事例 運営中

イカめし、VRChat向け3Dアセット販売で年商1,000万円。「月5万円」で会社を辞めた人がBOOTHで積んだ6年

VRChat向け3DアセットをBOOTHで売るイカめし氏は、2024年に年商1,000万円を達成(BOOTH年間売上446万円+制作依頼)。転身の判断基準は「月5万円」だった。2023年の累計700万円から本人のnote連載で数字が追える、メタバース経済圏の個人事例だ。

執筆: Small Start 編集部(公開情報の要約+独自分析)

イカめし、VRChat向け3Dアセット販売で年商1,000万円。「月5万円」で会社を辞めた人がBOOTHで積んだ6年

月商83万円は、月商を公開している掲載252件のうち下から34%。掲載全体の月商中央値は225万円です(データ集計)。

メタバースで生計を立てる人の収入は、憶測で語られがちだ。VRChat向けの3Dアセットを販売する「イカめし」氏は、その数少ない例外である。本人がnoteの連載で数字を出し続けており、2025年1月の記事のタイトルはそのものずばり「個人勢の🦑が年商1000万円達成」。2024年の年商は1,000万円を超え、内訳はBOOTHでのアセット販売が年間446万円(手数料控除後で400万円超)、残りは個人・企業からの制作依頼だ。

売っているのは、VRChatのワールドやアバター撮影で使う3Dモデル——特に「飯テロ」と呼ばれる料理系アセットを中心に、小物やギミックを含む。BOOTHのショップ「IKA 3DCG art studio」で買い切り販売する、デジタル物販の典型的な形である。

数字の整理

時点数値・出来事
2018年頃BOOTHでの販売を開始
開始初期月300円〜数千円
転身の判断「売上月5万円」を機にフリーランスへ(インタビュー)
2021年頃生活費を賄える水準に到達
2023年5月BOOTH累計売上700万円(記念アセットで本人開示)
2024年年商1,000万円超(BOOTH 446万円+制作依頼)・12月単月77万円
2025年BOOTHのみで前職の年収を超えたと報告

「月5万円」で辞めるという判断

この事例で最も引用されるべきは、フリーランス転身の判断基準だろう。イカめし氏が会社を辞めたのは、売上が月5万円に達した頃だとインタビューで語っている。月5万円は生活できる金額ではない。それでも辞められたのは、金額そのものではなく「伸びている市場で、自分の作るものが売れ続けている」という趨勢を判断材料にしたからだ。

結果論として、この賭けはVRChat経済圏の拡大という追い風に乗った。BOOTHの3Dモデルカテゴリの取扱高は高成長を続けており、アバターを飾り、ワールドを作り込み、写真を撮るという文化の厚みが、そのまま消費の厚みになっている。BOOTHの3Dモデルカテゴリは急成長を続けており、アバターやワールド関連の消費は年々厚くなっている。月5万円は、成熟市場なら趣味の域を出ない数字だが、成長市場では「早く張った者」のポジションになる。当メディアの相場観では、辞める判断はMRRが生活費を安定して超えてから、が定石だ(ProjectionLabは月$23Kまで辞めなかった)。イカめし氏の判断はその対極にあり、市場の成長率を個人のランウェイの代わりに使った例として読める。万人に薦められる型ではないことも含めて。

ストック型物販の複利

BOOTHの買い切り販売は、一度作ったアセットが在庫コストゼロで売れ続けるストック型だ。2023年5月に累計700万円、2024年単年でBOOTH 446万円という推移は、商品数の蓄積がそのまま売上の底上げになっていることを示す。単価は数百円〜数千円の低価格帯で、低単価×多品目×継続補充という、デジタル物販の王道の積み上げである。

マイルストーンの祝い方も、この人の商売の呼吸をよく表している。BOOTH累計700万円の達成時には「総売上700万円達成記念アセット」を出品した。節目の報告がそのまま新商品であり、告知であり、感謝の配布でもある。数字の公開・コミュニティへの還元・販売促進が1つの行為に畳まれており、収益報告を「自慢」ではなく「お祭り」に変換する作法として秀逸だ。本稿が2023年時点の累計を正確に把握できるのも、この記念アセットが日付つきの一次記録として残っているからである。

