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地方民泊3物件の全数字公開。賃貸×旅館業は初期345万円・回収17か月、民泊新法物件とは利回り2倍差

地方で無人民泊3物件を運営するテツジロウ氏が、初期投資・年間売上・費用内訳をスプレッドシートごと公開。賃貸×旅館業のC物件は初期345.75万円・年間利益248.2万円で回収17か月、民泊新法のA物件の35か月と2倍差がついた。

執筆: Small Start 編集部(公開情報の要約+独自分析)

地方民泊3物件の全数字公開。賃貸×旅館業は初期345万円・回収17か月、民泊新法物件とは利回り2倍差

月商159.5万円は、月商を公開している掲載227件のうち上位49%。掲載全体の月商中央値は157万円です(データ集計)。

地方民泊を運営するテツジロウ氏が、自身が持つ3物件の収益データを1円単位で公開している。note記事「民泊収益シミュレーション/地方民泊3物件のリアル収入【公開】」(2025年2月11日公開)と、そこからリンクされているGoogleスプレッドシートには、初期投資の内訳、年間売上、費用の全項目、投資回収期間までが並んでいる。

興味深いのは、同じ「地方の戸建て無人民泊」でありながら、投資回収期間が35か月と17か月に割れている点だ。倍の開きである。何がその差を作ったのかを、公開されている数字だけで追う。

3物件を横に並べる

スプレッドシートに記載された数値をそのまま転記する。

項目民泊A民泊B民泊C
契約形態賃貸購入賃貸
法的枠組み民泊新法旅館業旅館業
築年数/床面積築15年/120㎡築60年/100㎡築30年/130㎡
間取り3LDK4LDK5LDK
年間営業可能日数180日365日365日
年間稼働日数180日240日240日
初期投資額合計4,036,000円7,125,000円3,457,500円
─ 取得費/賃貸契約費936,000円2,625,000円457,500円
─ リフォーム費用100,000円2,500,000円300,000円
─ 家具家電3,000,000円2,000,000円2,700,000円
年間売上6,360,000円6,060,000円6,720,000円
年間費用4,964,000円3,367,500円4,238,000円
年間利益1,396,000円2,692,500円2,482,000円
月間利益116,333円224,375円206,833円
利回り34.6%37.8%71.8%
投資回収期間35か月32か月17か月

売上の内訳も開示されている。テツジロウ氏の売上式は「宿泊日数 × 1泊単価 + 宿泊組数 × 清掃単価」で、Aは月15日稼働・1泊30,000円・月10組・清掃8,000円、Bは月20日・20,000円・15組・7,000円、Cは月20日・22,000円・15組・8,000円。この条件で年換算すると、Aは540万円+96万円=636万円、Bは480万円+126万円=606万円、Cは528万円+144万円=672万円となり、公開値と一致する。

費用側も同様に検算できる。Aは清掃96万円・OTA手数料95.4万円(売上の15%)・家賃216万円・光熱水費48万円・火災保険5万円・消耗品12万円・予備費24万円で合計496.4万円。Cは清掃144万円・OTA100.8万円・家賃90万円・光熱48万円・保険5万円・消耗品12万円・予備費24万円で423.8万円。数字は表と齟齬なく閉じている。

潮目はどこで変わったか

軌道が変わった瞬間は明確だ。A(賃貸×民泊新法)からC(賃貸×旅館業)へ型を組み替えたことである。氏自身も記事の冒頭で「地方で民泊やるなら賃貸で旅館業、これしかない」と結論から書いている。

前後の数字はこうだ。1件目のAは初期投資403.6万円・年間利益139.6万円・利回り34.6%・回収35か月。3件目のCは初期投資345.75万円・年間利益248.2万円・利回り71.8%・回収17か月。初期投資は58万円下がり、年間利益は108.6万円増え、回収期間は半分以下になった。しかも1泊単価はAの30,000円に対しCは22,000円と、むしろ安い。安い単価で、より多くの利益を出している。

なおBは購入×旅館業で、月間利益224,375円という3物件中の最高値を出している。ただし初期投資712.5万円が重く、利回りは37.8%とAとほぼ変わらない。「月にいくら残るか」と「投じた金がいつ戻るか」は別の指標だという、当たり前だが混同されやすい事実がここに出ている。

差を作った3つの構造

なぜCが速いのか。数字を分解すると、要因は3つに切り分けられる。

第一に、営業日数の上限。民泊新法(住宅宿泊事業法)は年間営業日数が180日に制限される。Aの「年間営業可能日数180日/年間稼働日数180日」という表記は、上限を使い切っていることを意味する。つまりAには稼働率で伸ばす余地が制度的に存在しない。一方、旅館業許可を取ったB・Cは365日営業可能で、実績240日。まだ125日分の空きがある。Aが最高単価の30,000円を取りながら年間売上で最下位なのは、努力不足ではなく制度の天井にぶつかっているからだ。

