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5年で失敗8本・成功3本 — 収益0円が並んだ個人開発者が月20万〜100万円に届いた分岐点

失敗8本は収益0円〜数千円。成功3本のうち有料学習サービスは開発3〜4ヶ月で半年後に月20万〜100万円、ユーザー50〜200人。11本を並べて何が分岐点だったかを検証する。

執筆: Small Start 編集部(公開情報の要約+独自分析)

5年で失敗8本・成功3本 — 収益0円が並んだ個人開発者が月20万〜100万円に届いた分岐点

失敗8本と成功3本が、同じ物差しで並んでいる

個人開発の記録は、当たった1本だけが語られやすい。外れた分まで同じ粒度で数字を出す例は少ない。Zennに公開されたMatsu氏(s6lv)の記事は、5年間に自分が作った11本を「月1万円以上の収入が発生したら成功」という一本の基準で仕分け、失敗8本・成功3本として運営期間・記事数・PV・収益をそれぞれ並べている。

同じ人物が、同じ時間の使い方で、同じ資金力(本人いわく「完全0円スタート」、サーバー代を除いて投資なし)でやった11本を横に並べられる資料は貴重だ。個々のプロダクトの巧拙ではなく、当たり外れを分けた変数のほうが見えてくる。本稿はその変数を特定することを目的とする。

失敗した8本

#内容期間収益規模
FX・バイナリーオプションのブログ半年強0円80記事(1本5,000〜1万字)、月5,000PV
ママ同士の相談プラットフォーム開発4ヶ月+運営半年0円利用ユーザー0人
自社向け交通費管理システム開発1〜2ヶ月収益目的なし利用5人
Chatwork一括既読のChrome拡張開発1ヶ月収益目的なし利用者不明
腹痛管理カレンダー(アプリ)開発1ヶ月0円両OS合計30〜50DL
YuR(不登校児のママが繋がるSNS)開発1ヶ月数円(AdMob)30〜40人
脱毛ブログ半年数十円30記事、月3,000PV
プログラミング技術ブログ1年数千円100記事、月5,000PV

8本すべてクローズ済みである。本人が挙げる共通原因は「マネタイズと集客方法を考えていなかった」の一点に尽きる。⑤と⑥はサブスクや広告の実装そのものが未完了で、そもそも売る導線が存在しない。①のブログは「知り合いが月400万くらい稼いでるのリアル収益画面を見て、完全に憧れだけで」始めたと書かれている。

成功した3本

#内容到達した収益構造
物販系ブログ(abrasusのレビュー)3ヶ月で月5,000円、半年で月1万円30記事、月3,000PV、月10件前後の成約。1件約1,500円
プログラミングスクール紹介ブログ2年目以降月5万〜10万円200記事、月5,000PV。月10件発生(20〜30万円)→3〜5件確定。単価1万〜3万円
有料サブスクの学習サービス半年後に月20万〜100万円開発3〜4ヶ月、ユーザー50〜200人

①は「稼げる額の上限も少ないと感じ、結局クローズ」、②は「一番収益率の高い時に、ブログ自体を企業に売却」している。成功と判定された3本のうち2本が、すでに本人の手を離れている点も見落とせない。

決定打は「集客を自分でやらない」と決めたこと

失敗8本と成功③を隔てたのは、プロダクトの質でも技術スタックでもない。担当範囲の切り分けである。

失敗②のプラットフォームは開発に4ヶ月かけ、利用者0人で終わった。原因として書かれているのは「開発後のリリースが終わってやり切った感が出てしまい、集客に力入れれなかった」。作ることに全リソースを投じ、届けることに何も残らない。この形が8本中の複数で繰り返されている。

対して成功③では「集客面では仲間がサポートしてくれたので僕は開発に集中できました」「集客のことを考えなくてよかった(仲間に任せる)」と明記される。開発3〜4ヶ月という工数は失敗②の4ヶ月とほぼ同じだ。投じた開発時間は変わらないのに、半年後には月20万〜100万円、ユーザー50〜200人に届いている。利用者0人と50〜200人を分けたのは、集客担当がいたかどうかだった、というのがこの11本から読み取れる最も強い因果である。本人も「この成功例については、集客があってこその成功でした」と書き、まとめでは「1人では限界があるので、ある程度の収益確保ができたら、外部に委託して更なる収益UPを目指す」と一般化している。

