コラム

オウンドメディアの成功事例5選 — 月100万円のブログから$5.8M売却まで、「稼ぐ・売る・売られる」3つの型

自前のメディアを集客の中心装置にして実数を公開している掲載事例から5件を選んだ。副業ブログの月100万円、購読7.5万人で年商$900Kのニュースレター、LP10枚でMRR $62KのSaaS、リスト30万人の講座、$5.8Mで売れた比較サイト。5件は「オウンドメディア」という同じ言葉の下で、3つの別の商売をしている。

執筆: Small Start 編集部(掲載事例の集計+公開情報の分析)

オウンドメディアの成功事例5選 — 月100万円のブログから$5.8M売却まで、「稼ぐ・売る・売られる」3つの型

副業ブログが開始約1年で月100万円。CrossFit専門ニュースレターが購読7.5万人で年商$900,000。投資サービスの比較サイトが$5.8Mで売却。業態も国も桁も違うこの3つには、共通点が1つだけある。広告枠を買わず、自前のメディアに読者を集め、そのメディア自体を収益の装置にしたことだ。マーケティング用語で言うオウンドメディア(自分で所有するブログ・ニュースレター・サイト)である。

掲載事例のうち、自前のメディアが集客の中心装置で、金額の実数か売却額が公開されているものから5件を選んだ。並べて見えてくるのは、「オウンドメディアで稼ぐ」という一括りの言葉が、実際には少なくとも3つの別の商売を指しているという事実だ。読者のどの瞬間を握るかが違えば、同じ「メディア運営」でも収益の桁と出口が変わる。

5つの事例を同じ枠で並べる

比較のため、「何を発信したか/収益の型/公開されている数字」を揃えて並べる。

事例発信したもの収益の型公開されている数字
Tsuzuki Blog動画配信サービスのレビュー記事①メディアが商品(アフィリエイト)開始約1年で月100万円
Morning Chalk UpCrossFit専門の日刊ニュースレター①メディアが商品(広告・スポンサー)購読7.5万人・開封率70%・年商$900K
Snappa用途別のランディングページ約10枚②メディアは導線(SaaSへ)創業3年でMRR $62K
Proofread Anywhere「校正で稼ぐ」無料コンテンツと講座②メディアは導線(講座へ)→③売却売却時月商$250K〜300K・$4,449,900で売却
Investor Junkie証券会社・投資サービスの比較③メディアが資産(売却)月間30万UU・9年運営・$5.8Mで売却

型①はメディアそのものが商品になる形。読者の注意を広告主に売るか、成果報酬で換金する。型②はメディアを導線として使い、自分の商品(SaaS・講座)を売る形。型③はメディアを資産として仕上げ、事業ごと売る形だ。順に見ていく。

型① メディアが商品 — 読者の「濃さ」が単価になる

Tsuzuki Blogは、IT企業でSEOを担当していた運営者が2019年1月に本格開始した副業ブログだ。100記事の執筆に約500時間を投じ、5ヶ月目の収益は月4.2万円。時給換算で100円に届かない期間を越えて、開始約1年で月100万円に達した。注目すべきは6ヶ月目の内訳で、収益6.9万円のうちASP成果報酬が5.2万円、AdSenseは1.7万円。しかも成果の大半は動画配信サービスを紹介する2〜3本の記事に集中していた。稼いだのはブログ全体ではない。読者が「どのサービスに登録するか」を決める、その数記事である。

Morning Chalk Upは同じ型①でも、成果報酬ではなく広告を売った。元政治スタッフの創業者は2016年の創刊から1年以上、収益化を意図的に封印し、毎朝の配信の質と習慣化だけに投資した。最初の3年はほぼ無休で週5日執筆。その積み上げが購読7.5万人・開封率70%(業界平均の約2倍)という「濃い名簿」を作り、広告とスポンサードコンテンツで年商$900Kに届いた。読者の濃度が広告単価の根拠になる、型①の教科書的な設計だ。

型② メディアは導線 — 読者を広告主に売らず、自分の商品に流す

Snappaは非デザイナー向け画像作成SaaSで、ローンチ後の約1年は汎用的なブログ記事を書いて成長が止まっていた。転機はキーワード調査で「twitter header template」のような用途の検索を見つけたこと。「画像作成ツール」を探す人ではなく「Twitterのヘッダーを作りたい」人に向けて、用途別のランディングページを約10枚作り、被リンクを集めて上位表示させた。このLP群だけでMRRは$45Kまで積み上がり、創業3年で$62Kに達した。メディアと呼ぶには小さな10枚だが、役割は完全にオウンドメディアである。検索する読者の悩みを受け止め、その解決手段として自社製品を差し出す。