第二に、家賃。Aの年間家賃は216万円、月18万円。記事本文で氏は「地方の戸建て物件なら月5〜10万円くらいが相場」「僕の民泊Aの賃料は、もうちょっと高いので、そこが利益を圧迫している」と書いている。Cの家賃は年90万円(月7.5万円)。差は年126万円で、これはAの年間利益139.6万円とほぼ同額だ。仮にAの家賃がCと同水準だったなら年間利益は265.6万円、回収期間は約18か月まで縮む計算になる。Aの回収が遅い最大の理由は、単価でも稼働でもなく固定費である。

第三に、分母の小ささ。利回りは利益÷初期投資だから、分母を削れば同じ利益でも数字は跳ねる。Cは賃貸契約費45.75万円・リフォーム30万円と、AやBに比べて取得側のコストを圧縮している。家具家電だけは270万円とA(300万円)に近い水準を維持していて、ゲスト体験に直結する部分は削っていない。削る場所と削らない場所を分けているのが、この物件の設計思想だ。

効いていないもの、抱えているリスク

華々しい数字の裏側も、記事は隠していない。

Bは築60年の物件で、リフォームに250万円をかけている。内訳として「電気工事やシロアリにやられていた床の改修」が挙げられ、業者外注とDIYを混ぜて対応した。氏は「リフォーム中は泥だらけ、ホコリまみれになりながら、この作業いつ終わるのかな…って、ぼっち感で何度も心折れそうになりました」と振り返っている。この250万円は自己労働で圧縮された金額であり、外注100%なら初期投資はさらに膨らむ。回収32か月という数字には、シートに現れない自分の工数が埋まっている。

Bの火災保険料も年28.6万円と、賃貸2物件の年5万円の約6倍だ。購入物件は資産を自分で守る必要があるぶん、固定費の質が変わる。

Aについては、賃貸契約から民泊オープンまで約半年かかったと書かれている。「なんせ初めてだったので、すべてが手探りでしたから」。この6か月は家賃だけが出ていく期間であり、回収期間35か月の外側にある。

さらに、この3物件はいずれも年間稼働180〜240日という前提で計算されている。地方の観光需要は季節変動が大きく、稼働率が想定を下回れば売上は直線的に落ちる。OTA手数料を保守的に15%と置いている点も、Booking.comなど手数料の高いチャネル比率が上がれば圧迫要因になる。

どこまで真似できるのか

再現しやすいのは、費用構造の設計だ。家賃を月5〜10万円に抑える、家具家電は中古を活用する(氏自身「次の民泊では同じ規模の戸建てでも150〜200万円予算でやれる」と書いている)、消防設備をセルフ設置して10万円に収める、許認可申請を自分でやって代行費30万円を浮かせる。これらはいずれも判断と手間の問題であり、資本を必要としない。

再現しにくいのは3点ある。ひとつは旅館業許可が下りる物件を見つけること。用途地域や建物構造の制約があり、そもそも賃貸で旅館業を認めてくれる貸主が必要になる。ふたつめは1泊2〜3万円が成立する需要のあるエリア。氏は「僕が地方民泊を展開しているエリアでは、1泊¥20,000〜¥30,000がひとつの目安」と書いており、この単価前提が崩れると全ての計算がやり直しになる。みっつめは清掃の内製ネットワーク。地方には民泊専門の清掃会社がほとんどないため、氏は近所の主婦を直接募集して業務委託契約を結んでいる。子連れでの清掃を許可することで、外に働きに出づらい層を確保した。これは地域に根を張っていないと組めない体制であり、遠隔で真似できるものではない。

そしてもう一点。この3物件のデータは「1件目で作ったシミュレーションが実績とほぼ一致した」ことを土台にしている。氏は「実際に、事前に行った収益シミュレーションと実際の収益は、かなり近い形に落ち着きました。1件目の民泊でそれが確認できたので、2件目、3件目と、さらにシミュレーションの精度が高まってきている」と書く。1件目で数字を検証しきったからこそ、2件目以降で型を変える判断ができた。回収17か月という結果は、3件目に突然生まれたのではなく、Aで払った授業料の上に乗っている。

なお氏のプロフィールには「1年で3つの無人民泊を立ち上げた。民泊ホスト歴10か月で月売上198万円、利益102万円」とあり、Airbnbレビューは101件中99件が5つ星で平均4.98点と記載されている。上記3物件の年間売上合計1,914万円を12で割ると月約159.5万円で、プロフィールの月売上198万円とは水準が異なる。前者は年間の平準化値、後者は特定月の実績と読むのが自然だろう。

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出典

本記事は上記の公開情報の要約と独自分析です。 詳細は必ず出典をご確認ください。

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