コラム

購読率が9倍高くても、売上の桁は2つ下だった。noteで課金している3人の実数

noteでの課金額を実数で公開している掲載6件から、3件を同じ枠に入れて比べた。フォロワー1,500人で購読率0.5%の個人と、SNSの登録者83万人で0.06%の発信者。率では小さいほうが9倍高いのに、月額課金の売上は桁が2つ下にある。買い切りで月40万円に届いた3人目は、母数の掛け算に乗らない。

執筆: Small Start 編集部
購読率が9倍高くても、売上の桁は2つ下だった。noteで課金している3人の実数

noteで月額課金をしている2人の購読率を並べると、数字の向きが逆になる。フォロワー1,500人に対して購読者8人、つまり0.5%の個人と、SNSの登録者が合計83万人いて月額会員が478名、割ると0.06%の発信者。読者のうち何%が課金に進んだかという一点だけで見れば、小さいほうが9倍効率がいい。

ところが月額課金から入ってくる金額は、前者が手数料を引いて約8,000円、後者が月平均77万2,500円である。手数料の扱いが出典でそろっていないので倍率は桁で見るしかないが、2桁ちがう。率で9倍勝っている側が、金額では100分の1の側にいる。

公開中の480件のうち、noteでの課金額を実数で書いている事例は6件ある。ここではそのうち3件を同じ枠に入れる。何を売ったのか、客をどこから連れてきたのか、どう課金したのか。選んだ基準と、外した3件の理由は最後に開示する。

同じ棚で、課金の形だけが違う3人

事例売っているもの客の出どころ課金の形公開されている売上
AI FREAKAIツールの使い方YouTube 8.1万人、Instagram 58万人、TikTok 17万人月額980円と1,980円、会員478名2025年の年間927万円(月平均77万2,500円)
かけるAI活用と生産性の記事noteのフォロワー1,500人月額500円のち700円、購読者8→5→15人マガジン3ヶ月で約16,000円、約2,500円、約8,000円
まじま副業で4回撤退した経緯とノウハウ公開されていない買い切り、1本ずつ開始3日目に500円、5ヶ月後に月40万円超

売っているものはどれも文章で、棚も同じnoteである。そろっていないのは客の人数と課金の形だけだ。1件ずつ見ていく。

83万人の0.06%が、年927万円になる

AI FREAKという名義でAIツールの使い方を発信している運営者は、2025年1年間の売上を927万円と公開している。出発点は同じ年の1月で38,500円、2月が65,680円。途中で月100万円を超え、最高の月が160万円、10月から12月は横ばいだった。

金額の正体は単発の有料記事ではない。クリエイターページで確認できるのは月額980円のプランと1,980円のプラン、そして参加者478名である。478名が全員980円なら月468,440円、全員1,980円なら月946,440円で、年927万円を12で割った月平均772,500円はこのレンジの内側に落ちる。年商の大半は記事の当たり外れではなく、契約の残高で説明がついてしまう。

運営者が無料記事について書いていることは、この構造の裏返しになっている。有料級の情報を無料側で出し惜しみなく公開したという。単発販売なら1本に鍵をかけて即座に回収したほうが早い。月額課金はそうならない。この人の有料側も読む価値があるという判断を先に取らないと契約が始まらないので、無料記事が広告費のかからない試供品として働く。煽り文句を禁じ手にしている理由も同じところにある。売り切った時点で終わる商売ではなく、買った後に納得し続けてもらうことが売上そのものになる商売だからだ。

10月から12月の横ばいも、月額課金の性質がそのまま出た区間である。新規の契約数と解約数が釣り合えば、何本書いても残高は動かない。

1,500人の0.5%は、3人やめると8割消える

2人目は「かける」名義でAI活用と生産性について書いている個人である。マガジン開設前のnote売上は月約8万円(オンライン講座と単品販売)で、noteのフォロワーは1,500人。そこへ月額500円、週2回更新の定期購読マガジンを足した。

