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CSS for JavaScript Developers、先行販売7日で$577K・4,773件。目標は$50,000だった

Josh W. Comeau氏のCSS講座は2021年3月の先行販売7日間で$577K・4,773件を記録した。目標は380本・約$50,000。売ったのは完成品ではなく約50%の講座で、効いたのは14か月で1,000人から28,000人になったメールリストだった。

執筆: Small Start 編集部(公開情報の要約+独自分析)

CSS for JavaScript Developers、先行販売7日で$577K・4,773件。目標は$50,000だった

2021年3月16日、Josh W. Comeau氏がIndie Hackersに貼ったダッシュボードには、売上$577K、注文4,773件、返金$3,108、平均単価$120と出ている。期間は3月10日(水)から16日(火)までの7日間。本人が立てていた目標は380本・約$50,000で、「10倍に届いたのは正直ばかげている」と書いている。

7日で$577Kと聞けば、完成した講座に相応の広告費を乗せた話を想像する。ところが実際に売られていたのは、本人の申告で約50%しかできていない講座だった。正式公開の予定は半年後の9月で、価格は完成後の想定$349に対して$129。買い手はまだ存在しない残り半分に対して先に金を払っている。広告は出していない。効いたのは、2020年1月に約1,000人だったメール購読者が、ローンチ時点で約28,000人になっていたことだ。

7日間に出た数字

項目数字備考
先行販売期間2021年3月10日〜16日7日間で締め切り
売上$577K本人が公開したダッシュボード
注文4,773件
平均単価$120早期価格$129に対しクーポン適用分が下げている
返金$3,108
クーポン経由の売上$1,819
当初の目標380本・約$50,000「仕事を辞めたのが愚かでなかったと確認する」ため
当時の完成度約50%正式公開は2021年9月の予定
完成後の想定価格$349早期価格$129はその37%

Failoryのインタビューでは同じ先行販売が「約$550,000・約5,000本」と書かれている。返金やクーポン、通貨の扱いで丸めが違うのだろうが、二次資料と本人のダッシュボードの間に$27Kほどの差があることは記しておく。この記事では本人の数字を採る。

前職はGatsby Inc.のスタッフソフトウェアエンジニアで、年収は$165,000。2020年3月に尺骨神経を痛めてタイピングの痛みが8か月続き、その年の夏に退職している。$50,000という目標は、その決断が間違いでなかったと確かめるための水準だった。

半分しかできていない商品が4,773件売れた

先行販売という形式そのものは珍しくない。この事例で見るべきは、価格と完成度の組み合わせだ。$129は完成後の想定価格$349の37%で、買い手は6割引きに近い条件と引き換えに、半年待つリスクを引き受けている。売り手から見れば、作り終える前に開発費が回収される。

率直に言えば、これは講座を売ったというより、完成を待つ権利を割引価格で売った取引だ。同じことができる条件は厳しい。買い手が「この人が作るなら完成する」と信じていなければ成立しないし、その信頼は講座の中身ではなく、それまでに無料で出したものの質で作られている。Comeau氏のブログは2019年以降およそ60本の記事を積み、月間8万から10万の訪問がある。記事ごとに専用のインタラクティブな部品を作り込むスタイルで知られていて、買い手は「未完成の講座」ではなく、その記事群の延長線を買っている。

1,000人が28,000人になった14か月

メールリストは2020年1月に約1,000人、ローンチ時点で約28,000人。Twitterのフォロワーは同じ期間に約10,000人から31,000人になっている。Failoryによれば、ローンチ後の時点でニュースレター購読者が約20,000人、講座の待機リストが約11,000人、無料配布した書籍のダウンロードが約12,000件あり、最大のてこはメールだった。Twitter経由の売上は約14%と書かれている。

Comeau氏自身は成功の理由をこう説明する。「何年もかけて、見返りを求めずに無料の資料を作ってきた。開発者は、本気で助けようとしている人によく反応する」。

ここで編集部の読みは本人と少しずれる。「何年も」ではなく、伸びの大半は直前の14か月に集中している。1,000人が28,000人になるのは28倍で、この増分がそのまま$577Kの分母になった。2019年以前の蓄積が無価値だったという話ではないが、数字として観測できるのは2020年の1年間に起きた急増のほうだ。彼が退職して講座に張り付いた期間と、リストが指数的に伸びた期間はほぼ重なっている。無償で配り続けたことが効いたのは事実として、それが売上に変換されるには、配る量を一気に増やせる可処分時間が必要だった。

