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Living Cozy:SaaS6連敗のあとに作った月35万PVのインテリア比較サイト、3年で6桁ドル売却

Ash Read氏はソフトウェア6社に失敗したあと、週末にWebflowで作ったインテリア比較サイトLiving Cozyを月35万PV・利益率80%まで育て、2023年にFlippa経由で6桁ドル売却した。転機は「作る側」を諦めて自分の10年の技能に寄せた判断である。

執筆: Small Start 編集部(公開情報の要約+独自分析)

Living Cozy:SaaS6連敗のあとに作った月35万PVのインテリア比較サイト、3年で6桁ドル売却

7回目にして当たった

Ash Read氏は、Living Cozyを立ち上げる前に**6つのソフトウェア会社を作って、どれも離陸しなかった。**開発者と組んでコンテンツ分析ツールを作ろうとした案件は、その開発者がVC出資のスタートアップへ移って終わった。残る5つのSaaSも「まったく軌道に乗らなかった」。

その裏で彼が10年間やっていたのは、ソフトウェア企業向けのコンテンツマーケティングとSEOだった。2020年、SNS運用ツールのBuffer.comに勤めながら、彼は7つ目の事業を始める。今度はソフトウェアではなく、インテリア・生活雑貨の比較レビューサイトだった。

3年後の2023年、Living Cozyは月間35万PV、メール登録4,500人、利益率およそ80%、提携ブランド約100社という状態でFlippa経由で売却された。売却額は6桁ドル(数千万円規模)、買い手は2人のオンライン起業家である。

立ち上げから売却までの3年

時期出来事
2020年Buffer在職中に着手。Webflow(ノーコード)で週末1回でサイトを構築
開始から6週間初のアフィリエイト成果。読者が寝具を購入
開始から約6ヶ月(2020年半ば)月間PVが数万に到達。記事はすべて本人が執筆
月商が数千ドル規模になった頃外部ライターを起用開始
2022年11月副業から専業へ移行
2023年月35万PV、メール4,500人、利益率約80%、提携ブランド約100社
2023年Flippaに出品。交渉5ヶ月を経て6桁ドルで売却

初報酬までの6週間と、まとまったPVまでの6ヶ月。この2つの数字が、6つのSaaSでは一度も出せなかったものである。

何を売っていたのか

出発点になった観察は具体的だ。インテリア・生活雑貨のD2Cブランドが、従来の小売チャネルを通さずにFacebookとInstagramの広告だけで成長している。Read氏が見ていたのはこの動きだった。Living Cozyはそうしたブランドを取り上げるキュレーションリストとして始まり、商品レビュー中心のメディアへ育っていく。収益は提携ブランドへのアフィリエイトである。

編集部の見立てを書いておくと、この領域選びには構造的な合理性がある。広告経由でしか露出していないブランドは、検索する側から見ると**「実物を確かめた第三者の情報がどこにもない」**状態にある。需要はあるのに供給がない。しかも寝具や家具は単価が高く、購入前に何日も比較される商材だ。比較記事が置かれる場所として、これ以上ないほど条件が揃っている。

転機は「作る側を降りた」判断

この事例の転機は、施策ではなく自己認識の変更にある。Read氏の言葉が明快だ。

ソフトウェア会社を作る人たちをずっと尊敬してきた。でも、自分の強みで戦うのが最良の道だった。(要旨)

自分の強みに素直に寄りかかることを学ぶのに、けっこう長い時間がかかった。(要旨)

前後の数字を並べると、この転換の効き方がはっきり出る。

ソフトウェア期(6社)Living Cozy
期間約10年のあいだに6社3年
初収益まで到達せず6週間
到達点いずれも離陸せず月35万PV、6桁ドルで売却
本人の技能との距離遠い(開発・プロダクト)一致(SEO・コンテンツ)

**同じ人間が、事業の種類を変えただけで結果が反転している。**能力が伸びたわけではない。使う筋肉を変えただけだ。

第二の転機は2022年11月の専業化である。副業のまま2年半回した後にフルタイムへ移り、それによってブランドとの関係構築に踏み込めるようになった。提携ブランド約100社という規模は、記事を書くだけでは届かない領域にある。

伸びた理由を分解する

**ボトルネックの位置が、自分の技能と一致していた。**これが中核である。SaaSの難所は「作る」と「届ける」の両方にあり、Read氏の10年の蓄積は後者にしか効かなかった。一方、アフィリエイトメディアの難所は事実上「検索で上位に出るか」の一点に集約される。彼の技能はそこに全部乗る。やりたいことではなく、難所が自分の得意分野と重なる事業を選ぶ。再現可能な原理があるとすればこれだ。

