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初収益は22円。アプリ5本を作り替えて月1万円に届くまでの1年3ヶ月

2019年10月に作った楽器店レビューサイトは不発。Flutterへ移り5本のアプリを出したが広告収益は初日22円止まりだった。2020年末にアプリ内課金を実装した直後、月1万円に到達している。

執筆: Small Start 編集部(公開情報の要約+独自分析)

初収益は22円。アプリ5本を作り替えて月1万円に届くまでの1年3ヶ月

月商1万円は、月商を公開している掲載227件のうち下から4%。掲載全体の月商中央値は157万円です(データ集計)。

個人開発の収益記事は月10万円、月100万円といった水準から始まることが多いが、その手前には「初めての1円」がある。noteに公開された「アプリ開発未経験から、個人開発で月1万円稼ぐまでの話」は、書き手(のすけ氏)が2019年10月から約1年3ヶ月かけて月1万円に届くまでを時系列で並べた記録である。初収益の金額は22円。そこから月1万円までの間に何を変えたのかが、はっきり書かれている。

1年3ヶ月の推移

時期出来事
2019年10月初のサービス「MusicStore Reviews」(楽器店レビューサイト、Laravel)をリリース。現在は閉鎖
2019年11月Flutterのチュートリアルに着手
2020年4月「さぶすく」(現・サブスク管理)をリリース
同時期AdMobでアプリ内広告を導入、翌日に22円の売上
2020年5月ToDoアプリをリリース
2020年6月読書管理アプリをリリース
2020年8月家計簿アプリをリリース
2020年年末〜年始「さぶすく」にアプリ内課金を実装 → 月1万円を達成

書き手は未経験から独学でWebエンジニアに転職した直後に個人開発を始めている。固定費として明示されているのはiOSアプリ配信のための年11,800円(Apple Developer Program)で、「そもそもiOSアプリリリースするために、毎年Appleに11,800円払わないといけないの!?」という当時の反応がそのまま残されている。

最初の1本が売れなかった理由

MusicStore Reviewsは、国内の楽器店の評判が事前にわからないという実感から生まれた。書き手自身が楽器経験者で、「初めて楽器を始める人が、できるだけスムーズに楽器を続けるためには最初のお店はとても大事」という前提には説得力がある。だが結果は不発だった。本人の総括は「『楽器店をレビューする』という行為自体にニーズはありませんでした」。

ここには、個人開発でよく混同される二つの需要が分離して現れている。「楽器店の評判を知りたい」という読み手の需要は存在しても、「楽器店をレビューする」という書き手側の行動需要は別物である。投稿型サービスは後者がなければ立ち上がらない。課題設定の正しさと、サービスが回る条件の成立は同じではなかった。

その次に選んだ「さぶすく」は、Apple MusicやAmazon Primeのようなサブスクリプションの支払いを一元管理するアプリで、無料期間中の解約忘れを防ぐという用途だった。書き手は「国内にはそのようなサブスクリプションサービスをまとめて管理するアプリはなく、そこに目をつけました」「そしてそれは、私自身のニーズでもありました」と書いている。実際にユーザーは少しずつ増えた。

決定打はアプリ内課金だった

数字が動いた瞬間は特定できる。2020年の年末、アプリ内課金を実装すると決めた場面である。前後を並べると差は明白だ。

  • 課金導入前:AdMobのバナー広告のみ。初収益は導入翌日の22円。以降5本のアプリで広告を回したが「到底月1万円の収益にはなりませんでした」
  • 課金導入後:年末年始に「さぶすく」へ実装してリリース。「効果はすぐに現れ、月一万円の収益を得ることができました」

書き手が広告の限界を数字で説明している点が有用だ。「広告収益は1タップ数円〜数十円なので、数千〜数万人のユーザーがアプリを使わなければ月1万円も稼げません」。つまり広告モデルでの月1万円は、ユーザー数を4桁から5桁に積み上げる作業とほぼ同義になる。個人が数ヶ月で用意できる規模ではない。

