事例 売却済み

料理系YouTube(登録110万人)、350万円で成約(月間収益の約30.3ヶ月分)

ラッコM&A公開成約事例(第2弾)より。料理系YouTube(登録110万人)が350万円・掲載から61日で成約。掲載データから個人規模M&A市場の実勢を記録する。

執筆: Small Start 編集部(公開情報の要約+独自分析)

料理系YouTube(登録110万人)、350万円で成約(月間収益の約30.3ヶ月分)

月商11.5万円は、月商を公開している掲載259件のうち下から13%。掲載全体の月商中央値は225万円です(データ集計)。

更新が止まったチャンネルが第2弾の最高額になった

投稿数はわずか49本、しかも掲載タイトルによれば「5年近く更新なし」。それでも350万円と、第2弾20案件の最高額で成約したのが本件の料理系YouTubeチャンネルである。動画を作り続けなければ収益が止まる。そんな通念を反転させる「資産型チャンネル」の値付けがどう決まったのか、ラッコM&Aの成約事例一覧と案件詳細ページの掲載情報から検証する。

なお本記事タイトルの「登録110万人」は成約事例一覧をもとにした初出時の表記だが、案件詳細ページに記載された登録者数は110,000人(11万人)である。以下の分析は11万人を前提とする。

成約の数字(ラッコM&A掲載情報より)

項目数字
成約価格350万円
登録者数11万人
投稿本数49本(ミリオン再生8本・10万再生超45本)
月間売上直近11.5万円(平均12.6万円・最高19.4万円)
年間利益140万〜150万円
検索流入割合約35〜40%
運営開始2020年3月
更新状況停止中(掲載文言では「5年近く更新なし」)
TV使用実績TBS系「フェルマーの料理」/関西テレビ「よ〜いドン!」
掲載から成約まで61日
売買経路ラッコM&A(売主手数料無料)

本件は運営者インタビューではなく、公開されている成約事例と案件詳細の掲載情報から市場の実勢を記録するものだ。

49本中45本が10万再生という打率

チャンネルの形式は、顔出し・声出しなしの手元映像+フルテロップ。2020年3月開設で総投稿は49本しかないが、うち45本が10万再生を超え、ミリオン再生が8本。10万再生に届かなかった動画は4本だけという打率である。映像はTBS系金曜ドラマ「フェルマーの料理」と関西テレビ「よ〜いドン!」での使用実績が掲載されており、素材としての品質が外部評価を得ていたことも読み取れる。

収益を支えるのは流入構造だ。検索流入が約35〜40%を占める。レシピは「作りたいときに検索される」コンテンツであり、新作を出さなくても過去動画が再生され続ける。収益源はYouTubeの収益化プログラムに加えて楽天・Yahoo!・Amazonのアフィリエイト。更新なしのまま年間利益140万〜150万円を維持したという実績が、掲載タイトルの中心に据えられている。

350万円の内訳を検証する

350万円は直近月売上11.5万円の約30.3ヶ月分。ラッコM&A掲載の評価倍率では直近利益の31ヶ月分・平均利益の28ヶ月分にあたる。当サイトが記録してきた第1弾・第2弾のYouTube案件の倍率はおよそ3.5〜229ヶ月分と分散が激しいが、収益が月10万円を超える案件でこの水準は高い部類だ。

倍率を押し上げた要素は掲載情報から特定できる。まず「更新なしで収益維持」という実績そのものが放置耐性の証明になっていること。次に顔出し・声出しなしの形式で、演者の交代問題が構造的に存在しないこと。譲渡内容にはチャンネル(ブランドアカウントのオーナー移転)と全コンテンツの著作権に加え、運営マニュアル、「伸びやすい動画ネタの傾向」「ターゲット層詳細」「SEO対策方法」の資料、2ヶ月間の購入後サポートが含まれること。そして競業避止期間36ヶ月。売主は3年間、同種チャンネルを作れない契約であり、20案件の中でも突出して長い拘束が買い手を守っている。