**質で殴る以外に手がないと最初から理解していた。**彼の言葉はこうだ。

我々のコンテンツは、ランクインする可能性を持つために、他の誰よりもはるかに優れている必要があった。(要旨)

そして月商が数千ドルに乗った段階で、Architectural DigestやApartment Therapyといった大手媒体で書いてきたフリーランスを起用した。商品レビューのために米国在住のライターを条件にしている。ここが効く理由は明確で、インテリア領域の検索結果で戦う相手は大手出版社である。個人が持てる唯一の武器は1記事あたりの深さであり、その深さを一番早く買う方法は、大手で書いてきた書き手を直接雇うことだった。ブランドを作るより、書き手の実績を借りるほうが安く速い。

**構造的に利益率が高い。**利益率約80%という数字は、この形式の必然でもある。記事は一度書けば在庫も配送も顧客サポートも発生せず、コストは制作時に一度きり。収益は提携先の販売から生まれるので原価がゼロだ。月間の利益が数万ドル規模になっても、費用側はライター費とツール代にしか増えない。

そして彼が挙げた運営上の原則。

この課題を乗り越えた方法は、優先順位づけに徹底して冷酷になり、事業をスケールさせると確信できるタスクだけに集中することだった。(要旨)

副業でやっている間、可処分時間は週に十数時間しかない。その制約下では「やらないことを決める」が唯一のレバーになる。

楽な3年ではなかった

初期の孤独については本人が率直に語っている。

金曜の夜にダイニングチェアについて書きながら、なぜこんなことをしているのかと自問した週末が、確実に何度かあった。(要旨)

SEOの世界で暮らしてきた彼は、検索流入が立ち上がるまでに半年かかることを知っていた。知っていてもその半年は退屈である。そして売却時には別の感情が出た。

自分が作ったこのものに、どれだけ愛着を持ってしまっていたかを、自分は理解できていなかったと思う。(要旨)

売却プロセスも短くない。Flippaへの出品からクロージングまで5ヶ月かかっている。彼の方針は明確で、アーンアウト(将来の成果に連動した分割払い)より前払い現金を優先した。

得られる限り最大の現金取引に集中したかった。最短で最大の自由をくれるものであれば何でもよかった。(要旨)

この事例が抱えるリスクの正体

一つ、数字の非対称を指摘しておきたい。月間35万PVに対し、メール登録は4,500人である。比率にすると訪問の1.3%程度しか手元に残っていない。つまりこの事業の集客は、ほぼ全面的に検索エンジンに乗っていた。

Read氏自身はアルゴリズムのリスクについて何も語っておらず、記事にも懸念の記述はない。それでも構造として見れば、これは買い手が検索順位を丸ごと引き受ける取引である。前払い現金を優先した売り手の判断と、この構造は無関係ではないだろう(ここは本人の説明がないため、あくまで見立てにとどめる)。

もう一つの空白は価格情報だ。出典には希望売却額も倍率もオファー件数も出てこない。「6桁ドル」という幅だけが公開されている以上、この事例から「月利いくらならいくらで売れるか」は導けない。

何が真似でき、何が真似できないか

真似できるもの。難所が自分の技能と一致する事業形態を選ぶこと。ノーコードで週末に立ち上げて、コストをかけずに6ヶ月試すこと。収益が出るまで自分で書き、数千ドルに乗ってから外注に切り替えるという順序。そして外注先の質を、単価ではなく実績媒体で選ぶこと。

**真似できないもの。**まず、ソフトウェア企業でコンテンツとSEOをやってきた10年の職歴。これがなければ「6ヶ月我慢すれば立ち上がる」という判断そのものが成立しない。次に、副業期間の2年半を給与のある状態で走れたこと。Buffer在職中に赤字を許容できたことは、無収入で始める人にはない条件だ。そして6回の失敗というコスト自体も、多くの人が7回目まで到達しない理由になっている。

最後に時期。2020年に着手して2023年に売り抜けたというタイミングは、後から見れば検索流入型メディアにとって恵まれた期間だった。同じ設計を今なぞっても、同じ半年で同じ位置に立てる保証はない。

Read氏はその後、B2Bソフトウェア企業向けのコンサルティングを行いながら、健康・フィットネス領域で新しいメディアブランドを立ち上げている。7回目で当てた型を、8回目に持ち込んでいる格好だ。

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出典

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