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nephew、代々木公園のカフェ&バーが開業9か月で売上3,996万円。昼101人×1,294円と夜37人×3,170円の二毛作を全公開

代々木公園のカフェ&バー「nephew」は開業9か月で累計売上3,996万円・利益784万円。フル営業した7か月の月平均は売上571万円で、当初計画266万円の2倍を超えた。上振れの主役は計画の5倍売れた昼のカフェだった。

執筆: Small Start 編集部(公開情報の要約+独自分析)

nephew、代々木公園のカフェ&バーが開業9か月で売上3,996万円。昼101人×1,294円と夜37人×3,170円の二毛作を全公開

飲食店の実数はめったに表に出ない。出ても「月商◯◯万円」の一行で終わることが多く、内訳までは分からない。代々木公園駅から徒歩2分の裏通りにあるカフェ&ストリートバー「nephew」は、その例外にあたる。運営する& Supply代表の井澤卓氏が、2022年1月に開業記の最終回として売上・利益・客数・客単価・初期投資の計画差異まで一式を公開した。

数字はこうだ。2021年4月20日の開業から12月までの9か月で、累計売上39,968,275円、累計利益7,841,308円。緊急事態宣言でバーを開けられなかった4〜5月を除き、フル営業ができた6〜12月の7か月で見ると、月平均売上は5,709,754円、月平均利益は1,287,027円になる。

当初の事業計画は月間売上2,665,000円だった。実績はその2倍を超えている。ただし、上振れの中身は素直ではない。計画と実績の差は、昼と夜でまったく違う形をしていた。

昼と夜の内訳(2021年6〜12月)

区分月平均売上日平均売上日平均客数平均客単価
カフェ(10〜17時)3,117,365円138,549円101名1,294円
バー(19〜25時)2,519,567円115,274円37名3,170円
オリジナルグッズ約155,000円———

カフェの構成比は全体の54.6%。当初計画ではカフェ615,000円・バー2,050,000円と、収益の主役は夜に置かれていた。実績はその想定を裏返している。カフェは計画の約5倍に伸び、バーは計画比で約1.2倍にとどまった。つまり「計画の2倍」という結果を作ったのは、ほぼ全面的に昼側である。

もっとも、両者の売上がほぼ拮抗しているという事実のほうが構造的には重要だ。客数は101名対37名で2.7倍の開きがあり、客単価は1,294円対3,170円で2.4倍の開きがある。差が互いを打ち消して、売上が並ぶ。同じ家賃・同じ厨房・同じ内装のまま、性質のまったく違う二つの損益計算書を1日の中で走らせている——これがこの店の設計だ。

見落とされやすいのが第三の柱、オリジナルグッズだ。月平均155,000円と金額としては小さいが、12月には30万円を超えている。飲食の売上が席数と営業時間で天井を持つのに対し、グッズは在庫と棚さえあれば客単価に上乗せできる。月商571万円の中では2.7%にすぎないものの、家賃407,000円の4割弱に相当する額を、席を増やさずに稼いでいることになる。バー側でフードが売上の2割を占めるという内訳も含め、この店は「一つの来店から複数の勘定科目を取る」設計になっている。

固定費から逆算すると、計画のままでは苦しかった

物件は戸建て2階建てで71.19㎡(21.53坪)、月額家賃は407,000円、坪単価18,903円。この家賃を売上で割ると比率が見えてくる。

実績の月平均5,709,754円に対して家賃比率は約7%。飲食店の家賃負担としてはかなり軽い部類に入る。一方、当初計画の月間売上2,665,000円で同じ家賃を負担すると、比率は約15%に跳ね上がる。この水準は、原価と人件費を差し引いた後に手元へ残る余地をほとんど消してしまう。

言い換えると、この店は「計画どおりに着地していたら、家賃負担の重さで身動きが取れなかった」構図にある。計画の2倍という結果は余禄ではなく、成立条件そのものだった可能性が高い。5坪の小さな店で月商100万円に届きながら継続できなかったクレープ店の事例や、承継後5か月で閉店したコーヒースタンドの事例と比べると、固定費に対して売上がどこまで積み上がるかが実店舗の生死を分けることがよく分かる。

初期投資も見ておく必要がある。計画1,900万円に対し、実際は2,850万円。950万円、率にして50%の上振れだ。月平均利益1,287,027円で割れば、単純計算で回収に約22か月かかる。初期投資が計画どおりの1,900万円で済んでいれば約15か月だった。7か月の差である。開業前の見積もりの精度が、そのまま回収期間の差になって現れる。

効かなかったこと、そして止まったこと

この事例で最も厳しかったのは、施策の巧拙ではなく外部要因だ。開業は2021年4月20日。その4日後に緊急事態宣言が出て、バー営業ができなくなった。4〜5月は20時までのモクテルバーとして縮小営業し、フル営業の再開は6月からになっている。

ここで二毛作の意味が変わって見えてくる。夜が制度的に止められたとき、昼のカフェは営業を続けられた。収益設計として計画時に主役だった夜が丸ごと消えた期間を、当初は脇役だったはずの昼が支えた。という順序になる。ただし、これは公開された数字から読み取れる構図であって、本人が「二毛作がリスク分散として機能した」と明言しているわけではない点は断っておく。

もう一つ、本人が成功要因として挙げているのは意外な一行だ。「自分達が現場に立っていない」こと。オーナーが日々の営業に入らず、スタッフ(平日3名・週末4名)が回す前提で店を設計している。個人経営の飲食店では、オーナーの労働時間が原価に計上されないまま利益を押し上げているケースが多い。nephewの利益率(9か月累計で売上に対する利益は約20%)は、その補助線を引かずに出ている数字ということになる。逆に言えば、オーナーが現場に入れないぶん、教育と権限委譲を先に用意しなければ成立しない。

2号店として始まった、開業9か月の断面

この立ち上がりは、ゼロからの開業ではない。立地は代々木公園駅から徒歩2分の裏通りで、戸建てを丸ごと使える物件だった。運営する& Supplyはクリエイティブスタジオであり、nephewは同社の2号店にあたる。1号店(池尻大橋)の実績とブランドを引き継いだ状態でのスタートで、開業9か月時点でInstagramのフォロワーは9,400に達していた。計画の2倍という月商は、この前提込みで読む必要がある。

数字の扱いにも注意が要る。ここに挙げた金額はすべて2021年のものだ。店舗は現在も営業を続けており、公式の店舗ページによればカフェは8時から17時、バーは19時から24時という時間帯で運営されている(開業記に記された10〜17時・19〜25時からは変わっている)。ただし直近の売上は公開されていない。実店舗は開業期の数字が最も良く見えることも、逆に助走が長引くこともある。この記事が扱っているのは、あくまで開業から9か月という一区切りの断面である。

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