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サウナイキタイ、趣味で始めた検索サイトが2期目売上約7,288万円。社員ゼロ・月370円「定員制サブスク」の設計

サウナ好き4人が趣味で始めた検索サイト「サウナイキタイ」は、決算公告ベースで1期目売上約1,401万円→2期目約7,288万円・純利益1,000万円超。社員を雇わず、有料会員は月370円で「1万人の定員制」。趣味の事業化の到達点を数字で読む。

執筆: Small Start 編集部(公開情報の要約+独自分析)

サウナイキタイ、趣味で始めた検索サイトが2期目売上約7,288万円。社員ゼロ・月370円「定員制サブスク」の設計

月商607万円は、月商を公開している掲載227件のうち上位32%。掲載全体の月商中央値は157万円です(データ集計)。

「趣味で作ったサイトが仕事になった」という話は多いが、決算数字までたどれる事例は少ない。サウナ施設の検索・レビューサイト「サウナイキタイ」は、法人化しているため決算公告が存在し、それを整理した報道によって業績の骨格が公開されている。1期目(2018年度)の売上約1,401万円に対し、2期目は約7,288万円・純利益1,000万円超。サウナブームの中心にいたサイトの成長が、官報由来の数字で確認できる。

運営はサウナ好きの有志4人。公式サイトのAboutページによれば、それぞれ本業を持つメンバーが副業的に始めたプロジェクトで、株式会社化した後も外部資本を入れず、社員も雇っていない。掲載施設は1.2万件を超え、日本のサウナ情報の事実上のインフラになっている。

数字の整理

項目数値(出典時点)
開始2017年(サイト公開)
1期目売上約1,401万円(決算公告ベースの報道)
2期目売上約7,288万円・純利益1,000万円超(同)
有料会員約6,000人(2022年末)→6,600人超(2024年)
会費月370円「バーチャルロッカー」
会員上限1万人の定員制
掲載施設1.2万件超
体制4人・社員ゼロ

売上の柱はこの月370円のサブスクと広告だ。会員6,000人時点のサブスク収益は月約220万円で、事業全体の売上(2期目・月平均約600万円)の3分の1強を占める計算になる。なお決算公告から分かるのは売上と利益の総額だけで、広告とサブスクの正確な内訳や費用構成は公開されていない。本稿の構成比はあくまで公開値からの概算だ。

レビューが商品で、投稿者は無給

サウナイキタイの中核資産は、ユーザーが投稿するサウナの記録「サ活」だ。施設の混雑、水風呂の温度、リニューアルの情報。公式サイトより速く、口コミより検索しやすい一次情報が、毎日無数に積まれる。この構造は運営4人の労働を超えてコンテンツが増える仕組みであり、社員ゼロで1.2万施設をカバーできる理由そのものである。

同時に、広告主(サウナ施設・関連メーカー)にとってこのサイトは「サウナに行く気の人しかいない広告面」だ。UGCが集客を作り、集まった熱量の高い読者が広告価値を作る。生産も消費もユーザーがやり、運営は場の設計に徹する。検索サイトというより、収益化されたファンコミュニティとして読むのが正確だろう。

「1万人まで」というサブスクの逆張り

このサイトの設計で最も変わっているのは、有料会員に定員があることだ。月370円の「バーチャルロッカー」は1万人で締め切る仕様で、収益の上限を自分で決めていることになる。単純計算で月370万円、年4,440万円がサブスクの天井だ。

普通のサブスクは会員数の最大化を目指す。定員制はその逆で、「応援したい人が応援する枠」として課金を設計している。機能を人質に取らない(会員でなくても検索・記録の主要機能は使える)ため、課金は対価というより会費に近い。この設計が効いているのは、サウナイキタイの価値の源泉がユーザー投稿のレビュー(サ活)である点だ。無料ユーザーを閉め出せばコンテンツの供給が細り、サイトの価値自体が下がる。コミュニティサイトの収益化は、コンテンツを書いてくれる無料ユーザーを損なわない範囲でしか設計できない。定員制はその制約を逆手に取り、希少性を会費の動機に変えた形だ。

課金で機能を絞りすぎて天井に当たる構造はオンラインサロンの定員と天井の事例でも見たが、サウナイキタイは天井を自覚的に低く設定し、残りを広告(施設・メーカーのタイアップ)で取る二本立てにしている。

「社員ゼロ」の損益構造

2期目の売上約7,288万円に対し純利益1,000万円超という数字は、4人が本業を持ったまま、雇用なしで運営していることと切り離せない。人件費が固定費として重くのしかからないから、売上の変動に強い。逆に言えば、この体制はメンバーの可処分時間が上限で、サイトの機能追加や営業活動を急拡大させる選択肢は最初から捨てている。

1期目1,401万円から2期目7,288万円への約5倍の成長も、体制は変えずに達成している。この時期はサウナブームがテレビ・雑誌で主流化した時期と重なっており、市場の膨張を、固定費を増やさないままそのまま受け止めた形だ。人を増やして波に乗る判断もあり得たが、波が引いたときに残るのは固定費である。

これは「スケールしないことを選ぶ」経営だ。VCから資金を入れて人を雇えば売上はもっと伸びたかもしれないが、趣味の共同体として始まったプロジェクトに雇用と成長目標を持ち込めば、運営の動機そのものが変質する。4人が選んだのは、事業を生活の主軸にしない代わりに、事業から「辞める理由」も排除する構えである。生涯会員制で運営コストを賄うSmall Betsのコミュニティ運営とも通じる、コミュニティ事業に固有の抑制だ。

効かなかった・やらなかったこと

出典から読み取れる範囲では、サウナイキタイは広告出稿による集客をしていない。成長はサウナブームの波とSNS・口コミ、そして「サ活」投稿が生む検索流入の複利だ。ブームという追い風は自分では作れない要素であり、この成長曲線のかなりの部分は市場側の膨張に帰属する。ここは再現性の議論で割り引くべき点だ。また、suan.tokyoの続報レポートは有料化されており、本稿の数字は無料で確認できる2期目決算+2024年の会員数までに限定している。3期目以降の業績は本稿の出典からは分からない。

再現の条件と限界

持ち帰れる設計は3つある。①コンテンツをユーザーが書くサイトでは、無料ユーザーは客ではなく生産者。課金設計は生産を損なわない形に限る。②サブスクの定員制は、収益上限と引き換えに「応援の希少性」と運営負荷の予測可能性を買う取引である。③複数人の趣味プロジェクトは、雇用と外部資本を入れない選択が長続きの条件になり得る。

限界も明確だ。この数字はサウナブームという10年に一度級の追い風の中で出たもので、ニッチの検索サイトが一般にこの規模へ届くわけではない。また4人の本業と可処分時間という前提は他人には再現できない。事業種別ごとの収益分布はデータ集計、体制別の中央値は事業種別マップのコラムを参照。

出典

本記事は上記の公開情報の要約と独自分析です。 「報道」は他メディアが取材・整理した記事で、数字はその報道時点のものです。 詳細は必ず出典をご確認ください。

この記事は、出典として「Small Start(small-start.com)」の明記と本ページへのリンクがあれば、ニュース・ブログ・生成AIの回答などで自由に引用・転載できます(事前連絡は不要です)。 転載・引用について →

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