1ヶ月目は開設から24時間で8人が購読し、以降の追加はほぼゼロだった。初日に取り切った数がそのまま月の数字になっている。既存フォロワーのうち告知を見てすぐ動く層は初日で尽きるので、新しいフォロワーが入ってこない限り購読者は増えない。かわりに、週2回という約束は月8本の執筆義務として毎週やってくる。

2ヶ月目、3人が解約して5人になった。売上は約16,000円から約2,500円へ落ちている。3人減っただけで8割以上が消えた。本人が挙げた原因は、週2回と告知した更新が週1回になりさらに遅れたこと、開設時の新規感が消えたこと、そして無料で読める発信と中身がそこまで変わらないと読者が気づき始めたことだった。最後の一つが月額課金の急所である。単品販売なら買われた時点で取引が閉じるが、月額は毎月その差額を検証される。

3ヶ月目の立て直しは、方向がすべて減らす側だった。テーマを「AI活用の情報」から「月5万円以上を稼ぐために自分が試して効果があった方法」へ絞り、更新を週1回の金曜に固定し、残った5人に謝罪と新企画のプレビューを出し、月額を500円から700円へ上げた。購読者は15人に戻り、売上は約8,000円になった。

数字はそのまま見たい。15人・約8,000円は、1ヶ月目の8人・約16,000円を金額では超えていない。戻ったのは人数であって売上ではない。本人は記事1本の執筆を2〜3時間、月4本で8〜12時間と書いていて、約8,000円で割ると時給600〜1,000円になる。割が悪いと自分で書いている。

値上げの効き方はおもしろい。内容を絞り、頻度を落とし、値段を上げたのに人数は増えた。払う人が入れ替わったからである。汎用のAI情報を待っていた読者と、月5万円の作り方を検証済みで知りたい読者は、同じ1,500人の中にいても別の買い手だ。

買い切りは母数に乗らない。本数に乗る

3人目の「まじま」はnoteで買い切りの記事を売っている会社員である。ここに来る前に4つ撤退していて、その数字も同じ記事に並んでいる。メルカリ転売は初月売上3万円に対して利益8,000円で2ヶ月。ブログは毎日2時間を6ヶ月投じて月100PV・収益ゼロ。YouTubeは1本5時間以上で10本作って登録者20人、3ヶ月。クラウドソーシングは3,000文字3時間で報酬1,500円、時給500円で1ヶ月。

noteでは初投稿から3日目に500円の売上が立ち、5ヶ月後に月40万円を超えたと書いている。金額よりも効いているのは、5ヶ月前に書いた記事がいまも月2〜3万円を生んでいるという一文のほうだ。1本が月2〜3万円を続けるなら、同水準の記事が十数本あれば月40万円台に届く。この売上は母数の関数ではなく、本数の関数になっている。

買い切りには解約が無い。買われた時点で取引が閉じるので、読者の継続判断が毎月やってこない。そのかわり、立った売上は積み上げる以外に増えない。478名が翌月もそこに残っている月額課金とは、増え方の形が違う。

ただし3件のうち数字の裏づけがいちばん薄いのはこの事例である。月40万円を示す管理画面は無料の範囲に出ていないし、到達までの記事本数も1本あたりの価格も有料部分にある。編集部はこの40万円を検証できない自己申告として扱っている。構造として読む価値があるのは、3日目の500円という回収の速さと、5ヶ月前の記事が月2〜3万円という持続のほうだ。

売上を決めていたのは本文ではなく、課金が乗っている変数だった

月額課金の売上は、母数と購読率と単価の掛け算である。83万人の0.06%は478名で、そこに980円から1,980円を掛ければ月46万円から94万円の帯になる。1,500人の0.5%は8人で、何を掛けても万円の手前にしか着かない。購読率が9倍高くても、母数が554分の1なら掛け算の答えは戻らない。実際に戻っていない。

しかも母数が小さいと分子が1桁になる。3人の解約が売上の8割を持っていくのは意志や努力の結果ではなく、8という分子の性質である。この脆さは施策では解けない。

買い切りの売上は、本数と単価の掛け算である。母数の項が入っていないので、フォロワーが何人かという問いそのものが成り立たない。だから5ヶ月で月40万円という速さも、読者数ではなく書いた本数と単価で説明される。

