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会社員の副業で古着EC、開業1年で年商約300万円。週5〜10時間の稼働で毎月黒字

会社員のワカバヤシ氏がBASE・メルカリ・ヤフオクの3販路で運営するオンライン古着屋。2024年通年の売上は約300万円弱、好調月36.2万円・不調月12.7万円。週5〜10時間・自宅1室のワンオペで毎月黒字を維持。

執筆: Small Start 編集部(公開情報の要約+独自分析)

会社員の副業で古着EC、開業1年で年商約300万円。週5〜10時間の稼働で毎月黒字

月商25万円は、月商を公開している掲載227件のうち下から23%。掲載全体の月商中央値は157万円です(データ集計)。

副業ECの収益公開は、年商や月商だけが独り歩きしやすい。ワカバヤシ氏がnoteで公開した古着ネットショップ1年目の記録は、そこに販路別の実数、原価率、稼働時間という3つの分母を添えている点で読み解きの材料が揃っている。会社員を続けながら、自宅の1室で、週5〜10時間。それで年商300万円弱に届いたという1年である。

一年分の売上を並べる

同氏は2024年通年のBASE・メルカリ・ヤフオク3販路合計で「約300万弱」と記している。単月の実数として公開されているのは以下の3か月である。

BASEメルカリ合計
2023年11月178,090円95,060円273,150円
2024年7月(好調月)249,270円112,700円361,970円
2024年9月(不調月)75,970円51,115円127,085円

販路の構成比は「BASE 6:メルカリ 3:ヤフオク 1」。本人は「BASEはおおむね月10万円前後の売上。メルカリは毎月BASEの半分程度の売上」と書いている。

ここでひとつ照合しておきたい。公開された3か月のBASE売上は75,970円・178,090円・249,270円で、自己認識の「おおむね10万円前後」を上回る月が2つある。年商300万円弱を12で割ると月平均は約25万円で、構成比6割ならBASEは月15万円前後の計算になる。本人の体感値より実数のほうが上振れており、同時に月ごとの振れ幅も大きい。合計で見ると好調月と不調月の比は約2.85倍、BASE単独では約3.3倍だ。副業ECの売上は平準化しないという前提で読む必要がある。

何を売り、どう回しているか

扱うのは古着。自宅の1室で1人運営し、稼働は「週5〜10時間(1日で1〜2時間程度)」。仕入れは月1回か2回の現地買い付けと、ネット仕入れの組み合わせである。

工程は本人が列挙している。洗濯、スチーム(アイロン)がけ、EC業務、広報業務(SNS運用)、値付け業務、買い付け業務、検品、採寸、撮影、出品、出荷。11工程だ。同氏はこれを「かなり重労働な厳しい世界」と評している。集客の発信はThreads、X、noteで行っている。

収益面のルールも明示されている。原価率は約35%に設定し、「20万程度の売上で13万程度の利益計算」。開業以来、毎月黒字だという。

劇的な転機はない。効いたのは値付けの固定ルールだ

この事例に、軌道が変わった瞬間は存在しない。開業から毎月黒字であり、売上が跳ねた月もなければ、施策の前後で数字が段違いになった記録もない。公開されている3か月を見ても、上下はあるが趨勢としては同じ帯の中にある。

したがって、この1年を成立させたものは転機ではなく初期設計である。中でも効いているのは、原価率を約35%に固定したことだ。

これは単なる利益率の話ではない。仕入れの意思決定が変わる。原価率の基準がないと、買い付けの場では「この服はいいか」という審美的な判断になり、迷いが生まれ、時間を食う。基準が「この値段で仕入れて概ね3倍で売れるか」に置き換わると、判断はイエスかノーの二値になる。買い付けは全工程の中で最も判断コストが高い作業であり、そこを閾値化できたことが、月1〜2回の買い付けと週5〜10時間という稼働に収まっている最大の理由と読める。

