広告費ゼロ・4人で$1M ARR。Google Analytics対抗のPlausibleが証明した「思想で売るSaaS」
プライバシー重視のアクセス解析Plausibleは、2019年5月の公開から$400 MRRまで324日かかったが、その後9ヶ月で$10K MRRへ。広告費ゼロ・チーム4人・完全自己資金で$1M ARRに到達した。武器はコンテンツと「Googleへの対抗」という思想。
執筆: Small Start 編集部(公開情報の要約+独自分析)
※ 本文の円換算は1ドル=150円で計算したざっくりした目安。
成長のタイムライン
| 時期 | 数字 |
|---|---|
| 2019年5月 | 公開 |
| 公開から324日 | ようやく**$400 MRR** |
| その後9ヶ月 | $10,000 MRR |
| さらに10ヶ月 | $500K ARR |
| さらに8ヶ月 | $1M ARR |
何をやっていたのか
Plausibleは、Google Analyticsの代替となるプライバシー重視・Cookieレスのアクセス解析SaaS。コードはオープンソースで、クラウド版のサブスクリプションが収益源だ。チームは4人。有料広告を一切使わず、自己資金のみで運営している。
集客 — 広告の代わりに「思想」と「比較コンテンツ」
Plausibleの成長は、マーケティングの定石を1つずつ裏切っている。
- 有料広告ゼロ。成長はオーガニックな口コミが中心
- ブログで「Google Analyticsの問題点」「プライバシーとWeb分析」といった思想を語るコンテンツを書き続け、GDPR時代の「脱Google」の受け皿として認知された
- オープンソースであること自体が開発者コミュニティでの信頼と拡散を生んだ
最初の1年(324日で$400 MRR)はほぼ誰にも見つからなかった。転機はプロダクト改善ではなく、書くことをやめなかったコンテンツが検索とSNSで参照され始めたことだった。
数字の裏を読む
「巨人への対抗」ポジションは小規模チーム最強のマーケティングである。 Google Analyticsという誰もが知る巨人の「against」に立つことで、Plausibleは説明コストゼロで自己紹介できる(「プライバシー版GA」)。比較検索(GA alternative)の受け皿にもなる。何であるかより、何の代替かを言う方が小さなプロダクトは速く伝わる。
324日$400 MRRは「失敗」ではなかった。 Bannerbearの8ヶ月$0、教育系アプリの初年度12万円と同じく、ストック型の初年度は将来を予測しない。Plausibleの場合、初年度に書き溜めたコンテンツが2年目以降の複利の原資になった。
思想は解約率にも効く。 価格や機能で選んだ顧客は価格や機能で去るが、「Googleにデータを渡したくない」という理由で選んだ顧客は競合に乗り換える理由がない。選ばれる理由を思想に置くと、獲得と維持の両方が安定する。
自分に置き換えるなら
- 再現しやすい点: 「大手の倫理的・構造的弱点の逆を張る」ポジショニングと、比較検索を取りに行くコンテンツ戦略は、解析以外の領域でも繰り返し有効
- 限界: オープンソース化は開発者向け製品でこそ信頼になる。また「脱Google」はGDPRという追い風があった。思想マーケは時流と噛み合って初めて機能する
関連事例
出典
- Plausible公式ブログ「How we built a $1M ARR open source SaaS」
- Plausible公式ブログ「How we bootstrapped our Google Analytics alternative to $500k ARR」
本記事は上記の公開情報の要約と独自分析です。詳細は必ず一次情報をご確認ください。