課金実装には心理的な障壁もあった。実装経験がないうえ、「何かアプリに不具合があったときのユーザーサポートも大変です」。それでも「本気で稼ぐにはこれしかない」と判断している。

なぜ課金への切り替えが効いたのか

第一に、必要なユーザー数の桁が落ちたことである。広告は「全ユーザー×極小単価」で積む方式なので分母を増やすしかない。課金は「一部のユーザー×まとまった単価」なので、分母が小さくても成立する。同じユーザー基盤のまま、1人あたりの単価を引き上げる方向に舵を切ったことになる。

第二に、売る中身を自分で発明しなかったことである。書き手は「実際にリリースされているアプリを参考にしました」として、他の個人開発者のアプリを調べ、有料機能の共通点を抽出している。導き出したのは「アプリ内広告の削除」と「登録数の制限なし」の二つで、そのまま自分のアプリに採用した。共通点として観測できるということは、既に市場で支払いが成立している証拠でもある。ゼロから価値提案を考えるより、検証済みの型を借りたほうが速い。

第三に、この二つの有料機能がサブスク管理アプリの利用実態と噛み合っていたことである。登録数の制限は、使い込むほど当たる制約になる。契約しているサービスを次々に登録していく利用者ほど上限に届き、そこで課金の必要が生じる。つまり課金候補は「継続して使っている人」に自動的に絞られる。広告削除も同じで、起動回数が多い人ほど広告が邪魔になる。熱心なユーザーほど支払う理由が強くなる設計になっていた。

その裏付けとして、書き手はその後「さぶすく」以外のアプリにも課金を導入し、こう書いている。「すでにアプリをリリースして数ヶ月が経過していたので、継続して使ってくれている方が購入してくれました」。2020年5月から8月にかけて出した3本は、当時は広告収益で見れば失敗に見えたが、課金導入時点では既存ユーザーの在庫として機能した。5本を出した意味は、当たりを引くことより、課金という蛇口を付ける対象を複数用意したことにあった。

記事から読み取れないこと

具体的な課金価格や課金形態(買い切りかサブスクか)、各アプリのダウンロード数、月1万円の内訳(広告と課金の比率)は記載がない。「月1万円」という到達点も、達成月の実績であって継続水準かどうかは書かれていない。開発時間についても「平日も土日も何かしらサービス開発をしています」とあるだけで、週あたりの時間は不明である。したがってこの記事は、収益の規模を測る資料ではなく、収益源を切り替えた前後の落差を示す資料として読むのが正しい。

書き手自身、月1万円について「そんなに難しくないと感じています」としつつ、その理由を「その過程を楽しめているから」と説明している。逆に言えば、楽しめない場合に同じ密度で1年以上続けられるかは別問題になる。「もし、あなたがアプリ開発が辛い。。と思っているのならやめてみるのも一つの手です」とも書いている。

どこまで真似できるか

真似しやすいのは打ち手の順序である。広告で0→1を確認したうえで、単価の高い課金へ移す。売る機能は競合の有料機能から共通項を抜き出す。継続利用者が増えるほど当たる制約(登録数上限など)を課金ポイントにする。複数本を出しておいて、課金導入時に一斉に蛇口を付ける。いずれも資本を必要としない。

真似しにくい条件も三つある。ひとつは書き手が本業のWebエンジニアであり、独学とはいえ業務でコードを書きながら開発していること。ふたつめは2019年11月という時期にFlutterへ入ったこと。本人が「当時は現在ほどFlutterの人気は高くはありませんでした」と書くとおり、日本語の情報がほとんどない中でYouTubeや英語記事から学ぶ体力が前提になっている。みっつめは2020年当時、国内にサブスク管理アプリの明確な競合が見当たらなかったという市場の空白で、これは今からは選び直せない。

なお書き手は現在、個人開発の収益だけで生活していると記事内で述べており、2025年8月にはアプリブロッカーのベータ配信を開始している。月1万円はその出発点にあたる通過点である。

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出典

本記事は上記の公開情報の要約と独自分析です。 詳細は必ず出典をご確認ください。

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