登録者単価で見ると350万円÷11万人=約32円/人。同じ第2弾の風景写真Instagram(5.9万フォロワー・15万円=約2.5円/人)とは桁が違うが、これはフォロワー数への値付けではなく、フォロワーが生み続ける収益実績への値付けだからである。

減衰カーブという最大の変数

リスクも数字に表れている。月間売上は最高19.4万円、平均12.6万円、直近11.5万円。平均より直近が下という並びは、緩やかな下り勾配を示唆する。更新停止チャンネルの再生数がこの先も同じペースで維持される保証はなく、買い手の回収期間はこの減衰カーブの傾き次第で30ヶ月にも、それ以上にも延びる。また案件情報では属人性「あり」と明記されている。手元映像とはいえ調理と構成の技量は前オーナーのものであり、買い手が新作を投入して45/49の打率を再現できるかは未知数だ。61日という成約期間が第2弾の中で長い側に入るのは、350万円という絶対額に加えて、この「過去の実績は確かだが将来は減衰し得る」構造の査定に時間がかかったためと見るのが自然である。

どの条件なら一般化できるか

再現の条件は組み合わせで考える必要がある。検索され続けるジャンル(レシピ・ハウツー系)、顔出しなしで属人性を抑えた形式、量産ではなく1本あたりの品質で勝負する構成。この3点が揃ったとき、更新を止めても収益が残る資産型チャンネルになり得る。総投稿49本という少なさは、毎日投稿型と正反対の戦略が資産価値に転じた例と読める。ただし45本が10万再生超という打率は明らかな外れ値であり、形式を真似ても打率までは再現しない。この事例が示すのは方法論ではなく、「YouTubeチャンネルの価格は登録者数ではなく、更新が止まった後も残る収益で決まる」という値付けの原理である。

同時期の成約20件との比較

ジャンル成約価格月間収益倍率
歴史系解説YouTube(月収益700円)16万円700円228.6ヶ月分
スポーツ長尺YouTubeチャンネル88万円7,351円119.7ヶ月分
ゲーム解説・雑学ショート(登録2.6万)25万円5,391円46.4ヶ月分
料理系YouTube(登録11万人)350万円11.5万円30.3ヶ月分
スマホ・ガジェット情報サイト16万円7,779円20.6ヶ月分
美容・クレカブログ(外注運営)56万円3.5万円16.0ヶ月分
ホテル情報ブログ(楽天トラベル)95万円8.8万円10.7ヶ月分
アパレルEC事業(外注化済み)216万円34.2万円6.3ヶ月分
海外インフルエンサー翻訳ショート32万円5.3万円6.0ヶ月分
アイドル特化ブログ(AIプロンプト付)21万円3.6万円5.8ヶ月分
プロレス解説チャンネル20万円5.8万円3.5ヶ月分
レンタルサーバー・ドメイン情報サイト8万円2.3万円3.4ヶ月分
結婚相談所SEOメディア+アメブロ22万円6.9万円3.2ヶ月分
Amazonセラーアカウント(10年運営)138万円非公開—
金運AI動画のYouTube+TikTokセット8.8万円非公開—
風景写真Instagram(5.9万フォロワー)15万円非公開—
Amazon美容系セラー75万円非公開—
Vtuber切り抜きチャンネル(公認)32万円非公開—
配信者公認エンタメ切り抜き12万円非公開—
渋谷カフェ情報Instagram30万円非公開—

第1弾の15件(心理学YouTube 480万円等)と合わせると、サイト≒20ヶ月分・YouTube=3〜120ヶ月分と分散大・SNSアカウントはフォロワー単価数円という相場観がさらに固まってきた。倍率の分散はそのまま「収益の持続性への確信度」の分散である。本件の30ヶ月分は、検索流入という持続性の根拠が倍率に変換された例と位置づけられる。

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出典

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