note有料マガジン3ヶ月の実測。購読者8→5→15人、売上1.6万円→2,500円→8,000円
フォロワー1,500人・note月売上8万円の個人が月額500円の定期購読マガジンを開設。1ヶ月目8人・約16,000円から2ヶ月目に3人解約で5人・約2,500円へ落ち込み、更新頻度を週2回から週1回に減らして700円に値上げした3ヶ月目に15人へ回復した記録。
執筆: Small Start 編集部(公開情報の要約+独自分析)
月商8万円は、月商を公開している掲載227件のうち下から11%。掲載全体の月商中央値は157万円です(データ集計)。
サブスクリプションの事例記事は、たいてい増えていく数字だけを見せる。この事例が珍しいのは、増えて、減って、また増えるという3ヶ月分の全区間が、購読者数と手数料後の売上まで揃った形で公開されている点にある。しかも金額の桁は小さい。最も良かった月で売上約16,000円、最も悪かった月で約2,500円。定期購読マガジンという仕組みが、フォロワー1,500人規模の個人に対して実際にいくら返してくるのかが、そのまま出ている。
書き手は「かける」名義でAI活用や生産性について発信している個人である。マガジン開設前の状況は、noteのフォロワー1,500人、note経由の月売上が約8万円(オンライン講座と単品販売)。そこに月額課金の柱を足そうとした3ヶ月の記録を追う。
3ヶ月の推移
| 月 | 購読者数 | 売上 | この月にしたこと |
|---|---|---|---|
| 開設前 | — | note月売上 約80,000円(講座・単品販売) | 月額500円、週2回更新(月・木)で設計 |
| 1ヶ月目 | 8人 | 約16,000円(手数料控除後 約11,200円) | 開設24時間で8人が購読。以降の追加はほぼゼロ |
| 2ヶ月目 | 5人(3人解約) | 約2,500円(手数料控除後) | 更新が週2回→週1回、さらに遅延 |
| 3ヶ月目 | 15人(新規13人) | 約8,000円(手数料控除後) | コンセプト絞り込み、更新を週1回(金)に固定、700円へ値上げ |
購読率にも触れられている。フォロワー1,500人に対して初月の購読者8人は0.5%。定期購読マガジンの立ち上がりを見積もるとき、この0.5%という数字は一つの実測値になる。
1ヶ月目——開設24時間で天井を打つ
開設直後の24時間で8人が購読した。ここまでは順調に見えるが、問題は「以降ほぼ増えなかった」点にある。既存フォロワーのうち、告知を見てすぐ動く層を初日に取り切ってしまうと、その後は新規フォロワーの流入がない限り購読者は増えない。開設初日の数字が、そのまま月の数字になった。
一方で、コストは初日で終わらない。週2回更新という約束は、月8本の執筆義務として毎週やってくる。売上16,000円に対して、この負荷は割に合わない——という感覚が、2ヶ月目の崩れにつながっていく。
暗転——2ヶ月目に何が起きたか
2ヶ月目、購読者は8人から5人へ減った。3人の解約である。売上は約16,000円から約2,500円へ、実額で8割以上落ちた。書き手はその原因を三つに整理している。
一つは更新頻度の破綻。「週2回」と告知して始めたものが週1回になり、さらに遅延した。二つ目は、開設時の「新規感」が消えたこと。三つ目が最も本質的で、「Twitterで無料で読める内容とそこまで変わらない」と読者が気づき始めたことである。
ここが定期購読モデルの急所である。単品販売なら、買った時点で取引は完了する。定期購読は毎月継続の判断が発生するため、無料の発信と有料の中身が同じであることが露呈した瞬間に、その差額分が解約という形で回収される。無料と有料の境界を曖昧にしたまま走ると、月をまたぐたびに検証される。
立て直しの中身——減らして、絞って、値上げした
3ヶ月目に打った手は四つで、方向はいずれも「増やす」ではなく「絞る」だった。
