ryrob、月$47,772のうち$27,375が1社から。8か月でセッションが68%消えた後に残っていたもの
2020年7月の月商$47,772.75のうち、レンタルサーバー1社からの報酬が$27,375。8か月後にセッションは68%減り、その1社は$9,400に。それでも総額が26%減で済んだ理由を追う。
執筆: Small Start 編集部(公開情報の要約+独自分析)
Ryan Robinson が運営する個人ブログ ryrob.com は、2020年7月に$47,772.75を売り上げた。内訳はアフィリエイト$43,597.91、自作講座「Built to Blog」の売上$4,174.84、フリーランス・スポンサー収入$0.00。経費は$4,184.75しかなく、手元に残ったのは$43,588.00である。
ここまでなら「アフィリエイト比率91%の順調なブログ」という話で終わる。問題は、その$43,597.91の内訳のほうにある。レンタルサーバー Bluehost 1社からの報酬が$27,375。総収入に対して57.3%だ。次点の Dreamhost が$10,050で、この2社だけで総収入の78%を占めていた。残りは FlexJobs $1,645.54、HostGator $700、Shopify $649.25、Contena $635.98、SolidGigs $547.50、Liquid Web $500 と、桁がひとつ落ちる。
8か月後、その集中が現実の数字として現れる。
3つのレポートを並べる
| 項目 | 2019年12月 | 2020年7月 | 2021年3月 |
|---|---|---|---|
| 総収入 | $22,344.89 | $47,772.75 | $35,218.31 |
| アフィリエイト | $17,011.12 | $43,597.91 | $17,228.68 |
| 講座(Built to Blog) | $4,648.47 | $4,174.84 | $17,989.63 |
| 広告(Carbon Ads) | $685.30 | — | — |
| Bluehost 単体 | — | $27,375.00 | $9,400.00 |
| Dreamhost 単体 | $1,400.00 | $10,050.00 | $4,773.95 |
| 経費 | $9,319.38 | $4,184.75 | $1,631.91 |
| 純利益 | $13,025.51 | $43,588.00 | $33,586.40 |
| セッション | 428,451 | 468,164 | 149,830 |
| ユニーク読者 | 349,107 | 374,561 | 106,006 |
| メール購読者 | 133,186 | 148,497 | 145,438 |
2020年7月から2021年3月にかけて、セッションは468,164から149,830へ68%減っている。読者数も374,561から106,006へ。アフィリエイト収入は$43,597.91から$17,228.68へ60%減、Bluehost 単体では$27,375から$9,400へ66%減った。
にもかかわらず、総収入の落ち込みは26%にとどまっている。差を埋めたのは講座だ。Built to Blog の売上が$4,174.84から$17,989.63へ4.3倍になり、2021年3月には総収入の51%を講座が占めた。8か月前は8.7%だった数字である。
何が起きて、何が効いたのか
まず正確を期すと、2021年3月のレポートにトラフィック減の原因は書かれていない。本人が書いているのは今後の重点で、SEOの見直し、既存記事の更新、そして「Google検索への依存からのトラフィック分散」を挙げている。検索経由の流入が事業の主軸で、そこが揺れたという構図までは読み取れる。
そのうえで、この8か月で効いた要素を数字から拾うと3つある。
ひとつはメールリストが減らなかったこと。セッションが68%落ちた同じ期間に、購読者は148,497から145,438へ2%しか減っていない。新規登録は月4,107人から2,310人へ半減しているので、流入が細ったことは購読者の増え方に表れている。しかし既に登録している14万人は、検索順位とは無関係にそこにいる。2021年3月に講座が$17,989.63売れたのは、この母集団があったからだ。
ふたつめは講座という在庫がすでに存在していたこと。Built to Blog は2019年12月時点で$4,648.47を売っている。トラフィックが落ちてから慌てて作った商品ではない。売れ行きの悪い時期に「置いてあるだけ」だった商品が、緊急時の受け皿になった形である。逆に言えば、危機が起きてから商品を設計していたら、間に合っていない。
