事例 運営中

エンジニアの副業レンタルスペース、3店舗で初年度750万円。25㎡・初期45万円の実測ユニットエコノミクス

Web系エンジニアのヒロセな氏は、2023年から東京・埼玉でレンタルスペース3店舗を副業運営し、初年度の副収入は約750万円。公開された埼玉の1店舗(25㎡・10人収容)は初期費用45万円・家賃9.16万円で平均月商25万円・月利益6.85万円、初期回収は約半年。賃貸×時間貸しの実測データ。

執筆: Small Start 編集部(公開情報の要約+独自分析)

エンジニアの副業レンタルスペース、3店舗で初年度750万円。25㎡・初期45万円の実測ユニットエコノミクス

月商25万円は、月商を公開している掲載227件のうち下から23%。掲載全体の月商中央値は157万円です(データ集計)。

公開されている数字(埼玉・マルチスペース1店舗)

項目数字
広さ/用途25㎡・最大10人(パーティー、コワーキング、ボードゲーム会など)
初期費用45万円(敷金礼金・スマートロック・家具・撮影)
月家賃9.16万円
平均月商25万円
平均月利益6.85万円
回収期間約半年
開始形態既存レンタルスペースを事業譲渡で引き継ぎ
本人の作業時間1日10分程度(自分で行うのは顧客対応のみ)
全体3店舗運営で初年度副収入 約750万円(2023年開始・東京都心/埼玉)

本業エンジニアが「時間を売らない副業」を選ぶまで

ヒロセな氏の本業はWeb開発・SaaS系toB事業のエンジニアで、IT企業の株式会社モアを代表し、リクルートテック出身という経歴を持つ。子どもが2人おり、2024年10月に公開されたnoteでは、家族との時間を優先したいことが副業選びの動機として語られている。エンジニア副業の定番である受託開発は時間の切り売りであり、その目的と両立しない。2023年に選んだのがレンタルスペース運営で、翌年のnoteで「初年度に年間約750万円の副収入を達成しました」と公開した。本人はこの事業を「労働系と投資系の間」と位置づける。初期投資と立ち上げの労働を済ませれば、以後は薄い労働で回り続けるという意味だ。

事業の本体は「又貸し」の時間差益

レンタルスペース副業の構造は、賃貸で借りた部屋を時間単位で又貸しする(転貸許可物件を使う)裁定取引だ。公開された埼玉店では、月9.16万円で借りた25㎡を時間3,000円前後で売る。月商25万円は約80時間分の予約。1日3時間弱の稼働で家賃の2.7倍を売り上げる計算になる。

集客はスペースマーケット等のプラットフォームがほぼ全てを担い、鍵はスマートロックで無人化。運営者の仕事は「立地×用途の目利き」と「一覧で選ばれる写真・文面」に圧縮される。minneのトクダ氏が写真に投資したのと同じく、プラットフォーム内の競争は一覧画面で決まる。

この実測値は、業界相場とも突き合わせられる。同市場の相場資料では標準稼働が月60〜80時間、時間単価の中心帯が3,000〜6,000円とされており、埼玉店の月商25万円(約80時間×3,000円前後)は標準稼働帯の上限×単価下限の積とぴったり整合する。盛られた数字ではなく、標準的な店をきちんと回し切った水準。そう読める点が、この公開データの使い勝手を高めている。

立ち上げの近道 — 事業譲渡という選択

見落とされがちだが、埼玉店は更地からの立ち上げではない。元々レンタルスペースだった物件を事業譲渡で引き継ぐ形で運用を開始しており、内装・家具・掲載実績がある状態から営業を始められた。時間貸しビジネス最大の谷は開業直後の「予約ゼロでレビューが付かず、レビューがないから予約が入らない」期間であり、譲渡での開始はこの谷を丸ごと短縮する。初期費用45万円・回収約半年という数字の軽さには、この開始形態が効いている可能性が高い。ゼロから開業する場合の再現値は、これより重く見積もるべきだろう。

1日10分の内訳 — 何を残し、何を手放したか

ヒロセな氏が自分で対応しているのは顧客対応のみで、「副業にかかる時間は1日10分程度」と書く。予約管理は複数プラットフォームを連携させてダブルブッキングを防ぐ仕組みにし、売上管理と清掃は外部化した。750万円という数字は労働量の成果ではなく、仕組み化の設計が先にあり、自分の労働を残さなかった結果である。

差別化の打ち手も具体的だ。埼玉店では周辺の競合スペースを分析したうえで、20種類以上のボードゲームを設置し、学生限定割引を実施している。単発のパーティー予約に頼らず、英会話教室やヨガ教室のような定期利用客を取り込めば稼働のベースラインが安定する。リピーター獲得の型として本人が挙げているものだ。時間貸しは「空けた時間は消える」在庫商売であり、定期利用は空室リスクを直接減らす。

750万円をどう読むか

「初年度副収入約750万円」は目を引く数字だが、読み方には注意がいる。原文の表現は「副収入」であり、売上か利益かは明示されていない。公開されている埼玉店の月利益は6.85万円。仮に3店舗が同水準なら年間利益は250万円弱にしかならない。一方で月商ベースなら、25万円×3店舗×12ヶ月=900万円のオーダーとなり750万円と整合する。残り2店舗は東京都心にあり数字は非公開のため断定はできないが、750万円は利益ではなく売上に近い数字として読むのが安全だ。

むしろ実測値として重いのは、月利益6.85万円/店という「地味さ」のほうである。1店舗では副収入として物足りない。だからこそ、初期45万円・回収半年の型が再現できるなら店舗数が収入の倍率になる。750万円は1店の当たりではなく、型の複製の結果だ。

リスクと、割り引いて読むべきこと

最大リスクは空室ではなく「又貸しの前提」にある。転貸許可物件の確保、近隣トラブル(騒音)、プラットフォームの手数料・規約変更が三大変数で、特にパーティー用途は騒音クレームが退去に直結する。利益率(月商25万→利益6.85万、約27%)が家賃と手数料に圧迫される構造も、値付けの自由度の低さを示す。本人も、物件確保の難しさ、集客、売上の停滞、顧客トラブルを事業の課題として挙げている。

もうひとつ、このnoteは本人が運営するレンタルスペース運営者コミュニティへの誘導を含む。参入の魅力を語るインセンティブを持つ立場からの発信であることは、数字を読む際に差し引いておきたい。

再現の条件

「初期45万円・回収半年」は、オフライン副業としては異例に軽い。キッチンカーの車両数百万円と比べると、失敗時の撤退コスト(原状回復+違約金)が一桁小さく、小さく試して型を掴み、複製するというスモールスタートの原則がそのまま通用する。ただし再現の前提は絞られる。転貸許可物件に到達できること、事業譲渡や居抜きで立ち上げの谷を短縮できること、予約・清掃を仕組み化して自分の労働を残さないこと。この3つが欠けた参入は、同市場の分布データ(4店舗・月利36万円の事例)が示す「初年度赤字約3割」の側に落ちやすい。

あわせて読みたい

出典

本記事は上記の公開情報の要約と独自分析です。 詳細は必ず出典をご確認ください。

この記事は、出典として「Small Start(small-start.com)」の明記と本ページへのリンクがあれば、ニュース・ブログ・生成AIの回答などで自由に引用・転載できます(事前連絡は不要です)。 転載・引用について →

近い規模・近い業種の事例

この記事が参考になったら、シェアで応援
Xでシェア