収益は少数の記事に集中する

成功②のブログには、もうひとつ数字で確認できるメカニズムがある。200記事を書いて、収益が出る記事は「3〜5記事くらいしかありません」。全体の2%前後だ。

つまり200記事は当たり記事を引くための試行回数であり、稼いでいるのは実質的に数本にすぎない。残り195本前後は無駄だったのかというとそうではなく、「他の記事から収益記事に誘導したり」という内部導線の役割を担っている。ここに、サイトのデザイン刷新と有料トラッカーの導入が重ねられて月5万〜10万円が成立している。

さらに、成果地点の設計が効いている。この分野は「オンライン無料体験・カウンセリングの完了」で成果が確定する案件が多く、単価1万〜3万円が無料申込で発生する。月10件の発生に対して確定は3〜5件だから、承認率は3〜5割ということになる。件数を追わなくても単価で稼げる構造が、月5,000PVという小さな流入でも成立させた理由である。

差別化の中身も具体的だ。スクールのメンター経験者として「リアルはそんな甘くない話やスクールの裏側」を書き、市場に溢れる「3ヶ月でエンジニアに!年収100万UP」型の記事の逆を張った。結果として「〇〇しちゃダメ」系の記事が上位に上がった、と本人は説明する。失敗①⑦のブログが「憧れ」と「単価が高そう」だけで始められたのに対し、成功②は書き手の経歴からしか出せない情報を持っていた。

単価には天井と床がある

本人がまとめで示すトレードオフは、ブログ事業の限界を端的に言い当てている。「広告単価の高いものは企業参入が多くて個人では中々勝てない」「広告単価を落とすと企業も少ないので個人が勝ちやすいけど、それほど稼げない」。

失敗①(FX・バイナリー)と⑦(脱毛)はどちらも「単価は高い(1件が数万円)ので、稼げる人は稼げている」と認めたうえで、競合が強すぎて上位に上がらなかったケースだ。⑦についてはYMYL領域で個人には不利という判定も加わる。逆に成功①の物販ブログは「結構ニッチで競合は個人ブログばかりだった」から勝てたが、商品価格1〜1.5万円の10〜20%しか報酬にならず、月1万円で頭打ちになった。勝てる市場は単価が低く、単価が高い市場では勝てない。この挟み撃ちが、8本の失敗の背景にある構造要因である。

成功②が両方を回避できたのは、単価1万〜3万円という高単価帯にありながら、「メンター経験者しか書けない切り口」という参入障壁を個人側が持っていたからだ。ただしそれも永続はしない。本人が売却を選んだ理由は「200記事もあり、今後も1人で仕事終わりの空き時間に記事を書き続けてリライトもしなければいけない」「数年後にはライターが何人もいる企業に負けると思い」というものだった。外注も検討したが、記事の質が変わってサイト価値が下がることを懸念して見送っている。優位が消える前に売る、という判断である。

どこまで真似できるか

再現できるのは考え方の順序だ。作る前に集客とマネタイズの担当を決める。自分にしか書けない・作れない部分があるかを確認する。単価と競合密度の組み合わせで戦う場所を選ぶ。この3点は資本も人脈もなく実行できる。

再現しにくいのは、成功③の「仲間」である。集客を任せられる相手が身近にいるかどうかは努力の外にあり、記事内でも「コロナの影響もあってユーザーを囲えた」と時期要因が併記されている。2020年前後のオンライン学習需要は、いま同じようには存在しない。成功②の高単価も、プログラミングスクール市場が拡大していた局面の産物である。

最後に、本人の総括はかなり冷たい。「個人開発は、収益でない割に時間だけかかります。そういう手間とかを考えれば、正直、業務委託で仕事してる方がよっぽど稼げるはずです」。11本のうち生活を変えたのは1本だけで、その1本も1人では成立していなかった。この事例が提供しているのは成功法則ではなく、勝率の実測値のほうだと受け取るのが正しい。

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出典

本記事は上記の公開情報の要約と独自分析です。 詳細は必ず出典をご確認ください。

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