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診断アプリ90本・累計820万DLで収益2,000万円。当たるのは2割、外れは2,800DLという量産の実像

診断アプリに特化した個人開発者が4年で90本以上をリリースし、累計820万DL・収益2,000万円超、月間最高160万円を記録。一方でロマンチスト診断5,000DL、ワイルド診断2,800DLなど「うまくいくのは2割」と本人が明かす。

執筆: Small Start 編集部(公開情報の要約+独自分析)

診断アプリ90本・累計820万DLで収益2,000万円。当たるのは2割、外れは2,800DLという量産の実像

個人アプリ開発の収益公開は、当たった1本を軸に語られることが多い。この事例が異質なのは、開発者自身が「うまくいくアプリは2割くらいで、残り8割のアプリはそこまで収益につながりません」と言い切り、外した具体名とダウンロード数まで並べている点にある。診断アプリだけを4年間で90本以上つくった粟田誠一氏(Saaay / Testii)の取材記録である。数字はいずれも2017年12月の取材時点のもので、以降の推移は本人が公開していない。

4年目時点の全体像

項目数値
リリース本数90本以上
累計ダウンロード820万DL
10万DL超のタイトル10本以上
累計収益2,000万円超
月間最高収益160万円
直近の収益性1DLあたり5〜10円
OS比率DLの約90%がAndroid
体制本人1人(イラストのみ外注)

累計収益2,000万円を48ヶ月で均すと月平均は約41.7万円になる。月間最高の160万円は、その平均の約4倍。診断アプリは話題化した月に跳ね、その後は減衰する性質を持つため、この振れ幅自体がビジネスの性格を表している。本人も「月単位では上がったり下がったりしながら、少しずつ収益の基盤が積み上がってきています」と述べている。

数字を突き合わせると、ひとつ注意すべき点が出てくる。「1DLあたり5〜10円」を累計820万DLに適用すると4,100万〜8,200万円になり、実績の2,000万円超と合わない。累計ベースで割り戻すと1DLあたり約2.4円である。つまり5〜10円という数字は本人が明言しているとおり「最近の収益性」であり、初期の低収益期を含む累計には当てはまらない。逆に言えば、同じ本数を出しても収益性は4年で2〜4倍に改善している。

当たりと外れの落差

アプリ結果
動物キャラ診断400〜600万円
戦闘力診断400〜600万円
付き合える度診断約400万円
ロマンチスト診断5,000DL(「絵がうざい」との評)
ワイルド診断2,800DL
完璧主義診断 / 流されやすさ診断 / 面食い度診断伸びず

上位3本の合計は1,200万〜1,600万円。累計2,000万円超の6〜8割を、90本のうち3本が作っている計算になる。一方、失敗の基準も明快で、「1年以内に1万ダウンロードを超えなかったものは、超失敗してしまったアプリ」。ロマンチスト診断の5,000DL、ワイルド診断の2,800DLは、直近の収益性5〜10円で換算しても生涯収益が数万円にとどまる水準である。

決定打は一発ではなかった

この事例に、劇的な転機と呼べる単一の出来事はない。本人が挙げているのは「最初は全然ダメで、半年くらいは『これはやばいな…』という状況がつづいた」という立ち上がりと、そこから抜けた理由である。

アプリをつくり続けるうちに、ユーザーがアプリ間を循環するようになってきて。だんだん新着ランキングにも載るようになりました。

効いたのは本数そのものではなく、本数が閾値を超えたときに発生する相互送客のネットワークである。新作を出すたびに、既存の全アプリで「新作アプリが出たよ」と告知する。90本目のリリースは、89本分のインストールベースに対する同時プロモーションになる。ストアの外で初速を作れるため、新着ランキングに入り、そこから先はオーガニックのダウンロードが乗る。1本ごとに独立した勝負をしているのではなく、既存資産が次の1本の初速を保証する構造だ。

効いている構造を分解する

待ち時間に置いた動画広告。 マネタイズは広告のみで、収益源は診断結果ページのレクタングル広告、時折挟むインタースティシャル広告、そして「診断結果を表示する前」に出る動画インタースティシャル広告の3種。このうち最後のひとつが広告収益の約50%を占める。配置の意味は明確で、結果を待っている瞬間はユーザーの期待値が最大化しており、離脱コストが最も高い。同じ広告フォーマットでも、置く位置によって完視聴率が変わるという典型例である。

テーマの一般性がインストール数を決める。 本人は成功と失敗の分岐をテーマの広さに求めている。「精神年齢診断」は誰でも対象になるが、「完璧主義診断」は自分を完璧主義だと自認している人しか反応しない。母集団の大きさが検索需要とシェア量を規定し、それがそのまま長期のインストール維持につながる。「流されやすさ診断」「面食い度診断」が伸びなかった理由も同じ、テーマを絞りすぎたことにあると振り返っている。

ストアの外に受け皿を置く。 診断を作れるウェブサイトを別途用意し、ユーザーが作成した診断が各アプリ上でも遊べるようにしている。ウェブ版があることでGoogle検索の診断ページとしても拾われ、Twitterでもシェアされやすくなる。アプリ内に閉じない導線をひとつ足すことで、ストア検索以外の流入経路を確保している。

結果の言い換えがシェアを生む。 制作上の要点として挙げられているのは、どんなに嫌な結果でもプラスに感じるよう表現すること。「ネガティブ」なら「慎重」と言い換える。結果画面をSNSに投稿してもらうには、その結果が本人にとって開示可能である必要がある。文章の設計が、そのまま無料露出の量に効く。

外した5本が示すもの

失敗の理由は2種類に分かれる。ワイルド診断の2,800DLは需要側の読み違いで、本人は「診断アプリって、女性ユーザーの方がずっと多いので、そもそもワイルドなんて求められていなかった」と分析している。テーマ選定の段階で結果はほぼ決まっていた。

ロマンチスト診断の5,000DLは別種で、テーマではなく表現の問題だった。レビューに「絵がうざい」と書かれ、そこから伸びなかった。イラストは外注しているため、テイストの当たり外れは制作フローの中で最も制御しにくい部分にあたる。

本数を出す戦略の代償は、この8割にかかる労働が回収されないことである。プログラミングと診断文の執筆はすべて本人が担当しており、外れの1本にも同じ工数がかかる。だからこそ、本人は診断文の執筆ツールを自作して効率化を進め、「文章を書くスピード」を上げることを課題として挙げている。量産型の勝敗は、当たりを引く確率ではなく1本あたりのコストで決まる。

どこまで真似できるか

再現できるのは設計思想の部分だ。1DLあたりの収益単価が読めれば、「ダウンロード数×単価」で企画段階から収益額を概算できる。テーマの一般性という判断基準も事前チェックとして機能する。工程のうち属人性の低いイラストを外注し、企画・実装・執筆という中核を手元に残す切り分けも、個人開発者が取れる形である。

再現しにくいのは、820万DLという既存ユーザー基盤そのものである。相互送客が効くのは、送客元となるアプリ群がすでにある場合に限られる。1本目や2本目に同じ手は使えず、本人が経験した「最初の半年」を耐える必要がある。加えて、ダウンロードの90%をAndroidが占めるという構成は、当時のAndroid市場でカジュアルアプリが新着ランキング経由で拡散しやすかった環境に依存している。取材から時間が経っており、現在も同じ収益性が成立しているかは本人の公開情報からは確認できない。

累計2,000万円という数字は、当たりを引く才能の記録ではなく、8割の失敗を許容できるコスト構造を作った記録として読むほうが正確である。

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出典

本記事は上記の公開情報の要約と独自分析です。 詳細は必ず出典をご確認ください。

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