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Own The Yard:「庭」ニッチに600記事、3年で約$250K売却。公開実験サイトの計算された出口

Niche PursuitsのSpencer Haws氏が「裏庭の遊びとメンテナンス」に特化して作ったOwn The Yardは、600記事・月$6,000の収益で約$250K(月次収益の40倍・年間収益の3.3倍)で売却。2018年開始から3年、最初から出口を想定した運営だった。

執筆: Small Start 編集部(公開情報の要約+独自分析)

Own The Yard:「庭」ニッチに600記事、3年で約$250K売却。公開実験サイトの計算された出口

月商90万円は、月商を公開している掲載259件のうち下から34%。掲載全体の月商中央値は225万円です(データ集計)。

サイト売却の記事の多くは、結果の数字しか分からない。Own The Yardが例外なのは、立ち上げから売却までの全過程が最初から「公開実験」として実況されていたことだ。運営者のSpencer Haws氏はニッチサイト情報メディア「Niche Pursuits」の主宰者で、本サイトは同氏にとって4本目の公開ケーススタディにあたる。2018年9月の開始から3年、600記事・月$6,000のサイトが約$250,000で売れるまでの記録は、コンテンツサイトを「金融資産」として組成する際の相場観をそのまま提供している。

売却の数字

項目数字
売却額約$250,000
月次収益平均$6,000
マルチプル月次収益の40倍 / 年間収益の3.3倍
期間2018年9月開始 → 2021年売却(3年)
コンテンツ600記事以上
トラフィック月間20万セッション
体制本人+パートタイム編集者1名+フリーランスライター
売却経路Motion Invest(別サイトとのパッケージ売却)

どんなサイトだったか

Own The Yardは「裏庭のレクリエーションとメンテナンス」——バスケットゴール、芝生、プール、遊具といった領域に特化したコンテンツサイトで、裏庭に関する情報の「ワンストップショップ」を狙ったポジショニングだった。コンテンツは1,000語の情報記事と3,000語超の商品レビュー・購入ガイドの組み合わせ、集客はSEO一本、収益はディスプレイ広告とAmazonアフィリエイトの二本立てである。

Haws氏はこのサイトを自分の読者に向けた公開ケーススタディとして、立ち上げから売却までを実況しながら運営した。売却後には「0から$250,000のイグジットまでを、コンテンツサイトで何ができるかの実例として見せられたのは良かった」(要旨)と振り返っている。

「出口から逆算した」運営

この事例が他のブログ売却と違うのは、最初から売却を想定して設計されていることだ。

  • ジャンル選定: 季節性はあるが安定した検索需要、広告単価、アフィリエイト案件の存在を確認して参入
  • 制作体制: 早期からライター外注と編集者を入れ、本人がいなくても記事が増える体制を構築(=属人性の排除)
  • 売却: 相場が良いタイミングでMotion Invest経由のパッケージディールに乗せた

600記事という物量を3年で積めたのは外注体制があってこそで、支出の最大項目もライターへの原稿料だった。月$6,000は「本人の労働の対価」ではなく「仕組みの出力」であり、だからこそ買い手はそのまま引き継げると判断し、年間収益の3.3倍という健全な価格がついた。

$6,000/月の解像度を上げる

月間20万セッションで月$6,000という数字は、1,000セッションあたり$30の収益化効率にあたる。単価の低い1,000語の情報記事でセッションの母数を積み、購入意図の強い3,000語超のレビュー・購入ガイドで広告単価とアフィリエイト成約を回収する分業構造だ。

もう一点、マルチプルの読み方に注意がいる。「年間収益の3.3倍」は売上(revenue)基準の倍率であり、原稿料などのコストを引いた利益基準に直せば倍率はさらに高くなる。国内のサイト売買相場(月利益×20ヶ月)と比べる際は、収益基準と利益基準の違いを揃えずに「40ヶ月分は国内の2倍」と読むと誤る。

機能した理由を三つに割る

「作る前に出口を決める」とすべての意思決定が変わる。 ジャンル選定・外注化・記録の公開まで、全てが「3年後に売れるサイト」から逆算されている。Lively Tableが属人ブランドを削るべきだったと振り返るのと対照的に、Own The Yardは最初から属人性を入れなかった。趣味の延長で作って後から売るのではなく、金融資産として組成する発想だ。

月40倍/年3.3倍のマルチプルは「移管可能性」への対価。 収益の源泉がSEO×広告×外注記事という完全に移管可能な構造だったため、相場上限に近い倍率がついた。売却価格は収益額×(買い手が再現できる度合い)で決まる。

「公開しながら作る」は集客と売却の両方に効いた。 公開ケーススタディという形式は、Niche Pursuits読者という観客を最初から持ち、サイトの実績データが第三者に検証可能な形で蓄積されることを意味した。Bannerbearのbuild in publicと同じく、透明性は信用コストを下げる。売却時のデューデリジェンスまで楽になる。

パッケージ売却という注釈

売却はMotion Invest経由で、「母親向けカルチャー」を扱う別サイトとの抱き合わせだった。書き添えるべきは、Haws氏自身がMotion Investのパートナーである点だ。数字の透明性が高い事例である一方、自分が関与するマーケットプレイスで自サイトを売る構図であり、売却経路の中立性という意味では一段割り引いて読む必要がある。また、パッケージディールでは個別サイトへの価格配分に幅が出うるため、$250Kという数字も「約」付きで扱うのが妥当だ。買い手は非公開である。

真似できるか、できないか

  • 再現しやすい点: 「検索需要×広告単価×案件有無でジャンルを審査→外注で物量→3年で売却」というプレイブックは完全に文書化されており、モデルとして再現可能。ジャンル審査と外注体制の組み方は日本語圏でもそのまま通用する
  • 限界: Haws氏はニッチサイト運営の熟練者で、4本目のケーススタディという場数があった。初挑戦者が同じ速度で600記事の品質管理をするのは難しい。また2021年当時と比べAI検索の影響でコンテンツサイトの買い手は慎重になっており、SEO一本・広告×アフィリエイト依存という本件の収益構造は、当時よりディスカウントされて評価される可能性が高い
  • 前提の差: 「公開しながら作る」の効果は、Niche Pursuitsという既存の観客がいたから最大化された。無名の運営者が同じことをしても、集客面の追い風は同じようには吹かない

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出典

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