事例 売却済み

アパレルEC事業(外注化済み)、216万円で成約(月間収益の約6.3ヶ月分)

ラッコM&A公開成約事例(第2弾)より。アパレルEC事業(外注化済み)が216万円・掲載から4日で成約。掲載データから個人規模M&A市場の実勢を記録する。

執筆: Small Start 編集部(公開情報の要約+独自分析)

アパレルEC事業(外注化済み)、216万円で成約(月間収益の約6.3ヶ月分)

月商34.2万円は、月商を公開している掲載259件のうち下から24%。掲載全体の月商中央値は225万円です(データ集計)。

月8時間稼働の古着ECが最速4日で売れた

第2弾の20案件のうち、掲載から成約までが最も速かったのが本件だ。月商34.2万円の古着ECが216万円、掲載4日で買い手が決まった。倍率は月間売上の約6.3ヶ月分と一覧の中では低い部類に入るが、案件詳細を読み込むと「安く手放された」のではなく「短い運営実績を織り込んだ価格が即決を呼んだ」構図が浮かぶ。物販事業の売買で何が価格と速度を決めるのかを示す事例として、掲載情報を分解する。

成約の数字(ラッコM&A掲載情報より)

項目数字
成約価格216万円
直近月売上34.2万円(営業利益28.3万円)
平均月売上21.4万円(営業利益17.9万円)
集計期間実績(5/8〜7/16)売上70.4万円・注文40件・営業利益52.9万円
営業利益率約80%
商品数50点
月稼働時間8時間
掲載から成約まで4日
売買経路ラッコM&A(売主手数料無料)

本件は運営者インタビューのある事例ではなく、ラッコM&Aが公式サイトで公開する成約事例一覧と案件詳細ページの掲載情報から、市場の実勢を記録するものである。

BASE×Instagramストーリーズという最小構成

案件詳細によれば、事業の中身は20〜40代女性向けの古着を扱うBASE運営のECで、集客はInstagram。ストーリーズからショップへ送客する販売導線を組んでいる。商品数は50点、運営開始は2026年5月と掲載されており、運営歴は数ヶ月しかない。集計期間(5/8〜7/16)の売上70.4万円を注文40件で割ると客単価は約1.76万円。古着ECとしては高単価帯で、一点物の古着ゆえの仕入れ原価の低さが営業利益率約80%を支えている。

外注化の内訳も具体的だ。販売商品の選定、撮影、商品登録、梱包・発送管理までが外注済みで、オーナーの手元に残る業務は顧客対応とInstagram投稿のみ。これで月稼働8時間。なお掲載タイトルは「営業利益36万円/月」を謳うが、掲載データ上の直近月営業利益は28.3万円、平均は17.9万円である。

4日成約を成立させた計算

価格を利益ベースで見直すと、216万円は直近月営業利益の約7.6ヶ月分、平均営業利益の約12.1ヶ月分に相当する。売上ベースの6.3ヶ月分という見かけよりは重いものの、それでも1年前後で投資回収の計算が立つ水準だ。コンテンツサイトが20ヶ月分前後で取引されるサイトM&Aの相場観と並べれば、明確に軽い値付けである。

さらに譲渡対象にはBASEのショップとInstagramアカウントだけでなく、販売実績データ、仕入先情報、運営ノウハウ・マニュアル、30日間の無料チャットサポート(オンラインミーティング対応可)が含まれる。外注網と手順書ごと引き渡すことで、買収後の運営は「事業の立て直し」ではなく「作業の引き継ぎ」に近づく。回収期間の短さと引き継ぎ摩擦の小ささ。この2つが揃うと、買い手は考える時間を必要としない。4日成約はその帰結と読める。

「6.3ヶ月分」に織り込まれた割引要因

ただしこの低倍率は、裏返せば買い手が引き受けたリスクの値札でもある。まず運営歴の浅さ。「平均月売上21.4万円」といっても集計期間は2ヶ月強しかなく、直近月34.2万円との乖離のどちらが実力なのかを判定する材料が存在しない。古着は一点物で、商品の質は仕入れの目利きに依存する。仕入先情報は引き継がれるが、選定眼まで移転できるかは別問題だ。集客はInstagramストーリーズの一本足で、しかもその投稿は外注化されていないオーナー業務として残る。競業避止期間は12ヶ月で、売主(売却理由は「別事業に注力するため」)のノウハウは1年後には市場に戻り得る。これらの割引を合算した結果が6.3ヶ月分という数字である。

移転できるものとできないもの

この事例から一般化できるのは、売る前に外注体制を作るという順番の効果だ。属人的な作業を仕組みへ変換してあるほど譲渡は容易になり、成約は速くなる。第2弾の一覧でも、外注運営を明記した本件(美容・クレカブログも同様)は成約期間が短い側に寄っている。一方で、実績期間の短さは倍率で確実に割り引かれる。長く運営して倍率を上げるか、早期に売って回収するか。本件は後者を選び、数ヶ月の運営で216万円を回収した形になる。もっとも、顧客対応とInstagram運用という「顔」の部分は譲渡後も人力のままであり、BASEとInstagramという他社プラットフォームへの依存構造も、価格に転嫁されない形でそのまま買い手に引き継がれる。

同時期の成約20件との比較

ジャンル成約価格月間収益倍率
歴史系解説YouTube(月収益700円)16万円700円228.6ヶ月分
スポーツ長尺YouTubeチャンネル88万円7,351円119.7ヶ月分
ゲーム解説・雑学ショート(登録2.6万)25万円5,391円46.4ヶ月分
料理系YouTube(登録11万人)350万円11.5万円30.3ヶ月分
スマホ・ガジェット情報サイト16万円7,779円20.6ヶ月分
美容・クレカブログ(外注運営)56万円3.5万円16.0ヶ月分
ホテル情報ブログ(楽天トラベル)95万円8.8万円10.7ヶ月分
アパレルEC事業(外注化済み)216万円34.2万円6.3ヶ月分
海外インフルエンサー翻訳ショート32万円5.3万円6.0ヶ月分
アイドル特化ブログ(AIプロンプト付)21万円3.6万円5.8ヶ月分
プロレス解説チャンネル20万円5.8万円3.5ヶ月分
レンタルサーバー・ドメイン情報サイト8万円2.3万円3.4ヶ月分
結婚相談所SEOメディア+アメブロ22万円6.9万円3.2ヶ月分
Amazonセラーアカウント(10年運営)138万円非公開—
金運AI動画のYouTube+TikTokセット8.8万円非公開—
風景写真Instagram(5.9万フォロワー)15万円非公開—
Amazon美容系セラー75万円非公開—
Vtuber切り抜きチャンネル(公認)32万円非公開—
配信者公認エンタメ切り抜き12万円非公開—
渋谷カフェ情報Instagram30万円非公開—

第1弾の15件(心理学YouTube 480万円等)と合わせると、サイト≒20ヶ月分・YouTube=3〜120ヶ月分と分散大・SNSアカウントはフォロワー単価数円という相場観がさらに固まってきた。倍率の分散はそのまま「収益の持続性への確信度」の分散である。物販である本件の6.3ヶ月分は、その分散の下端近くに位置する。

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出典

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