第一に、コンセプトの限定。「AI活用の情報」という広いテーマを、「月5万円以上を稼ぐために、実際に自分が試して効果があった方法」へ絞り込んだ。汎用情報から、当事者の検証済み情報へ移した形である。
第二に、更新頻度を週2回から週1回(金曜)へ減らした。約束を守れない頻度を掲げ続けるより、守れる頻度に下げるという判断である。
第三に、既存購読者へ謝罪し、新企画のプレビューを配信した。残った5人に対して先に説明を入れている。
第四に、月額500円から700円へ値上げした。購読者が減った直後に価格を上げるのは直感に反するが、内容の性質を変えた以上、価格でもそれを示したことになる。
結果、購読者は5人から15人へ。新規13人が入り、売上は手数料控除後で約8,000円になった。
何が効いたのかを分解する
回復の主因は、「無料でも読めるもの」から「無料では読めないもの」へ中身の性質を変えたことにあると読むのが妥当だろう。解約の原因が「Twitterと変わらない」だったのだから、直すべきは頻度でも価格でもなく差別化である。3ヶ月目のコンセプト変更は、その原因に正面から対応している。
更新頻度を減らしたことも、売上には逆説的にプラスに働いている。週2回で内容が薄いより、週1回で密度が高いほうが、定期購読の継続判断には有利になる。書き手自身が挙げている「納期の心理的負荷」も、月8本から月4本になれば半減する。
値上げは、この文脈では単独の施策ではなく、コンセプト変更の宣言として機能している。500円のまま中身だけ変えても、既存フォロワーには変化が伝わりにくい。
ただし、数字を冷静に見れば、15人・約8,000円は1ヶ月目の16,000円(税・手数料前)を金額では超えていない。回復したのは購読者数であって、売上は初月を下回ったままである。この事例を「V字回復」と呼ぶのは正確ではない。
割に合っているのか
書き手は自ら時給換算している。記事1本あたりの執筆時間は約2〜3時間、月4本で8〜12時間。売上約8,000円で割ると時給600〜1,000円になる。「正直に言うと割が悪い」と本人が書いている。
それでも継続を決めた理由として挙げられているのは、伸び代が残っていること、購読者からのフィードバックが得られること、毎週の納期が制作の質を上げることの三つである。つまり、この3ヶ月の定期購読マガジンは、収益事業としてではなく、既存のnote売上(月約8万円)を支える顧客接点への投資として位置づけ直されている。
書き手は向き不向きも整理している。向くのは、納期をチャレンジと感じられる人、コミュニティ的な価値を重視する人、ニッチなテーマを扱う人。向かないのは、納期がストレスになる人、急成長を期待する人、既に高単価商品を売っている人。最後の一つは重要で、単価数万円の講座を持っている場合、月700円のマガジンに時間を割く合理性は薄い。
どこまで一般化できるか
再現できるのは、失速時の対応の順序である。解約が出たときに真っ先に触りたくなるのは価格と頻度だが、この事例は「無料との差」という原因に手をつけてから、頻度と価格を調整している。原因と施策の対応関係が明確なので、同じ手順は他のテーマでも成り立つ。
再現できない、あるいは条件付きなのは規模である。フォロワー1,500人・購読率0.5%という前提では、購読者数の絶対値が小さすぎて、3人の解約が売上の8割を消してしまう。この脆さは施策では解けず、母数を増やすしか手がない。逆に言えば、母数が十分にある発信者にとっては、この事例で起きた「暗転」はもっと緩やかな数字の揺れとして現れる。
そしてもう一つ、この記事自体が公開されたことによる効果は測定不能である。3ヶ月目に新規13人が入った時期と、運営記録を公開する発信の時期が近ければ、購読者の増加はコンセプト変更ではなく発信そのものの効果かもしれない。公開されているデータからは、この切り分けはできない。
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出典
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