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Bumblebee Linens、ハンカチのECで初年度に妻の年収$100Kを置き換える。18年かけて積んだ10本の収入源

Steve & Jennifer Chou夫妻が2007年に始めたハンカチのECは初年度に妻の年収$100Kを置き換え、現在は年$1M超。ブログは2016年に年商7桁、講座は35人の前払いから始まった18年の記録。

執筆: Small Start 編集部(公開情報の要約+独自分析)

Bumblebee Linens、ハンカチのECで初年度に妻の年収$100Kを置き換える。18年かけて積んだ10本の収入源

2007年、シリコンバレーで働くハードウェアエンジニアの妻が妊娠した。彼女は仕事を辞めて子育てに専念したい。ただし当時の年収は$100K。この金額を別のところから作らないと生活が変わってしまう。

夫婦が選んだ答えが、ハンカチと結婚式向けリネンをネットで売ることだった。Steve Chou氏は当時を「友人たちにハンカチをオンラインで売りたいと言ったら、全員に頭がおかしいと思われた」と書いている。そのニッチすぎる店Bumblebee Linensは、初年度に$100K超の利益を出して妻の給与を置き換え、本人の記述では現在も年$1M超を売り上げている。

この事例が興味深いのは、ECが成功したことよりも、そこから先の積み上げ方にある。店の運営記録を書いたブログMyWifeQuitHerJob.comは2016年に単体で年商7桁に到達し、そこから講座、ポッドキャスト、カンファレンスが生えた。本人は現在、10本の収入源で年$2M超と公表している。

主な出来事

時期出来事と数字
2007年Bumblebee Linens開業。初年度に$100K超の利益を出し、妻の年収$100Kを置き換える
2009年ブログMyWifeQuitHerJob.com開始。当初の目標は「住宅ローンをまかなうこと」
開始から約3年後抵抗していたオンライン講座を、中身ゼロの販売ページで告知。1週間で35人が$300ずつ支払う
2014年ポッドキャスト開始。のちにApple Podcastsのマーケティング部門でトップ25に
2016年5月19日自主開催のカンファレンスSellers Summitを初開催
2016年ブログが年商7桁到達(前年比+46%)。2月は単月$125,000で過去最高
2016年10月1日17年勤めた会社を正式に退職
現在ECは年$1M超、収入源は10本で合計年$2M超

「置き換えるべき金額」が最初から決まっていた

多くの副業と違い、この事業には開始時点で明確な目標金額があった。$100K——妻の年収である。事業計画としては雑だが、意思決定の軸としては強い。何を売るか、いくらで売るか、いつ辞められるかが、すべてこの1本の数字から逆算できる。

選んだのがハンカチという狭い商材だったのも、この逆算の結果として読める。市場が小さければ大手が入ってこない。単価が低くても、結婚式やギフトという用途は名入れなどの付加価値を乗せやすい。$100Kという目標は、巨大市場を取りにいかなくても届く高さだった。

目標を金額で置いてから商材を決めるという順序は、BASEで作家もの雑貨を売り、平均月商1万円から53.8万円まで6年かけて積み上げたショップのような、数字を見ながら商品構成を動かしていく運営とも通じる。逆に言えば、目標金額がないと「もう少し伸ばす」から降りられなくなる。

講座は、作る前に需要を測っている

3層構造のうち最も再現性の議論に値するのが、講座の立ち上げ方だ。本人によれば、読者から直接学びたいという要望は早くからあったが、彼は約3年間それを断り続けた。そして、あるとき販売ページだけを作ってこう書いた。「講座はまだ存在しませんが、10人以上申し込みがあれば作ります」。

1週間で35人が$300ずつ支払った。中身はまだ1レッスンも無い。ここで初めて制作に入り、現在は500レッスン超、10年にわたって毎週ライブのオフィスアワーを続けている。

これはコンテンツを作ってから売る順序を反転させた話であり、同時に「読者数が課金に変換できるか」を最小コストで検証した話でもある。オーディエンスを持つ人が有料商品を出す構造は、無料37.7万人・有料1.8万人で年商$2M超に達したLenny’s Newsletterにも共通するが、あちらが有料化6週間で450人を集めたのに対し、こちらは35人で走り出している。開始時の絶対数は問題ではない、というのがこの事例の示すところだ。

2016年のブログを分解する

ブログ単体の年商7桁がどう作られたかは、本人の収益レポートに材料がある。この年、トラフィックの伸びは+15.3%にとどまったのに、売上は+46%伸びている。差分の説明として挙げられているのが、既存訪問者の収益化を改善したという点だ。

具体的にはウェビナーで、2016年だけで約$500Kを生んでいる。使ったツールは無料のGoogle HangoutsとChatWing。さらに、講座購入者の類似オーディエンスに向けてコンテンツ認知型のFacebook広告を回し、そこからメール登録に誘導して30通のオートレスポンダーに繋ぐ、という導線が組まれている。

そしてこの規模を、本人はアシスタント1人を除けば「ほぼ一人」、週15時間で維持していると書いている。他の起業家から「従業員がいないから本物のビジネスじゃない」と言われたことに触れ、週15時間と低ストレスの生活で7桁と交換できるならそれでいい、と返している。

弱点として読める部分

この構造は本人に強く依存している。ブログもポッドキャストも講座のオフィスアワーも、Steve Chou氏という個人が出ることで成立する。10年続けている毎週のライブ対応は、資産であると同時に降りられない負債でもある。

また、公表されている「年$2M超」の中身には、株式投資とエンジェル投資が含まれている。10本の収入源のうち2本は事業ではなく投資であり、事業としての売上を測る数字としてはそのまま使えない。本記事が月商の基準にECの年$1M超を採ったのはこのためだ。

時期の問題もある。EC開業は2007年、ブログは2009年、講座は2010年代前半。検索流入もFacebook広告の単価も、当時と今では条件が違う。本人も収入源は「10年以上かけて積み上げた人生の仕事」であり一晩でできたものではないと明記している。

初年度$100Kと、18年かけた$2M

ECの初年度$100Kは1年で出た数字だが、$2Mの収入構造はそこから十数年かけて積んだものだ。Shopifyアプリを3年でMRR 7.8万カナダドルまで伸ばした事例のように短期で立ち上がる形とは、そもそも設計思想が違う。2つの数字を同じ物差しで並べると、この事例は読み違える。

この事例の読みどころは、最大値ではなく最初の1年にある。「妻の年収を置き換える」という具体的な目標が、ハンカチという商材選択まで一直線に降りていく。始める前に決めた金額が、その後18年の積み上げの土台になっている。

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