Udemy9コースの収益実録——初コースは100時間かけて$165、その学習が生んだ「150万円コース」
Udemyベストセラー講師の滝沢直人氏が9コース分の実データを公開。初コースは約100時間かけて1年で$165、しかし改善を重ねた別コースは$10,000超の利益に。月間受講生は初月34名→1年で563名。分配率(自己集客97%/Udemy集客37%)まで含めた仕組みの解説が貴重。
執筆: Small Start 編集部(公開情報の要約+独自分析)
Udemy講師の収益構造は、ブログやYouTubeに比べて公開データが極端に少ない。分配率やセールの実態は講師になってみるまで見えず、「儲かる・儲からない」の議論は印象論に流れやすい。滝沢直人氏(デジタルコンテンツの制作・販売を生業とするコースクリエイター)のnoteは、この空白を9コース分の実データで埋めた稀有な一次資料だ。100時間かけた初コースが$165に終わり、その学習を注いだ後続コースが$10,000超を生むまでの過程を、数字で追うことができる。
数字で見る講師活動の2年
| 項目 | 数字 |
|---|---|
| 講師活動開始 | 2024年1月 |
| 公開コース数 | 9コース |
| 初コース(コピーライティング講座) | 制作約100時間 → 1年以上で$165 |
| 軌道に乗った別コース | 利益$10,000超 |
| 月間受講生 | 初月34名 → 約1年で563名(16倍) |
| 分配率 | 講師の紹介リンク経由 97% / Udemy内検索・レコメンド経由 37% |
| 価格 | 定価約2万円 → セール時1,500〜2,000円。購入の98〜99%はセール時 |
| セールの瞬発力 | 1日の新規受講 通常約10件 → 年末セール50件超 |
| 運用工数 | 月1時間程度(質問対応・アップデート・レビューチェック) |
100時間で2万円という出発点
2024年1月、滝沢氏はスライド作成・録音・編集まで独力で約100時間を投じ、コピーライティングの講座を公開した。結果は1年以上かけて$165。時給換算でおよそ200円、この数字だけ切り取れば撤退案件である。
だが氏は「この経験がなければ9コースを作ることはなかった」と振り返る。初コースの本当の成果物は収益ではなく学習だった。核心にあるのは「自分が作りたいもの」と「市場が求めているもの」は別物だという気づきで、これが以降のコース設計を根本から変えたという。具体的に変わったのは、市場リサーチの徹底、音声品質と構成の見直し、そしてレビューが次の受講を呼ぶ好循環の設計だ。レビューが増えるほどUdemy内のレコメンドでの露出が増え、露出がさらに受講とレビューを呼ぶ——プラットフォーム内で回る複利である。
転機は3コース目あたりで訪れた。受講生が「この講師の他のコースも見てみよう」と回遊し始めたのである。1つのコースを取った受講生は同じ講師の他コースを覗く。コースが増えるほど1コースあたりの集客コストが下がる。Kindle出版の「棚を作る」戦略とまったく同じ、カタログの複利だ。月間受講生が初月34名から約1年で563名へ16倍化した背景には、単発のヒットではなくこの回遊構造がある。
97%と37%、集客に付けられた値札
Udemyの分配率は流入経路で決まる。講師が自分の紹介リンクで連れてきた売上は97%が講師に入り、Udemy内の検索・レコメンド経由では37%に下がる。滝沢氏いわく「大体3倍くらいは売り上げに違いが出ます」。同じ講義でも誰が集客したかで手取りが約3倍変わる。この差は「集客こそが最も高い工程」であることの価格表だ。講師業の実力とは、教える力と自前の集客経路(SNS・メールリスト)を持つ力の掛け算ということになる。
もう一つの重力がセールだ。定価は約2万円に設定されるが、購入の98〜99%は1,500〜2,000円のセール時に起きる。1日の新規受講は通常約10件、年末セールでは50件超まで跳ねる。定価はアンカーにすぎず、事業計算はセール価格×分配率の実効単価で行うしかない。
興味深いのは、滝沢氏自身は外部の集客活動をほぼしていないことだ。97%を取りに行くより、37%でもUdemyの集客力に乗る方を選んでいる。月563名という受講規模は、プラットフォームの重力に設計を合わせた結果でもある。
「一度作れば放置で稼げる」の半分は違う