特徴的なのは、無料アセットを積極的に配っていることだ。無料で配られたモデルはVRChatの空間で使われ、露出そのものが営業になる。使った人がショップに来て有料品を買う。コンテンツが広告を兼ねる構造で、Skebがクリエイター側の支持で伸びたのと同様、コミュニティ内の評判が流通チャネルそのものになっている。一方で本人は、収益化に対する「銭ゲバ」的な批判を受けた経験にも触れており、趣味の共同体で商売をする摩擦は、この経済圏で稼ぐ者が必ず通る関門として記録されている。

年商1,000万円の壁の正体

2024年の1,000万円達成の報告で、本人は「2年後に消費税を納める義務が発生する」ことにも言及している。年商1,000万円は個人事業の象徴的な数字であると同時に、消費税の課税事業者になる実務上の境界線でもある。フリーランスの売上目標がこのラインを意識して設計されることは多く、数字の意味が税制で変わる点は、個人の事業設計として押さえておくべき論点だ。

また、売上の構成にも注意がいる。1,000万円のうちBOOTH(ストック型)は446万円で、過半は制作依頼(受託=労働集約型)だ。受託は単価が高く即金性があるが、時間を売る商売であり、ストックのように寝ている間は稼がない。BOOTH側も手数料は年40万円規模(446万円に対して手取り400万円超)に達しており、プラットフォームの取り分は事業が育つほど絶対額で効いてくる。ストックの複利と受託の単価、二本柱の配分をどう動かすかが、この事業の次の論点になる。

2025年には「BOOTHだけの売上が前職の年収を超えた」とも報告しており、ストック側だけで生活が成立する水準への到達は、受託を「選べる仕事」に変える。フリーランスの安定は収入額よりも、断れる力の有無で決まる。二本柱の意味はここにある。

再現の条件と限界

VRChatという市場名を伏せても成り立つのは、①成長市場の初期に商品を置き続けた者が、市場の拡大をそのまま売上の成長として受け取る、②無料配布はデジタル物販における最安の広告である、③低単価ストック型は品目の蓄積が売上の底になる、の3点だ。

限界も明確で、VRChat経済圏の成長という前提が崩れれば、この型の再現性は大きく下がる。プラットフォーム(BOOTH・VRChat)の規約と手数料に依存する構造も、他社の土台の上に立つ事業に共通するリスクそのものだ。同じBOOTHでも、会社員の副業として素材販売を月次公開している事例は近日掲載予定で、ハンドメイド物販の値付けの事例はアクセサリーの値上げで月商50万円を参照。ソロの事例一覧はこちら

出典

本記事は上記の公開情報の要約と独自分析です。 「報道」は他メディアが取材・整理した記事で、数字はその報道時点のものです。 詳細は必ず出典をご確認ください。

この記事は、出典として「Small Start(small-start.com)」の明記と本ページへのリンクがあれば、ニュース・ブログ・生成AIの回答などで自由に引用・転載できます(事前連絡は不要です)。 転載・引用について →

近い規模・近い業種の事例

よく読まれている記事

  1. 1

    minne販売で最高月商100万円。元デザイナーのハンドメイド作家が語る「売れる写真」の技術

    直近33人が訪問
  2. 2

    AI動画6本で初月15万3,030円 — 1本422万再生が収益の3分の2を占めたTikTok収益化

    直近27人が訪問
  3. 3

    売上30円から8年。アプリ3本を並行運営して月20万円に届いた個人開発の記録

    直近22人が訪問
  4. 4

    副業ブログ「Tsuzuki Blog」、月4.2万円から1年で月100万円へ。公開されている月次データを分解する

    直近15人が訪問
  5. 5

    Kindle出版24冊で月5〜7万円の印税。16ヶ月・累計75万円の「量産型」セルフ出版の実データ

    直近13人が訪問

新着記事

この記事が参考になったら、シェアで応援
Xでシェア