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Why We Buy、購読者は1.4倍、売上は3.3倍——2024年に年商1.5億円へ届いた構造

マーケター向けニュースレター「Why We Buy」は購読者5万人・年商30万ドルから、購読者7万人弱・年商ほぼ100万ドルへ。購読者1.4倍に対し売上3.3倍という伸び方の内訳を検証する。

執筆: Small Start 編集部(公開情報の要約+独自分析)

Why We Buy、購読者は1.4倍、売上は3.3倍——2024年に年商1.5億円へ届いた構造

月商1,250万円は、月商を公開している掲載227件のうち上位15%。掲載全体の月商中央値は157万円です(データ集計)。

購読者を増やせば売上が増える、という前提が崩れている事例である。カナダのKatelyn Bourgoin氏が運営するマーケター向けニュースレター「Why We Buy」は、2023年から2024年にかけて購読者を約1.4倍にした一方で、売上を3倍以上に伸ばしている。

数字の並びを先に確認する

時期指標数値
2021年12月X(当時Twitter)フォロワー他者の紹介投稿を機に24時間で1万人増、24,000人→40,000人超
2023年6月購読者約50,000人
2023年年間売上約30万ドル(約4,500万円)
2023年時点スポンサー収入月約2.5万ドル/1枠2,500〜3,100ドル×月8〜10枠
2024年年間売上ほぼ100万ドル(約1.5億円)
2025年時点購読者70,000人に接近
2023年時点ソーシャル総フォロワーX・LinkedIn合計17万人超(総オーディエンス22万人)

frontmatterの月商は年商100万ドルを12で割った単純な平均値であり、実際の月次売上はこの後に述べる理由で大きく上下する。

割り算をすると輪郭が見えてくる。2023年は購読者1人あたり年間約6.0ドル、2024年は約14.3ドル。購読者数の増加は1.4倍にとどまるのに対し、1人あたりの売上は2.4倍になっている。伸びの大半はリストの拡大ではなく、既存の読者からの回収率の変化で説明される。

何を売っている媒体なのか

「Why We Buy」は「人はなぜ買うのか」という購買心理を扱うニュースレターで、火曜と金曜の週2回配信されている。読者として想定されているのは市場調査の専門家ではなく、現場のマーケターである。心理学の込み入った概念を、そのまま明日使える例に翻訳して届けるのが編集方針であり、本人は「ニュースレターに書くトピックの多くは、配信の数週間前に学んだものです。公開の場で学びながら、読者と一緒に学んでいます」と語っている。

収益源は大きく三つある。ニュースレターのスポンサー枠、デジタル商品(Clarity Call Cheatsheets、Golden Nugget Review Mining Systemなど)、そして単価の高い個別相談(一般販売価格750ドルのホットシートコールなど)である。Demand CurveのNeal O’Grady氏と組んだ「Un-Ignorable Challenge」は、127枠が6分で完売している。

売上が3倍になった年に起きていたこと

このメディアには、軌道を変えた出来事が二つある。時期も性質も異なるので分けて見る必要がある。

一つ目はオーディエンスの転機で、2021年12月に訪れている。Amanda Natividad氏が「フォローすべきアカウント」としてKatelyn氏を紹介した投稿がきっかけで、24時間に1万人のフォロワーが増加。12月から翌1月にかけてフォロワーは24,000人から40,000人超へ動いた。ここで作られた分母が、その後のメール購読者の供給源になっている。

二つ目が本稿の主題である収益の転機で、こちらは単一の出来事ではない。2023年から2024年にかけての売上3倍超は、施策を足した結果ではなく、絞った結果として説明されている。本人の言葉としてまとめられているのは「より少ないほうが多い」——成功の鍵は、やることを増やすことではなく、機能するものに集中して残りを切ったことだった、という趣旨である。