現在の運用工数は月1時間程度(質問対応、内容のアップデート、レビューチェック)で、氏はこれを「ほぼ不労所得に近い」と表現する。ただし同時に、「一度作ったら放置で稼げる」という通説には「半分は本当で、半分は違います」と釘を刺す。
割り引いて読むべき点を挙げる。まず、9コースのうち収益が具体的に開示されているのは両極の2本($165と$10,000超)で、残り7本の成績は不明だ。ポートフォリオの中央値は分からない。次に、$10,000超という数字の手前には、初コースの100時間を含む9コース分の制作時間が沈んでいる。回収は「軌道に乗れば」の話であり、乗るまでの時間投資は確定コストだ。そして、分配率・セール設計・レコメンドはすべてUdemy側の変数である。購入の98〜99%がセール時という依存度は、価格決定権を手放していることと同義で、料率や規約の変更が収益を直撃する構造上のリスクは消えない。
もう一点、レビューの好循環は逆回転もする。初期に低評価が付けばレコメンドから外れ、挽回の露出自体が来なくなる。滝沢氏が改善の筆頭に音声品質と構成の見直しを挙げたのは、この不可逆性への対処と読める。
月563名を金額に引き直すと
公開データから収益のオーダー感を単純試算できる。購入の98〜99%がセール時(1,500〜2,000円)で、Udemy集客経由の分配率が37%なら、受講生1人あたりの手取りは555〜740円。月563名なら月31〜42万円のレンジになる。実際には97%分配の紹介リンク経由分やコースごとの価格差があるためこの通りにはならないが、「月500名超を集めてこの水準」というスケール感は、磯部氏が開示する受講生1人あたり481〜666円とも整合する。Udemy講師業は単価で稼ぐ事業ではなく、セールとレコメンドに乗って人数を積む「流量の事業」である。
再現の条件
他のカテゴリに移せるのは設計論だ。初コースは収益ではなく市場学習のコストとして予算化する。回遊=カタログ効果が3コース目前後から効き始める前提で複数本を計画する。売上見積もりは定価ではなくセール価格×37%の実効単価で立てる。22コースを運用する磯部氏の実データでは受講生1人あたり481〜666円という実効単価が開示されており、この見積もり方はほぼ一致する。講師歴2年の滝沢氏と5年の磯部氏という独立した2つの開示で、分配率(97%/37%)もセール依存も同じ数字が出ていることは、これが個人の体感ではなくプラットフォームの仕様であることの裏づけでもある。
移せないのは初速だ。初月34名という数字は、カテゴリの競合密度と需要規模に依存する。また滝沢氏はコンテンツ制作・販売の専業者であり、100時間級の制作を9回繰り返す時間は、副業の可処分時間に引き直せば2〜3年がかりの計画になる。
あわせて読みたい
出典
近い規模・近い業種の事例
よく読まれている記事
- 1
minne販売で最高月商100万円。元デザイナーのハンドメイド作家が語る「売れる写真」の技術
直近34人が訪問 - 2
AI動画6本で初月15万3,030円 — 1本422万再生が収益の3分の2を占めたTikTok収益化
直近21人が訪問 - 3
売上30円から8年。アプリ3本を並行運営して月20万円に届いた個人開発の記録
直近19人が訪問 - 4
副業ブログ「Tsuzuki Blog」、月4.2万円から1年で月100万円へ。公開されている月次データを分解する
直近15人が訪問 - 5
シチナツ、会社員デザイナーのBOOTH素材販売が半年で108万円。月10万→25万円へ、月次売上の全公開
直近13人が訪問
新着記事
- 2026年9月26日
源氏リーインカーネイション、Steam初販売は1ヶ月で32本。宣伝費2万円が売上を上回った
- 2026年9月25日
Pirsch Analytics、社員1人のGA代替がMRR $11,000→$14,300。毎年決算を公開する「三番手」の5年目
- 2026年9月25日
孤高の旅人、開設約1年の雑記ブログで月50万PV・月30万円。「カテゴリ内で特化する」という戦い方
- 2026年9月24日
Fomo、MRR $10,000のウィジェットを売り手分割払いで買って最高月$154,000。6年後に7桁ドルでRelay Commerceへ
- 2026年9月23日
13坪のケーキ屋、開業3年目の年商27,073,172円。夫婦2人・家賃6万円の店が月別売上を24か月分すべて公開した