みっつめは経費の身軽さ。2019年12月の経費$9,319.38のうち$7,030.51は専門サービス費で、この月の利益率は58%だった。それが2020年7月には経費$4,184.75で利益率91%、2021年3月には$1,631.91で95%になっている。収入が減る局面で経費も減らせる構造だったから、収入26%減が利益23%減で収まった。固定費の重い事業なら、同じ売上の落ち方でも赤字に転じる。
集中リスクは「比率」ではなく「1社」で見る
この事例が示すのは、収益源の集中を測るときアフィリエイト比率91%という数字では足りない、ということだ。91%が20社に散っているのと、1社で57%を持っているのとでは、意味がまったく違う。
2020年7月の ryrob は、8社と提携しながら、実質的には Bluehost という1社の報酬体系の上に立っていた。報酬単価の変更、プログラムの終了、あるいは自分の記事の検索順位。どれかひとつが動けば総収入の半分以上が揺れる。実際に動いたのは3つ目だったが、他の2つでも結果は似たものになっただろう。
同じバッチで取り上げたAdam Enfroy が58本のアフィリエイトプログラムに分散していた話と対照すると、この差はよくわかる。Enfroy は順位を落とした月にもアフィリエイト収入を前年比84%増で維持した。分散していれば個別の変動が相殺されるが、集中していれば1社の動きがそのまま総収入の動きになる。
日本語圏でも、トップブロガー3人の対談で「8割の記事が順位を下げた」と語られた事例や、複数サイトのうち2つを閉じた記録がある。検索順位が主要な流入経路である以上、変動は例外ではなく前提として扱う必要がある。
見落としてはいけない部分
この事例を「講座に切り替えれば大丈夫」という話に丸めるのは危険だ。本人が2021年3月レポートの中で、翌月の収入を$16,000〜$20,000と予想していることに注意したい。$35,218の月の直後に、半分以下を見込んでいる。
つまり講座の$17,989.63は毎月出る数字ではない。継続課金のサブスクリプションではなく、その月に買った人がいた、というだけの売上だ。同じ規模を翌月も出すには、新しい買い手を新しく集める必要がある。トラフィックが68%減った状態でそれをやるのは、アフィリエイトの回復より難しいかもしれない。
もうひとつ、Omniscient Digital のインタビューによれば、彼のメールリストは15万人まで伸びた後、整理して10.5万人まで落としているという。これは反応しない購読者を削る通常の運用だが、講座を売る母集団が数字どおり14万人分あるわけではないことを意味する。リストの規模は、そのまま購買力ではない。
どこまで持ち帰れるか
再現できる考え方は、収益源を数える単位を「チャネル」ではなく「提携先1社」に下げることだろう。アフィリエイト・広告・自社商品という分類で見れば ryrob は3本立てだったが、金額で見れば1社が過半だった。分類上の分散と、金額上の分散は別のものだ。
もうひとつは、危機が来る前に商品を並べておくという順序。Built to Blog は流入が豊富な時期には総収入の1割に満たない、地味な収益源だった。その地味な商品が、8か月後に総収入の過半を支えた。売れていない商品を畳むかどうかの判断は、平時の売上だけで決めないほうがいい。
ただし、規模と単価の前提までは持ち帰れない。彼が扱うのは英語圏のレンタルサーバー・フリーランス支援ツールという領域で、1件の成約報酬が高い。同じセッション数でも、報酬単価の低いジャンルでは月$4万台には届かない。そして公開されているのは2019年から2021年にかけての期間で、その後の推移をこの3本のレポートから語ることはできない。ここに書いたのは、あくまでトラフィックが68%落ちた8か月間に何が残ったかという記録である。
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出典
- 本人公開Ryan Robinson 本人による2020年7月の収支レポート。総額$47,772.75、提携先ごとのアフィリエイト内訳、経費、セッション数、メール購読者数
- 本人公開同じく2021年3月レポート。$35,218.31の内訳、講座売上が半分を超えた月の数字、翌月の見通し
- 本人公開2019年12月レポート。$22,344.89の内訳と経費$9,319.38、セッション428,451
- 報道Omniscient Digital によるインタビュー。ブログの来歴、キーワード調査と無料テンプレートを組み合わせる手法、メールリストの整理