Proofread Anywhereは「校正(プルーフリーディング)で在宅で稼ぐ方法」を教える講座事業で、無料コンテンツと無料ワークショップを入口に、メールリスト30万人超・累計受講者1.5万人を積み上げた。売却時の月商は$250,000〜300,000。型①と比べると構造の違いが分かる。読者1人あたりの回収額は、広告クリックの数円ではなく、講座受講という数百ドル単位の決断で決まる。導線型は、読者の悩みと自社商品が1対1で噛み合ったときに、型①より桁の大きい回収を可能にする。

型③ メディアが資産 — $5.8Mで売れて、$1.3Mで手放された

Investor Junkieは元エンジニアが2009年に立ち上げた投資サービス比較サイトで、9年間、記事を1本も外注せずに書き続けた。売却時点で月間30万UU、流入の8割が検索、従業員は5人未満。2018年、上場アフィリエイト企業XLMediaが$5.8Mで買収した。読者が「どこで口座を開くか」を決める瞬間を握る金融ジャンルの単価と、創業者が抜けても回る検索資産という形が、この値段を成立させた。

この事例が貴重なのは続きまで公開されていることだ。買収から5年後の2023年、XLMediaは本サイトを含む個人金融サイト群を$1.3Mで転売した。資産としてのメディアの値段は「これからも同じように稼ぐ」という前提の上に立っており、検索アルゴリズムと市場の変化で前提ごと崩れる。売る側にとっての成功事例は、買う側にとっての減価の実測値でもある。

5件に共通するのは、読者が「決める瞬間」との距離

5件を分けたのは型だが、収益の桁を決めていた変数は共通している。読者の数ではない。読者が財布に関わる何かを決める瞬間に、そのメディアがどれだけ近いかだ。

PVと収益が比例しない実測がある。クラシキログは月間12万PVで月15万円。Tsuzuki Blogは6ヶ月目、その6分の1の約2.1万PVで月6.9万円を稼いでいた。PVあたりの収益は3倍近く違う。差は記事の質の優劣ではなく、「どのVODに登録するか」という決定の直前に立つ記事を持っていたかどうかにある。Investor Junkieの月30万UUが$5.8Mになったのも、口座開設という金融機関にとって顧客獲得そのものの瞬間を握っていたからで、Snappaの10枚のLPも「今からTwitterのヘッダーを作る」人だけを受け止めていた。Morning Chalk Upが購読7.5万人という規模で年商$900Kに留まるのは、習慣は握っても決定の瞬間は広告主に委ねる型だからだ。そのぶん同社は、開封率70%という濃度で単価を守った。

同じ型①の中でも、規模の幅は実数の階段で見える。月15万円のクラシキログ、月100万円のTsuzuki Blog、そして複数サイト合計で最高月1,000万円超のヒトデ氏。1つのメディアの検索需要には天井があり、最上段はサイトのポートフォリオ化で天井を積み増した結果である。

この5件を選んだ理由と、外側にある限界

5件は「自前メディアが集客の中心装置」「金額の実数か売却額が公開されている」「型の違いが見えること」を基準に編集部が選んだ。n=5の恣意的な選択なので、この5件から中央値や平均は出さない。母集団の集計はデータ集計集客チャネル別の月商中央値に譲る。

生存者バイアスも明記しておく。数字を公開するのは成立したメディアの側で、更新が止まったオウンドメディアは記録を残さない。そして成立した側にも脆さの証言はある。同じ対談で累計5億円のブロガーが「Googleアップデートで8割の記事が下がった」と語り、年収は1億円超から3,000万円に落ちた。Investor Junkieの買い手は$5.8Mの資産価値の大半を5年で失った。検索という単一の外部変数に収益が従属する構造は、5件のうち4件に共通する前提であり、この前提はAI検索の普及でいままさに動いている。

再現の条件を、事実の記述として3行に開いておく。

  • 型①(広告・アフィリエイト)で桁が上がるのは、金額の大きい決定(金融・高単価サービスの契約)の直前に立つ記事を握っているときだけ
  • 型②(導線)が機能するのは、読者の悩みと自社商品の用途が1対1で対応しているときだけ(Snappaの用途検索、Proofread Anywhereの「稼げるスキル」)
  • 型③(売却)が成立するのは、創業者が抜けても集客が回る形(検索資産・少人数運用)に仕上がっているときだけ

一方で、Tsuzuki BlogとSnappaの立ち上げはAI検索普及前のSEO環境の話であり、Morning Chalk Upの「収益化を1年封印する」には生活費を賄う別の原資が要る。型は参照できても、時期と前提条件は各記事の本文で必ず確かめてほしい。

出典

本記事は上記の公開情報の要約と独自分析です。 詳細は必ず出典をご確認ください。

本コラムは、Small Startに掲載している事例(すべて出典付きの公開情報)の集計と、公開情報の分析にもとづく編集部の見解です。特定の事業・投資・副業を推奨するものではありません。

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