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オプチャグラフ、AdSense収益20ヶ月分を全公開。月2万円の高原と、PVが2.4倍に跳ねても収益が動かなかった月

個人開発者が2024年5月に公開したLINEオープンチャット統計サイト「オプチャグラフ」。AdSense収益20ヶ月分を全公開しており、初月1,725円、直近月2万242円、累計約28万7,000円。通常月6〜8万PVで、PVが19万に跳ねた月も収益はほぼ動かなかった。広告単価と施策の検証まで開示した一次データ。

執筆: Small Start 編集部(公開情報の要約+独自分析)

オプチャグラフ、AdSense収益20ヶ月分を全公開。月2万円の高原と、PVが2.4倍に跳ねても収益が動かなかった月

個人開発の広告収益は、成功譚か夢物語で語られがちだ。LINEオープンチャットの統計サイト「オプチャグラフ」(openchat-review.me)の開発者は、その対極にある実測値をQiitaで公開している。2024年5月の公開から20ヶ月分のAdSense収益の月次実数で、初月1,725円、直近の2025年12月が2万242円、累計約28万7,000円。通常時のトラフィックは月6〜8万PVある。

同じ広告収益でもツールアプリで月10万円に達した事例の5分の1、月間350万PVのメディアの20〜30万円の10分の1に満たない。それでもこの記事を扱うのは、金額の小ささを補って余りある解像度があるからだ。広告枠ごとの単価、効いた施策と効かなかった施策、そして「PVが2.4倍に跳ねた月に収益がほぼ動かなかった」という、広告モデルの急所を突く実測が全部無料で読める。

20ヶ月の推移: 半年で「高原」に到達する

時期月間PVAdSense収益
2024年5月(公開)22,3581,725円
2024年7月44,97911,309円
2024年9月56,01716,025円
2025年3月68,97720,680円(最高)
2025年6月193,66118,627円
2025年12月(直近)80,24220,242円

立ち上がりの2024年6月には収益1,910円という月もあり、最初の数ヶ月は数千円台をさまよっている。公開から4ヶ月目あたりで月1.5万円前後に乗った後、収益は約1.5万〜2万円の帯に入り、以後1年以上その帯から出ていない。20ヶ月のうち最高月ですら2万680円(2025年3月)で、最初の高原がそのまま天井になっている。右肩上がりの物語ではなく、早い段階で天井に達してそこで安定する「高原型」の曲線だ。直近月の収益をPVで割ると1PVあたり約0.25円。RPM(1,000PVあたり収益)で250円前後という水準は、350万PVで月20〜30万円だった広告メディアの1PV0.5円のさらに半分で、ニッチな統計サイトの広告単価の低さがそのまま出ている。

枠ごとの単価が全部開示されている

直近月の収益2万242円の内訳は、ページ内広告7,793円(38%)、リワード広告6,703円(33%)、全画面広告4,003円(20%)、アンカー広告1,564円(8%)、その他179円。この分解が意味を持つのは、開発者が枠ごとのRPMを比較して取捨選択を実測でやっているからだ。

効いたのはリワード広告(動画視聴などと引き換えに機能を提供するオファーウォール型)で、2025年2月の導入後、導入前の平均月1万5,627円に対して導入後平均1万7,003円と約10%増えた。RPMは500〜800円と、他の枠を大きく上回る。逆に効かなかったのがサイドレール広告で、RPMが20〜35円しかなく削除された。定番の全画面広告も、RPMが280円から197円へ30%下落しており、「置いておけば稼ぐ枠」が徐々に痩せていく様子まで記録されている。

広告収益の改善は「枠を増やす」方向で考えられがちだが、この事例がやったのは逆で、単価の低い枠を削り、単価が桁で違う枠(リワード)に寄せた。総インプレッションを増やさずに収益を1割動かしたことになる。

PVが2.4倍に跳ねた月、収益は動かなかった

この20ヶ月で最も価値のあるデータ点は、最高収益の月ではなく2025年6月だ。この月、PVは通常の6〜8万から19万3,661へ2.4倍以上に急増した。ところが収益は1万8,627円と、前後の月とほぼ同じ水準にとどまった。

開発者の分析は明快で、急増分のトラフィックはエンゲージメントの低い訪問であり、広告のインプレッションや操作に至る前に離脱するため、収益にほぼ寄与しないという。ページを開いてすぐ閉じる訪問者は、PVカウンターには足されるが、広告が読み込まれ視認される前に消えていく。広告サイトの収益はPVの総量ではなく、エンゲージしたPVの量で決まる。「バズればAdSenseが跳ねる」という個人開発者の期待に対して、これほど直接的な反証データは珍しい。

同じ構造は逆向きにも効く。アプリ広告収益が8年かけて下り坂に入った事例が示すように、広告モデルは自分の努力と無関係な単価変動に晒され続ける。PVという自分で動かせる変数ですら収益に直結しないのだから、広告収益の予測可能性は二重に低い。

月2万円をどう評価するか

累計28万7,000円という20ヶ月の合計は、開発と運用の労働時間を考えれば時給換算で語れる金額ではないだろう。ただしこの事例の損益には、広告モデル特有の性質が2つある。収益はサイトを放置しても発生し続けるストック性があることと、サーバー費用など運営コストが小さければ月2万円でも利益率が高くなることだ(この記事では運営コストは開示されていないため、利益は算定できない)。

月6〜8万PVという規模は、個人開発のWebサービスとしては集客に成功している部類だ。それでも広告一本では月2万円が実測の答えであり、月100円から3年かけて月10万円に届いたアプリの事例と並べると、広告モデルで月数万円を超えるには、PVの量かRPMの高いジャンルのどちらかが必要だと分かる。オプチャグラフはニッチな統計サイトというRPMの低い側にいて、その中で枠の最適化により単価を絞り出している。

この実測が使える条件

  • 広告モデルを選んでよいのは、収益がPVに比例しない前提を受け入れ、月数万円の高原を許容できる場合だけ
  • 枠の最適化で収益が動くのは、リワードのようにRPMが桁で違う枠をコンテンツと両立させられるサイトに限られる
  • PV急増をあてにした計画が成立するのは、流入がエンゲージメントの高い検索・指名系である場合だけで、バズ由来のPVは収益にほぼ換算できない

限界も添える。この事例のRPMや枠ごとの成績は、LINEオープンチャットの統計というジャンルとその読者層に固有の値で、他ジャンルにそのまま移植はできない。また運営コストと開発工数が開示されていないため、事業としての損益は外部から評価できない。検証できるのは、広告収益という収益モデルの形状。高原に達する速さ、単価の分布、PVとの非線形な関係までだ。

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