登録者1万人のYouTube広告収益は月3万円。それでも続ける理由は「企業案件10万円と自社商品」
Web制作系YouTuberしょーご氏が登録者1万人時点の収入を公開。広告収益は月平均約3万円(9ヶ月の月別実額公開)で、本人の結論は「広告だけでは生活不可」。実際の主力は動画1本10万円の企業案件と、広告の数十倍を稼ぐ自社商品だった。
執筆: Small Start 編集部(公開情報の要約+独自分析)
月商3万円は、月商を公開している掲載259件のうち下から5%。掲載全体の月商中央値は225万円です(データ集計)。
「登録者1万人のYouTuber」の広告収入はいくらか。この問いに、月別の実額とRPM(再生単価)まで添えて答えた公開データは国内では珍しい。答えは月平均約3万円。しかも広告単価が最高クラスのジャンルでこの水準である。この記事が読むに値するのは、その「がっかりする数字」を起点に、では発信者は何で食べているのかという収益の全体構造まで本人が開示しているからだ。
公開されている数字
| 項目 | 数字 |
|---|---|
| 広告収益 | 月平均約3万円(2020年10月〜2021年6月の9ヶ月、月別実額公開: 2.1万〜4.1万円) |
| RPM(再生単価) | 800〜1,200円 = ほぼ1再生1円(高単価ジャンル) |
| 登録者 | 5,000人(2020年10月)→10,000人(2021年6月)→約14,500人(2025年) |
| ジャンル | Web制作・フリーランス情報 |
| 企業案件 | 動画1本で約10万円(月1件以上の打診) |
| 自社商品 | 販売収益は広告収益の数十倍 |
月別の実額 — 9ヶ月の推移
本人が公開した月別データを並べると、広告収益の実像がよく見える。
| 月 | 再生数 | 登録者 | RPM | 広告収益 | 投稿本数 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2020年10月 | 2.6万 | 5,000人 | 800円台 | 20,958円 | 0 |
| 11月 | 2.5万 | 6,000人 | 900円台 | 22,951円 | 0 |
| 12月 | 3.4万 | 6,500人 | 900円台 | 33,238円 | 7 |
| 2021年1月 | 4.4万 | 7,000人 | 900円台 | 41,112円 | 4 |
| 2月 | 3.2万 | 8,000人 | 900円台 | 26,072円 | 0 |
| 3月 | 3.3万 | 9,000人 | 1,000円台 | 33,527円 | 0 |
| 4月 | 2.7万 | 9,300人 | 1,000円台 | 28,310円 | 0 |
| 5月 | 3.4万 | 9,800人 | 900円台 | 35,734円 | 5 |
| 6月 | 3.4万 | 10,000人 | 1,200円台 | 41,367円 | 2 |
この表には2つの事実が埋まっている。まず、9ヶ月のうち5ヶ月は投稿ゼロなのに、収益は2万円台を下回らない。過去動画が検索やおすすめ経由で再生され続ける、ストック型メディアとしての性質だ。一方で、投稿を再開した月(12月・1月、5月・6月)は再生数と収益が明確に持ち上がる。ストックだけでは横ばい、伸ばすには投入が要る。フローとストックの中間にあるYouTubeの性格が、実額で確認できる。
事業の概要
しょーご氏はフリーランスのWeb制作者で、自身の実務知識を発信するYouTubeチャンネルを運営する。本格的に取り組み始めたのは2020年1月で、約1年半かけて登録者300人から1万人まで伸ばした。Web制作・フリーランスというジャンルはRPMが最高クラスであるにもかかわらず、登録者1万人時点の広告収益は月3万円前後、本人は「お小遣い程度」と明言している。
RPMを支える工夫も具体的だ。8分以上の動画を投稿する。8分を超えないと動画途中に複数回の広告(ミッドロール)が流れず、収益効率が落ちるためである。それでもRPM800〜1,200円、つまりほぼ1再生1円。平均的なジャンルのRPM(100〜300円程度)の数倍という好条件で、この絶対額だ。
収益の本体は「広告の外」にある
この記録が面白いのは、YouTubeの収益構造を分解して見せたことだ。広告収益(月3万円)は再生数に比例し、単価最高クラスのジャンルでもこの水準に留まる。企業案件は動画1本で約10万円が相場で、登録者1万人でも月1件以上の打診が来る。中には「予算200万円」という大型案件の打診もあったと本人はスクリーンショット付きで明かしている。Amazonアソシエイトは月1万円程度で、本人はアフィリエイト収益そのものより自身のブログへの流入経路として位置づけている。
そして桁が違うのが自社商品だ。「デザインカンプからのコーディング練習課題」という自作教材の販売収益は、広告収益の数十倍に達する。つまりこのチャンネルは「広告で稼ぐメディア」ではなく、信頼を作って自分の商品を売るための集客装置として機能している。
登録者が増えても、収益は減った
追記されたその後の数字が示唆的だ。登録者は約14,500人まで増えたが、月間再生数は1.6万回まで下がり、RPM1,000円で広告収益は月約16,000円。登録者1万人時点の半分である。広告収益を決めるのは登録者数ではなく当月の再生数であり、登録者は「資産」というより「初速をくれる見込み客リスト」に近い。投稿が減れば、登録者が何人いても広告収益は縮む。チャンネル規模と収入を直結させる通念への、静かな反証になっている。
ここから学べること
「登録者1万人=すごい収入」という通念は広告収益に限れば幻想である。 最高単価ジャンルで月3万円という実測は、平均的ジャンル(RPM100〜300円)なら同じ再生数で月数千円〜1万円程度になることを意味する。ガジェット系1万人で月16.6万円の事例との差は、再生数と単価の掛け算の差だ。
YouTubeの正しい損益計算は「広告+案件+自社商品」の三層で行う。 広告だけならWeb制作の実務単価に遠く及ばないが、案件と商品を含めた「チャンネル経由の総収入」で見ると、発信の投資対効果は成立する。これはヒトデ氏の「属人性がキー」と同じ、メディアを信用装置として使う戦い方である。
この公開データの読み方の注意
開示されているのは広告収益の実額までで、企業案件と自社商品の収入は「1本10万円」「広告の数十倍」という水準感に留まり、合計月収は計算できない。動画制作にかかる時間・編集コストも示されていないため、時給ベースの効率も検証できない。また「月1件以上の案件打診」は、視聴者が事業者・購買力のある層で占められるB2B寄りジャンルの特性であり、視聴者数が同じでも娯楽系ジャンルで同じ単価が成立する根拠にはならない。
再現の条件
この型が成立する条件は3つに絞れる。売れる本業スキルがあること(コンテンツの原資)、視聴者に購買力・発注力があるジャンルであること(案件単価の源泉)、そして広告以外に売るものを自分で持っていること。逆に言えば、自社商品も案件需要もないジャンルで登録者1万人を達成しても、手にできるのはこの表の左端。月2〜4万円の広告収益だけである。YouTubeを始めるかどうかではなく、「集客装置として使える商売が手元にあるか」が先に問われる。
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出典
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