3件を並べて、編集部はこう読んだ。noteで売上を決めていたのは文章の質ではなく、何人の買い手が先に外側にいて、その買い手にどの形式で課金したかである。値段を決めているのは売り手が作ったものではなく買い手が誰か、という読みの人数版がここに出ている。同じ文章でも、買い手の人数が3桁ちがえば売上の桁も動く。

ここからは推測だが、月額課金に向いているかどうかは文章力とほとんど関係がない。関係しているのは、課金を始める前に外側で何人集めたかだ。3件のうち月額で桁を上げられたのは、noteの外にYouTubeとInstagramとTikTokを持っていた1人だけである。

3人とも、どこかの時点で時給が3桁だった

共通点がもう一つある。時給である。かける氏は月4本・約8,000円で時給600〜1,000円。AI FREAK氏の年927万円は毎日2〜3時間を365日続けた約900時間で割れば時給1万円に見えるが、それは1年走り切った後の結果値で、1月の38,500円の時点では時給400円程度の作業だった。まじま氏がnoteの前にやっていたクラウドソーシングは時給500円である。

桁が上がった後の数字だけを並べると、この区間はきれいに消える。3件とも、始まりの時給は3桁だった。

この3件を選んだ基準と、外した3件

選んだのは編集部なので基準を書く。公開中の480件のうちnoteでの課金額を実数で公開しているのは6件で、そこから課金の形がはっきり分かること、買い手の出どころが本人の記述から分かること、の両方を満たす3件を取った。

外した3件にも理由がある。有料note1本で5年8,000万円は桁がこの3件より大きいが、派生売上まで含めた自己申告で検証の余地が小さい。安斎響市氏の4年は買い切りで月1万円から始め、3年目に定期購読マガジンで月100万円を超えた記録なので、横に並べる事例ではなく時間軸の事例になる。買い切りで先に読者を作ってから月額へ移った順番は、今回の読みと同じ向きを指している。イケダハヤト氏の月商405万円はブログ収益の内訳としてnoteの107万円が出てくる形で、note側の課金設計の記録ではない。

限界は4つある。1つ、83万人はYouTubeとInstagramとTikTokの登録者の合計で、重複は分からないし、noteのフォロワー数でもない。1,500人のほうはnote内の数字なので、購読率の9倍という比較は厳密ではない。2つ、手数料の扱いが出典でそろっていない。1ヶ月目の約16,000円には手数料控除後の約11,200円が併記され、2ヶ月目以降は控除後の額が出ている。だから金額は桁でしか比べていない。3つ、3件とも金額を公開したくなった人である。同じ月額課金で会員が増えないまま畳んだ人は、この6件に入っていない。4つ、n=3なので中央値は出さない。

分布のほうを見たい場合は、月額課金の天井を解約率から数えた解約率を公開した10件と、一人と副業の月商を集計した一人でどこまで行けるのかに置いた。金額の定義はデータ集計の「数字の読み方」にある。

noteという棚の名前は、売上の形を何も説明していない

3件を書き終えて、プラットフォーム名で事例を束ねることへの信用が落ちた。noteで年927万円、noteで月40万円、noteで月8,000円。並べたところで、同じ棚に置かれているという以上のことを何も言っていない。売上の形を決めていたのは棚ではなく、課金の形式と、課金を始める前に外側にいた人数だった。

だから「noteで月いくら」という見出しは、金額の情報しか持っていない。その金額が母数に乗っているのか本数に乗っているのかで、翌月の増え方も、3人やめたときの減り方も、まるで別の事業になる。先に見るべきなのは金額ではなく、そちらだ。

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本コラムは、Small Startに掲載している事例(すべて出典付きの公開情報)の集計と、公開情報の分析にもとづく編集部の見解です。特定の事業・投資・副業を推奨するものではありません。

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出典

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