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約50万円で開業したテイクアウト焼き鳥店。費用内訳9項目と「2ヶ月足らずで回収」の中身

大阪でテイクアウト専門の焼き鳥店を営む店主が、約15年前の開業資金約50万円の内訳を公開した。焼き台5万円、中古冷蔵庫2万円×2台、物件関連22万円など。開業費は2ヶ月足らずで回収し、手取りは月40万円が現実的なラインだという。

執筆: Small Start 編集部(公開情報の要約+独自分析)

約50万円で開業したテイクアウト焼き鳥店。費用内訳9項目と「2ヶ月足らずで回収」の中身

飲食店の開業資金は数百万円から、というのが一般的な相場観である。そこに「50万円で始められる」と書いた現役店主の投稿がある。大阪でテイクアウト専門の焼き鳥店を約15年営む店主が、自身の開業時の費用を項目ごとに公開したものだ。ただし同じ投稿には「誰でもうまくいく商売やない」「適当にやったら普通に潰れます」という但し書きも並ぶ。金額の内訳と、そこから読み取れる構造を整理する。

開業資金の内訳

項目金額
焼き台5万円
冷蔵庫(中古)2万円 × 2台
冷凍庫(ノーブランド品)5万円
作業台冷蔵庫・冷凍庫の上を利用(追加費用なし)
ショーケース(当初は普通のガラスケース)2万円
串・調理器具(ほぼ百均)約3万円
最初の肉の仕入れ2万円
内装(DIY)約5万円
保証金・家賃・不動産手数料など22万円
合計約50万円

金額はいずれも約15年前のもので、店主自身も「今は物価も上がってるから同じ条件ならもう少しかかる」と補足している。それでも「小さく始めるなら、まだまだ現実的な金額」という位置づけである。

内訳を分解すると何が見えるか

合計約50万円のうち、最も大きい単一項目は保証金・家賃・不動産手数料の22万円で、全体の4割強を占める。設備側、つまり焼き台・冷蔵庫2台・冷凍庫・ショーケースの合計は16万円で、うち3台が中古かノーブランド品である。器具は百均中心で約3万円、内装はDIYで約5万円。純粋な「箱」以外の投資は30万円弱に収まっている。

内装が5万円で済んでいるのは、店の造りに理由がある。テイクアウト専門の屋台のような形態であり、客席がない。客席がないということは、内装の見栄え、空調、トイレ、客席分の面積といった費用の発生源をまとめて持たない状態を意味する。飲食業の開業費が膨らむ主因は厨房設備そのものより、客を滞在させるための空間投資であることが多い。この店はその項目を業態選択の段階で消している。

この事例に劇的な転機はない

投稿を読むかぎり、この店には「これで軌道に乗った」と言える一点の出来事は出てこない。むしろ店主は逆のことを書いている。「派手にドーンと儲かる商売やない。コツコツです。一本一本の積み重ね」「商売は続けることが一番大事」。転機があったのではなく、転機を必要としない費用構造をつくったのが実態に近い。

効いたのは二つである。ひとつは業態の選択で、客席を持たないテイクアウト専門にしたことで初期投資と固定費の両方を圧縮した。もうひとつは「中古でええもんは中古」という調達方針で、見栄えに寄与するが機能に寄与しない支出を最初から切っている。冷蔵庫の上を作業台として使う、というのはその典型で、専用什器を買えば数万円かかるものを構成の工夫でゼロにしている。

「2ヶ月足らずで回収」から逆算できること

店主は開業費を「2ヶ月足らずで回収できました」と書いている。ここから素朴に逆算すると、約50万円を2ヶ月弱で戻すには、月あたり25万円強の手残りが必要になる。開業直後からその水準に届いていたことになり、少なくとも立ち上がりの遅さが問題にならない商売だったと読める。

これは低資本開業の本質でもある。回収すべき金額が50万円であれば、月25万円の利益で2ヶ月。同じ利益水準でも初期投資が500万円なら20ヶ月かかる。開業資金を絞ることは、単に用意する現金が少なくて済むという話ではなく、事業が黒字化の判定を下すまでの時間を短くし、判断を間違えたときの損失上限を確定させることに意味がある。この店の場合、最悪でも失うのは50万円と数ヶ月であり、撤退可能な範囲に賭け金が収まっている。

この50万円に含まれていないもの

内訳を額面どおり読むうえで注意したいのは、そこに書かれていない項目である。挙げられている9項目は、設備・器具・最初の仕入れ・内装・物件契約に限られる。飲食店の営業に必要な許認可の手数料、看板や什器の追加、開業後しばらくの家賃と光熱費を賄う運転資金、そして店主自身の生活費は、この50万円の外にある。

つまり50万円は「店が焼き鳥を売れる状態になるまで」の費用であり、「売上が立つまで持ちこたえる」費用ではない。開業費を2ヶ月足らずで回収できたという記述は裏を返せば、その2ヶ月を持ちこたえられる別の原資があったことを意味する。低資本開業の失敗は、設備を買えないことよりも、売上が立つ前に手元の現金が尽きることで起きる。50万円という数字を検討の出発点にするなら、同額かそれ以上の運転資金を別枠で見ておく必要がある、と読むのが妥当だろう。

額面どおりに受け取れない部分

一方で、この投稿は稼げる話としては控えめに書かれている。店主ははっきりと「手取りで月100万円欲しい人には向いてません」と述べ、「40万円くらいなら、ちゃんとやれば十分現実的」と上限に近い線を引いている。さらに「自分はその失敗も経験してます」とあり、15年の営業がすべて順調だったわけではないことも示唆されている。

数字上の制約もある。50万円という金額は約15年前の調達価格であり、設備・食材・不動産のいずれも当時と同水準では揃わない。とくに保証金・家賃・不動産手数料の22万円は地域と物件条件に強く依存する項目で、同じ面積・同じ条件の物件が同じ価格で見つかる保証はない。投稿には売上高、客単価、営業日数、仕入れ原価率といった運営側の数字は記載されておらず、月40万円という手取り水準がどの売上規模で成立しているかは公開されていない。

再現できる部分と、できない部分

移植しやすいのは考え方のほうである。客を滞在させない業態を選んで内装費を消す、機能に効かない設備は中古で揃える、什器は既存のもので代替する。この三点は焼き鳥に限らず、小さく始める実物商売なら業種を問わず適用できる。回収期間を短く設計して撤退ラインを先に決めておく、という発想も同様だ。

再現しにくいのは、店主が15年続けてきたという事実そのものである。常連ができて売上が安定するまでの過程は、投稿では「続けてたら」の一語に圧縮されているが、そこに何ヶ月・何年かかったかは書かれていない。50万円という数字だけを取り出して「誰でも始められる」と読むのは、店主自身が最初に否定している読み方である。低資本で始められることと、続けられることは別の問題として扱ったほうがよい。

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出典

本記事は上記の公開情報の要約と独自分析です。 詳細は必ず出典をご確認ください。

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