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月商1,200万円・利益200万円のD2C — 決定打は「全商品15%値上げ」だった

せどりから6度の撤退を経て立ち上げた自社ブランドが月商1,200万円・利益200万円に到達。決定打は全商品15%の値上げで、売上は変わらないまま月利が2倍になった。5人体制のP/Lを分解する。

執筆: Small Start 編集部(公開情報の要約+独自分析)

月商1,200万円・利益200万円のD2C — 決定打は「全商品15%値上げ」だった

月商1,200万円は、月商を公開している掲載227件のうち上位21%。掲載全体の月商中央値は157万円です(データ集計)。

物販事業者が1ヶ月分のP/Lを丸ごと出した

EC事業者が月商を公開する例は多いが、粗利・広告費・人件費・利益まで並べて出す例は少ない。ちゃちゃ氏(熊本出身、高卒で上京、執筆時点32歳)がnoteで公開したのは、自社D2Cブランドの1ヶ月分の損益がそのまま読める数字だった。法人は5期目、自社ブランドの運営は約3年になる。

公開された1ヶ月の損益

項目金額
売上1,200万円
粗利益600万円
マーケティング費300万円
人件費60万円
その他経費40万円
利益200万円

粗利率50%、営業利益率は約17%。広告費が粗利の半分を食っている構造で、粗利600万円のうち300万円を再投資に回している格好になる。

販路の内訳は次のとおりだ。

販路月商
Amazon500〜600万円
自社EC(Shopify)400万円
楽天市場180万円
Yahoo・Qoo10小規模

体制は本人+パート2名+業務委託のSNS担当2名にスポット外注を加えた5名規模。在庫は約1,000万円(4〜5ヶ月分)を保有し、公庫・信金からの2,000万円の融資と自己資金でこれを回している。月商1,200万円という数字は、外部資本ではなく借入と在庫回転で支えられた数字である点は押さえておきたい。

ここに至るまでに畳んだ6つの物販

自社ブランドは1発目ではない。本人が挙げているのは、撤退の連続だ。

手法期間結果と撤退理由
新品せどり3〜4ヶ月月商200万円に到達するも「ダサい」と感じて撤退
楽天ポイントせどり1年月利10〜20万円。脱サラ後に家賃が払えず撤退
中国輸入メルカリ転売1ヶ月洗濯タグの問題で撤退
メーカー・卸仕入れ半年値下げ合戦に巻き込まれ撤退
卸+OEMおまけセット3年売上は立つが「ブランド力がない」と判断
中国輸入の簡易OEM4年月商200万円・利益30万円。ジャンルがばらけ、レビューも荒れ、持続性なしと判断

27歳で副業せどりを始めたという記述と執筆時点32歳という年齢に対し、各段階の期間を単純に足すと5年を超える。複数を並行していた時期があるとみるのが自然だろう。いずれにせよ、撤退理由が「儲からない」ではなく「持続しない」に寄っているのがこの人の判断軸だ。月商200万円の状態を2回作っておきながら、どちらも自分から降りている。

自社ブランド3年の組み立て

立ち上げ順は、市場リサーチ→コンセプト設計→Xでの開発過程の発信とプレゼント企画→Amazonローンチ(SNS事前施策でベストセラー獲得)→Instagram開始(フォロワー1,000人を目標に毎日投稿、広告でCPF50〜100円)→Shopifyで自社EC構築(無料テーマDawnを自作)→Meta広告(日予算3.5万円)とGoogle広告(日予算1.7万円)の運用開始、という流れになっている。

市場選定では9つの基準を挙げているが、上位に置かれているのは市場規模(月商1,000万円が想像できる需要があるか)、マーケティング難易度(ニッチ寄りのほうが戦いやすい)、ブランド拡張性、利益性(最低粗利50%、単価5,000円以上)である。「粗利50%以上」という条件は、後述する値上げの効き方に直結している。

潮目が変わったのは、値札を書き換えた月

軌道が変わった瞬間として本人が挙げているのは、全商品を15%値上げした月だ。売上が落ちることを懸念しての実施だったが、結果は**売上ほぼ横ばい・利益2倍(月利100万円超)**だった。

なぜこれが効くのかは算数で確認できる。仮に月商1,000万円・粗利率50%・固定費と広告費で400万円かかっている状態(利益100万円)を置く。ここで販売数量が変わらないまま15%値上げすると、売上1,150万円に対して原価は500万円のまま据え置かれるため、粗利は650万円、利益は250万円になる(編集部試算)。値上げ分は原価を通らずそのまま営業利益に落ちるので、粗利率50%・利益率10%程度の事業では「15%の値上げ=利益2倍前後」は構造的に起こりうる。逆に言えば、この打ち手の破壊力は数量が落ちなかったことにすべて依存している。

なぜ数量が落ちなかったのか

値上げ単体では説明がつかない。効いていたのは、その前段に置かれた2つの工程だ。

ひとつは無在庫から有在庫への切り替え。納期が短くなってCVRが上がり、仕入原価が1,000円下がり、無在庫セラー同士の値下げ合戦から離脱できた。もうひとつは開封体験への原価投下で、梱包に500円かけたうえで開封動画を撮影し、広告クリエイティブに載せた。これによりCVRが改善し、広告の日予算を1万円から2万円に上げても耐えられるようになり、販売数が2倍になっている。

つまり順序が逆ではない。「値上げして利益を出す」ではなく、「価格比較の土俵から降りてから値札を書き換えた」。同じ棚に並ぶ無在庫セラーと同じ商品を売っている状態で15%値上げすれば、数量は落ちる。有在庫化と開封体験によって比較対象が自社ブランドしかない状態を先に作ったことが、値上げを通した条件である。発送梱包をパート2名に外注し、本人が売上を作る作業に集中する体制へ移したのも同時期の判断だ。

効かなかった施策

本人が失敗と明記しているものも並んでいる。ポップアップストアは1個しか売れずに終わり、オフラインには別のスキルが要ると総括している。ギフティングやインフルエンサーPRは「見た目系は微妙」、自社アフィリエイトは参加者がほぼ集まらず、一般向けアンバサダープログラムはコントロールが効かなかった。

一方、当たったPR施策は商品紹介アカウントへの依頼で、質の高い層にリーチできたうえ、投稿素材を二次利用して広告クリエイティブに転用できた点が大きい。Instagramのフォロワーは1万人弱と多くはないが、PR投稿は4,000回から180万回再生まで振れ、1万保存に達した投稿もある。ブログSEOでは月6,000オーガニックアクセスに到達している。広告面では、Meta広告80万円(CPO4,000〜5,000円、実質3,000円弱)とGoogle広告30万円が中心で、Amazon広告のACOSと楽天RPPのROASは悪いと明言している。

再現の条件と限界

真似できるのは順序のほうだ。粗利率50%以上・単価5,000円以上を市場選定の条件に置くこと、価格比較から降りるための在庫と梱包への原価投下を先に済ませること、そのうえで値上げを試すこと。この3点はブランド規模に関係なく検証できる。

真似しにくいのは体力側である。月300万円の広告費、1,000万円分の在庫、2,000万円の融資枠は、5期目の法人だから通っている与信であり、初年度に同じ回転は作れない。加えて、6回の撤退で積んだ「どのジャンルが持続しないか」の判断は、記事を読んで得られる種類の知識ではない。本人は売却の意思はないと明言しており、目標は年商3億円・経常利益6,000万円に置かれている。

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出典

本記事は上記の公開情報の要約と独自分析です。 詳細は必ず出典をご確認ください。

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