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Doing Content Right、収益ゼロの副業4連敗のあとに書いた$99の電子書籍が8か月で$130K

Steph Smith氏は2018〜2020年に出した副業4本が収益ゼロだった後、電子書籍「Doing Content Right」を50日で書き上げ、8か月で$130K超を売った。2021年のプロジェクト収益は合計$150K。

執筆: Small Start 編集部(公開情報の要約+独自分析)

Doing Content Right、収益ゼロの副業4連敗のあとに書いた$99の電子書籍が8か月で$130K

デジタル商品の成功事例は「1本目が当たった話」として語られがちだが、Steph Smith氏の記録はその前段が具体的だ。2018年から2020年にかけて彼女は4つのプロジェクトを世に出しており、そのいずれも収益はゼロだった。本人の説明では、そもそも課金していなかった。「ほとんど楽しみのため」に作っていたからだ。

5本目にあたる電子書籍「Doing Content Right」は違った。執筆にかけたのは50日(当初の見積もりを1週間超過)。Indie Hackersのインタビューによれば、発売から8か月で$130,000超を売り上げている。2021年のプロジェクト収益は合計$150,000。この間、彼女は本業を辞めていない。当時はToptalのグロースチームに在籍したままの副業である。

そして5年後の現在も、この商品は生きている。Gumroadの販売ページは2026年版として更新され、価格は$99。ポッドキャストの章が追加されている。1本の電子書籍が、書き上げた年だけでなく数年にわたって売れ続けている状態だ。

数字の並び

項目数字
2018〜2020年に出したプロジェクト4本、収益**$0**(そもそも課金していない)
電子書籍の執筆期間50日(見積もりから1週間超過)
発売後8か月の売上$130,000超
発売時のTwitterフォロワー7,000人超
電子書籍のメールリスト3,000人
コース「Doing Time Right」の制作期間20日
コースの受講者と売上750人/約**$45,000**
2021年のプロジェクト収益合計$150,000
現在の価格(2026年版)$99

コースの数字が示すのは、電子書籍が単体の商品ではなく次の商品の販路になったという事実だ。3,000人のメールリストは電子書籍の購入者と読者から作られたもので、そこへ20日で作ったコースを出したら750人が入った。制作期間20日に対して$45,000という比率は、リストを持ってから作ったからこそ出た数字である。

「すぐにローンチしない」という判断

本人が最も強く語っているのは価格でも執筆量でもなく、出し方の順番だ。

彼女は完成と同時にProduct Huntへ出すことをせず、意図的に遅らせている。理由をこう述べている。「即座にローンチすると、オーディエンスが成功を作るのではなく、ローンチの成功に依存することになる」。

実際の順序はこうだった。まずツイートで「これにお金を払う人はいるか」と聞き、事前販売を始める。買った人が最初の支持層になる。フォロワー7,000人という規模は、バズを起こすには小さいが、事前販売の相手としては十分だった。書き上がってから宣伝先を探すのではなく、書き始める前に買い手を確保している。

価格設計も同じ思想でできている。購入者が増えるにつれて価格を上げていく段階的な値付けを採り、これが希少性を生んだ。早く買うほど安いという構造は、事前販売の参加者に「今買う理由」を与える。Gumroadのアフィリエイトプログラムも併用し、本人は「かなりの売上がそこから来た」と述べている。自分のフォロワーの外側へは、他人の紹介で届かせたわけだ。プラットフォーム側の視点はGumroad自身の事業構造を扱った記事にまとめてある。

もう一つ、商品の中に「共有しやすい部品」を仕込んでいる点も設計のうちだ。引用しやすい一文や図解を本文に入れておくと、読者がそれをスクリーンショットで拡散する。広告費を使わずに販路を伸ばす方法として、書き手が自分でコントロールできる数少ない手段である。7,000人のフォロワーが3,000人のメールリストへ、さらに750人のコース受講者へと変換されていく過程は、どの段階でも「既に持っている読者に次を出す」という同じ動きの繰り返しになっている。

4連敗は無駄だったのか

収益ゼロの4本について、本人は「そこで多くを学んだ」と述べているが、この事例で検証できる範囲では、学びの中身は技術ではなく市場の穴を見つけたことにある。彼女は電子書籍を「市場に空いていた隙間を埋めるもの」と位置づけており、それ以前の4本は「主に楽しみのため」だった。

つまり分岐点は、作る能力ではなく、課金する対象を選んだかどうかにある。4本は課金設計を持っていなかったので、売れなかったのではなく、売っていない。この違いは重要で、「4回失敗して5回目に成功した」という物語より、「4回は商売をしておらず、5回目に初めて商売をした」という記述のほうが実態に近い。

同じ構造は日本の事例にも見える。転売・ブログ・YouTube・クラウドソーシングの4つで撤退した会社員が、noteの記事販売に移って5ヶ月で月40万円超に届いた記録では、変わったのは本人の努力量ではなく、売る対象と売り方だった。個人開発11本のうち8本が収益0円〜数千円で、当たった3本との差を検証した事例も同じ問いを扱っている。

弱点と、この形が抱えるリスク

この事例には見落としやすい制約がある。

そもそも$130Kという数字は「電子書籍の力」ではなく「事前に7,000人のフォロワーと3,000人のリストを持っていたこと」の関数だ。同じ内容を、読者ゼロの人が$99で出しても同じ結果にはならない。彼女はグロース職として働きながら発信を続けており、その蓄積が販路そのものだった。

$99という価格も、高単価であると同時に脆い。買い切り型なので、売上は毎回新しい買い手を連れてこなければ立たない。サブスクのように積み上がらないため、発信を止めれば売上も止まる。改訂して2026年版を出し続けているのは、商品を延命させるための必要作業でもある。

そして量産型の戦略とは互換性がない。Kindleで24冊を出して月5〜7万円の印税を得た「本の分散ポートフォリオ」とは、真逆の設計思想だ。1冊に50日をかけて$99で売るやり方は、1冊あたりの期待値が高い代わりに、外したときの損失も大きい。彼女の場合、外さないための保険が事前販売だった。

ここから取り出せるもの

この事例で移植可能なのは、順序と検証方法である。作る前に「払うか」を聞く。払うと言った人に事前販売する。完成しても即座に広く出さず、最初の購入者が語り始めてから外へ広げる。この3手は、フォロワーが数百人の段階でも実行できる。

逆に移植できないのは、7,000人のフォロワーに至るまでの数年と、本業で身につけたグロースの知識だ。$130Kの手前には、収益ゼロの4本と、無償で発信し続けた期間がある。8か月で$130Kという数字だけを切り出すと、この助走が見えなくなる。

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