具体的に効いた打ち手として挙がっているのが、フラッシュセールの活用と読者セグメンテーションだ。フラッシュセールは短期集中の販売企画で、これによって収益の月次のばらつきを平準化していると説明されている。セグメンテーションは、リスト全体に同じ案内を送るのではなく、対象を絞って売るための前提条件である。

なぜ「絞る」と売上が上がるのか

構造として理解しておきたいのは、スポンサー収入には天井がある一方、商品売上にはないという非対称性である。

2023年時点のスポンサー収入は月約2.5万ドル、単純に12倍すれば年約30万ドルとなり、この年の年間売上とほぼ同じ規模になる。週2回配信で月8〜10枠という物理的な上限がある以上、この収入を倍にするには枠を倍にするか単価を倍にするしかない。枠を増やせば読者体験が劣化し、単価は購読者数と読者の質に縛られる。つまりスポンサー中心の構造のままでは、2024年の伸びは説明できない。

自社商品とフラッシュセールが担ったのはこの部分である。同じ7万人のリストに対して、誰に何をいつ売るかを設計し直せば、配信枠を増やさずに1人あたりの売上を引き上げられる。1人あたり6.0ドルから14.3ドルへの変化は、まさにこの回収設計の差である。

「やることを減らす」が売上増につながる理屈も同じ線上にある。個人規模のメディアで最も希少な資源は書き手の時間であり、チャネルや商品を増やすほど、一つあたりに割ける設計の密度は下がる。効いているものだけを残せば、残った施策の実行品質が上がる。購読者の伸びが1.4倍で頭打ちに見えるのは、拡大よりも回収に資源を振り替えた結果と読むのが自然である。

この事例が示していないこと

注意すべきは、公開されている情報が結果側に偏っている点だ。売上の内訳(スポンサー、デジタル商品、コンサルティングの構成比)は明示されておらず、2024年の100万ドルのうちどれだけがフラッシュセールによるものかは特定できない。フラッシュセールが「ばらつきを平準化する」と説明されている一方、短期集中販売はリストの疲弊を招きやすく、頻度を上げすぎたときの反動については語られていない。

Friyayと名付けられたゲーム性のあるニュースレターの実験も進行中とされるが、これは成果指標を測定している段階であり、成功事例として数えられる状態にはない。

そして最大の留保は、この売上が2021年12月の偶発的な露出の上に成り立っていることである。他者の1投稿で24時間に1万人が増えるという出来事は、狙って再現できるものではない。X・LinkedIn合計17万人超というフォロワー基盤があるからこそ、週2回の配信枠に1枠2,500〜3,100ドルの値段がつく。

再現できる部分と、できない部分

移植可能なのは回収側の設計である。リストの規模を追うのをいったん止め、既存読者1人あたりの年間売上を指標に置き換えること。スポンサー枠という上限のある収入と、上限のない自社商品を意識的に併走させること。全員に同じ案内を送らず、対象を絞って売ること。この三つは、購読者数千人規模でも実行できる。

読者の推薦投稿をスクリーンショットして配信日の前後に再投稿する、登録時には特典に触れず歓迎メールで初めて「贈り物」の存在を伝えて返信を促す、といった細かい運用も、規模に依存しない部類の工夫である。

再現しにくいのは前提条件のほうだ。Katelyn氏は4度の起業経験を持ち、女性向けソフトウェアで300件以上の顧客インタビューを実施しながら失敗して事業を畳んでいる。「顧客心理を教える」という商品は、その失敗そのものを原資にしている。加えてブランディング・PRエージェンシーの運営経験があり、紫と黄色で統一されたビジュアルの一貫性はその蓄積の上にある。B2Bマーケターという読者層がスポンサー単価の高いニッチである点も、そのまま他ジャンルに当てはめられる条件ではない。

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  • PDF.ai(Damon Chen) — 公開の場で作りながら読者を集める手法を数字で追った事例。

出典

本記事は上記の公開情報の要約と独自分析です。 詳細は必ず出典をご確認ください。

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