週5〜10時間で回る仕組みの正体

もうひとつ効いているのは販路の置き方である。BASEという自社ECを主軸(6割)に据えつつ、メルカリ(3割)とヤフオク(1割)を併走させている。

この配分は、手数料と集客のトレードオフをそのまま反映している。マーケットプレイスは販売手数料が高い代わりに、自前で集客を用意しなくても検索してきた需要にぶつかる。自社ECは手数料が低い代わりに、露出は自分で作るしかない。片方に寄せると、手数料で利益が削られるか、集客コストで時間が削られるかのどちらかになる。6:3:1という配分は、そのどちらにも振り切らない位置に置かれている。

古着という商材の性質も、この稼働時間に効いている。一点物のため在庫は絶対に重複せず、売れ残りはそのまま損失になるが、1点あたりの仕入れ額が小さいので1回の判断ミスの損失も小さい。原価率35%という設定は、この「小さく外し続けても致命傷にならない」構造の上でこそ成立する。

「13万円の利益」をもう一度検算する

本人の言う「20万程度の売上で13万程度の利益計算」は、原価率35%からの逆算と一致する。売上20万円、仕入原価7万円、残り13万円。ただしこの13万円は、仕入原価だけを引いた粗利であり、販路の決済・販売手数料、送料、梱包資材費、クリーニングや消耗品費は含まれていないと読むのが自然である。マーケットプレイス側の手数料は特に無視できない水準であり、実際の手残りは13万円より下に来る。

年間で概算してみる。年商約300万円、原価率35%なら年間粗利は約195万円、月平均で約16万円。これを稼働時間で割ると、週5〜10時間すなわち月20〜40時間で、1時間あたり約4,000〜8,100円の粗利となる。ここから手数料や送料を差し引くため実効値はさらに下がるが、副業の時間単価としては悪くない帯にある。逆に言えば、この数字は「稼働時間が上限で頭打ちになる事業」であることも示している。

一人でやる限りの天井

限界は本人が先に認めている。「1人で全て行っているので現状のやり方ではこのくらいの売上が限界かなという印象」である。

理由は工程数にある。11工程のほとんどが1点ごとに発生する作業だ。洗濯もアイロンも検品も採寸も撮影も出品も、商品点数に比例する。売上を倍にしたければ点数を倍にする必要があり、点数が倍になれば作業も倍になる。単価を上げるか、人を入れるか、工程を外注・自動化するか以外に、この比例関係を切る方法はない。週5〜10時間という制約を保つ限り、月25万円前後が構造上の天井になる。

もうひとつのリスクは売上の振れ幅である。好調月36.2万円に対し不調月12.7万円。仕入れは月1〜2回の固定サイクルで先に発生するため、売れない月にも在庫は積み上がる。原価率35%というルールは、この在庫リスクを許容範囲に収めるための保険としても機能している。

持ち込めるもの、持ち込めないもの

再現しやすいのは仕組みの側だ。原価率を先に決めて仕入れ判断を二値化すること、自社ECとマーケットプレイスを一定比率で併走させること、稼働を週5〜10時間と決めて事業規模のほうをそこに合わせること、自宅1室で固定費を持たないこと。いずれも資本も特別なスキルも要求しない。開業に必要な古物商許可も、手続き上のハードルは低い。

再現しにくいのは、買い付けそのものである。ワカバヤシ氏は開業理由を「結局のところ【好き】という気持ちが1番大切だと思ってます」と書き、締めくくりでも「好きな事をしてお金が稼げるって最高に楽しいです」と述べている。月1〜2回の現地買い付けは、興味のない人間にとっては純然たる労働時間だが、好きな人間にとっては趣味の延長として消化される。週5〜10時間という数字が成立しているのは、11工程のうち最も時間を食う工程が本人にとってコストとして計上されていないからだ、という読み方はできる。目利きの精度、買い付けルートの確保も同様で、これらは1年目から誰にでも揃うものではない。

副業ECの検討材料として、この事例が提供している最も有用な数字は年商300万円ではない。原価率35%、週5〜10時間、月あたり粗利16万円、そして「一人ではここが限界」という自己申告のセットである。

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出典

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