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売上金5万円を全額広告に。ハンドメイド作家の月商が7万→59万→最高200万円になるまで

40代シングルマザーのアクセサリー作家するめ氏は、Creemaに溜まっていた売上金5万円を全額プロモーション広告に投じ、月商7万→14万→29万→59万円と倍増させた。最高月商200万円、直近も3ヶ月連続100万円超。

執筆: Small Start 編集部(公開情報の要約+独自分析)

売上金5万円を全額広告に。ハンドメイド作家の月商が7万→59万→最高200万円になるまで

月商100万円は、月商を公開している掲載227件のうち下から41%。掲載全体の月商中央値は157万円です(データ集計)。

数ヶ月に1個しか売れなかった作家

ハンドメイド販売の話は、しばしば「センスがあるかどうか」に回収されて終わる。だがCreemaとminneでアクセサリーを売るするめ氏(ブランド名 andstory)が自身のnoteに記録しているのは、それとは別の変数だ。40代シングルマザー、作家歴9年目。Creemaのフォロワーは22,000人を超え、2025年6月から8月までは3ヶ月連続でCreemaでの売上が100万円を上回った。

ただし、この数字に至る前の彼女の作品は「数ヶ月に1個売れるかどうか」で、月の売上は0円から数千円の間を漂っていた。落差を埋めたのは制作技術の向上でもSNSのバズでもない。2018年10月に、手元にあった5万円の使い道を変えた一度の判断である。

公開されている数字

時期売上・指標
2018年10月以前数ヶ月に1個。月商0円〜数千円
2018年10月(広告開始月)月商7万円
翌月14万円
その翌月29万円
開始3ヶ月後59万円
翌年年商1,000万円
ピーク(コロナ流行前)最高月商200万円
2025年6〜8月3ヶ月連続で月商100万円超
フォロワーCreema 22,000人超 / minne 1,300人

売っているもの、売っている場所

商材はハンドメイドのアクセサリー。販路はCreemaが主軸、minneが従で、7年前からこの収入だけで生活している。特徴的なのは集客経路の狭さだ。本人はSNSを「苦手」であり「諦めている」と明言しており、施策はほぼすべてCreemaというプラットフォームの内側で完結している。

つまりこの事業の売上は、Creema内でどれだけ露出を取れるかにほぼ全依存する構造になっている。この一点を押さえておかないと、次に述べる転機の意味が読めない。

潮目が変わったのは、5万円の使い道を変えた日

2018年10月、Creemaが「作品プロモーション」の提供を開始した。広告費を支払うと、その作品に興味を持ちそうな閲覧者に対して優先的に表示される仕組みである。するめ氏はリリースを知ると、Creemaに溜まっていた売上金5万円を全額この広告に投じた。当時の月商が数千円規模だったことを踏まえると、十数ヶ月分の売上に相当する額を一度に賭けた計算になる。

この判断の前提には、彼女なりの原因の切り分けがあった。売れている作家の作品と自分の作品を見比べても、品質に決定的な差はない。ならば売れない理由は品質ではなく、作品が誰にも見られていないことだ。という見立てである。

見立ては、当時のCreemaの表示ロジックと整合していた。人気作品・売れている作品が優先表示される設計のもとでは、売れていない作家は露出を得られず、露出がないから売れない、という循環に閉じ込められる。特集への掲載は運任せで、狙って取れるものではない。作品プロモーションは、その「優先表示される位置」を、実績の代わりに現金で買えるようにした商品だった。だから彼女は、リリース直後に全額を入れた。

なぜ倍々で伸びたのか

7万→14万→29万→59万。広告費に比例して線形に増えたのではなく、明確に加速度がついている。ここで働いていたのは、広告そのものの直接効果ではなく、その先に連鎖する評価のループだ。

第一に、広告で閲覧数が増える。第二に、閲覧が増えればお気に入りと購入が増える。第三に、その作品はアルゴリズム上で急上昇・人気作品として扱われ、広告枠の外でも上位に出るようになる。第四に、上位に出ている作品は運営の特集に拾われやすくなる。第五に、特集掲載でさらに閲覧と購入が積み上がり、最初のステップに戻る。

この連鎖が回り始めると、広告費は「販売を買う支出」ではなく「アルゴリズムの評価を起動する着火剤」に変わる。一度火がつけば、以後の露出はプラットフォーム側が無償で供給してくれるからだ。実際、初の特集掲載を境に「毎月、いや毎週のように」特集に載るようになり、2023年1月・6月・7月、2024年1月、2025年7月にはバナー掲載も受けている。

広告の費用対効果を出稿月の回収率だけで測っていたら、この構造は見えない。5万円が買ったのは初月の7万円ではなく、その後に無償で流れ込む露出の権利だった、と読むほうが数字の形に合う。

好調だけを見ると読み違える部分

同じ構造は、上がるときと同じ速さで下がる方向にも働く。ピークの最高月商200万円はコロナ流行前の記録であり、直近の3ヶ月連続100万円超という数字はそこには届いていない。低下の原因を本人が明示していない以上、断定はできない。ただし、売上がプラットフォーム内の露出配分に依存している以上、アルゴリズムの変更も、特集編成の方針も、競合作家の広告出稿量の増加も、すべて直接売上に跳ね返る位置にある。

SNSも自社ECも持たないという選択は、限られた時間を一箇所に集中させる強さと引き換えに、代替経路のない脆さを抱え込む。作家歴9年目の現在も、本人が毎日何十回もCreemaを開いてアクセスを分析し続けていると書いているのは、その脆さの裏返しだろう。

もう一点、検証上の限界も明記しておく。このnoteは無料公開部分であり、トップ画像の作り方・作品タイトルと説明文・価格設定・プロモーション費用の配分といった実行部分は有料記事として予告されている段階だ。したがって公開情報から確認できるのは「広告を起点にアルゴリズムを動かした」という構造までで、広告費を月いくらまで積み増したのか、粗利率がどうだったのかは分からない。月商200万円がそのまま手取りを意味しないことには注意がいる。

持ち帰れる部分と、持ち帰れない部分

持ち帰れるのは、原因の切り分け方だ。売れない理由を作品の質に求めるのではなく、露出の量に求める。マーケットプレイスの露出は基本的に販売実績の関数であり、新規の出品者は構造的に不利な位置から始まる。その不利を、実績が積み上がるのを待つのではなく費用で外部化できるかを検討する。この発想自体は、Creemaに限らずAmazonでもEtsyでも成立する。

持ち帰りにくいのは、まずタイミングである。2018年10月は作品プロモーションが始まった直後で、出稿する作家がまだ少なかった。広告は競りである以上、同じ5万円が同じ露出を買える保証はない。

もうひとつは、売上金の全額を広告に入れられるという条件だ。5万円が生活費なら賭けられない。彼女の場合はプラットフォームに預けたままの残高であり、失っても即座に生活が壊れる性質の金ではなかった。「全額を一点に投じた」という決断の派手さだけを模倣すると、本質を取り違える。効いたのは金額の大きさではなく、循環を断ち切るために必要な最小の露出量を、一度でまとめて確保したことのほうだ。

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出典

本記事は上記の公開情報の要約と独自分析です。 詳細は必ず出典をご確認ください。

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