開発時間を倍にする選択

Comeau氏はTeachableやPodiaのような既成のプラットフォームを退け、講座の土台を自分で書いた。本人の言葉では「開発時間は倍になったが、市場にある他の講座とは違う、本当に特別なものを作れた」。媒体はインタラクティブ記事・動画・演習・ワークショップ・ミニゲームの5種類で、受講登録時には花火のアニメーションが上がる。

当初の見積もりは3〜4か月、実際には2021年8月まで12か月超かかった。5分の動画1本に約1時間、しかも同じ工程を3〜4回繰り返すこともあるという。ローンチ当時の月額運営費は約$450で、内訳はConvertKitに$260、Vercelに$20、MongoDBに$50、Sentryに$20。2021年8月時点では月約$1,000に増えている。

自作の判断は、単発の講座なら明らかに割に合わない。回収できたのは、同じ土台の上に次を載せたからだ。現在この基盤の上にはThe Joy of Reactが乗り、Whimsical Animationsが制作中と公式サイトに出ている。CSS for JavaScript Developersは10モジュール・200レッスン・約40時間の構成で、いまも販売が続いている。プラットフォームへの投資は、1本目ではなく2本目以降で意味を持つ種類の支出だ。

90秒で尽きたクーポン

うまくいかなかったことも本人が書いている。Failoryで挙げているいちばんの教訓は「数量限定のクーポンをやるな」。先行販売の前夜に出した限定クーポンが90秒で尽き、取れなかった買い手との間で混乱が起き、一部を返金することになった。返金額$3,108の一部はここから出ている。

見積もりの外し方も記録に残っている。3〜4か月と見た開発が12か月超になり、先行販売の時点では半分しか終わっていなかった。9月27日の正式公開は当初の予告どおりだったが、その間ずっと、支払い済みの4,773人が待っている状態が続いている。

出ていない数字も多い。$577Kの内訳で早期価格の$129が何件を占めたか、返金率の分母、正式公開以降の月次売上、受講者の総数、The Joy of Reactの売上はいずれも公開されていない。継続収入が$25,000から$100,000という幅の広い区分でしか出ていないこと自体、この事業の月次が相当に振れていることを示している。買い切り商品の売上は値下げ企画と新講座の公開に紐づいて跳ねるので、帯の下端と上端が4倍違うのは不自然ではない。

一人で回している構造

体制はComeau氏1人に、週2〜3時間の契約者が1人。契約者はサポート対応と動画の字幕を担当する。月額経費約$1,000に対して継続収入が$25,000を下回らないなら、粗利の構造はきわめて軽い。買い切り商品なので解約という概念がなく、追う指標はリストの規模と新規公開の頻度に絞られる。

先行販売の$577Kが何に化けたかは、その後の動きを見れば読める。年収$165,000の職を捨てた人間が、7日でその3.5倍にあたる現金を手にした。以後の意思決定から「来月の生活費」という制約が外れたことが、12か月超の開発を完走させ、2本目の講座に進ませている。先行販売の本当の成果物は売上ではなく、時間を金で買い戻したことだ。

$577Kはローンチ週の数字で、定常は$25,000からの帯でしか出ていない

同じ「自分で作った講座を売る」型を月商順に並べると、受講者1万人・累計$4Mで月1時間稼働まで到達したPiano in 21 Daysの月商450万円、1講座あたり100ドルが見えた時点で量産に切り替えたUdemy24本の月商21万円、ベストセラー8本を含むUdemy22コースの月商15万円が並ぶ。Udemyの2件は集客と決済をプラットフォームに預けた形で、Comeau氏はそこを全部自前に持っている。集客を自分で持つかどうかで、同じ「講座を作る」が桁の違う事業になる。

この先行販売が置かれていた条件も並べておく。2020年はフロントエンド開発者の在宅学習需要が最も膨らんだ年で、リストが28倍になった期間はそこに重なっている。$165,000の職を辞めて7〜8か月フルタイムで作り込めた前提には、それまでの給与による蓄えがある。15年のCSS経験、ブートキャンプでの指導経験、Khan Academyでの2年間という職歴も、先行販売の信用の一部になっている。そして読み方で最も注意が要るのは、$577Kという数字が1回限りの出来事だということだ。継続収入は$25,000から$100,000の帯としてしか公開されておらず、ローンチ週の数字と定常状態の数字を同じ尺度で読むことはできない。

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