで、1,000PVの値段は400円前後から動かなかった。PVを10倍にしても1PVは高くならず、30万を超えたところで安くなる。ブログのPVは、増やせば増やすほど1件あたりの価値が上がる種類の資産ではなかった。
その一方で、13倍の幅を作っていたのは題材だった。住宅設備や美容や金融の1PVと、芸能まとめの1PVは、同じAdSenseの管理画面に並んでいても値段が違う。書き手が動かせるのはPVで、単価を動かしているのは何を書くかの選択で、その選択は最初の記事を書いた日に済んでいる。386円という数字は、その選択を後から数えた結果に過ぎない。
出典
- 報道ラッコM&A 成約事例一覧(Webメディア、検索語「adsense」、成約済み、全12ページ。2026年9月26日閲覧。各案件の売上/月・利益/月・PV/月・成約価格・成約期間は売主の申告値)
- 本人公開Small Start データ集計(月商・売却額・倍率の定義は「数字の読み方」)
本コラムは、Small Startに掲載している事例(すべて出典付きの公開情報)の集計と、公開情報の分析にもとづく編集部の見解です。特定の事業・投資・副業を推奨するものではありません。
ほかのコラムを読む →