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年商$8Mの前事業がプラットフォームの仕様変更で消えた。3社目で月商$167,000に戻すまで

自己資金で年商$8Mまで伸ばしたShopify向け決済サービスが、Shopifyのチェックアウト閉鎖で立ち行かなくなった。同じ創業者の3社目「Zipchat」は月商$167,000、月70万件の会話を処理している。

執筆: Small Start 編集部(公開情報の要約+独自分析)

年商$8Mの前事業がプラットフォームの仕様変更で消えた。3社目で月商$167,000に戻すまで

月商2,505万円は、月商を公開している掲載227件のうち上位7%。掲載全体の月商中央値は157万円です(データ集計)。

自己資金だけで年商$8,000,000まで伸ばした事業が、プラットフォーム側の一手で立ち行かなくなる。その当事者が次に建てた事業が、いま月商$167,000に達している。

ブルガリア・ソフィアを拠点とするRuslan Leteyski氏がIndie Hackersに公開した記録を読む。同じ人物が同じエコシステムの中で、失って、作り直している。

一夜で土台が消えるということ

最初の事業は「Checkout X」。Shopifyストア向けの決済まわりのサービスで、外部資金を入れずに年商$8Mまで到達した。終わり方は本人の説明では「Shopifyがチェックアウトを閉じたときに畳んだ」。プラットフォームが決済導線を外部に開かない方向へ舵を切った時点で、事業の前提そのものが失われている。

売上が落ちたのではなく、その商売が成立する条件が消えた。**競合に負けたわけでも、需要がなくなったわけでもない。**エコシステムの中で商売をする以上、この種の終わり方は常に確率として存在する。

その後、Shopifyアプリ「Vanga AI」で小規模な売却(マイクロイグジット)を経験している。金額は公開されていない。

同じ構図は、Appleにアカウントを凍結され売上が75%減ったあと、アプリ30本の量産で月$60,000まで戻した事例にも見られる。プラットフォームの一存で数字が消えるとき、戻す手段は「同じ場所でやり直す」か「場所を分散する」かのどちらかになる。Leteyski氏は前者を選んでいる。

3社目の現在地

項目内容
月商$167,000
年商換算$2Mに接近
処理会話数月70万件
成長率週次で約10%(本人申告)
課金方式AIの応答数に連動した従量課金
体制共同創業者3人 + 採用
資本外部株主なし。レベニューベースファイナンス(売上連動の融資)を利用

Zipchatは、ECサイト向けのAI販売エージェントである。サイト上のチャットから導入し、そこから検索、商品ページ、SNS、メールへと接点を広げていく「まず1点で入って横に広げる」型の設計になっている。

週10%という数字の読み方

週次10%成長は、そのまま複利で伸ばすと13週(約1四半期)で約3.45倍、52週で約142倍になる。月商$167,000が1年後に$2,300万を超える計算だが、当然そうはならない。この種の成長率は、母数が小さい時期か、特定の施策が効いている短い期間にしか成立しない。

本人がこの数字をどの期間について述べているかは書かれていない。「現在進行形で伸びている」という定性情報として受け取り、将来値を掛け算しないのが正しい扱いである。

月$20,000の赤字を1年続けた

数字の中で最も具体的なのは、この部分だ。黒字化するまでの約1年間、月$20,000の赤字を出し続けている。年額にすると$240,000を自己資金から溶かしたことになる。

そのうえで、**MRRが$50,000に届くまで採用をしていない。**赤字を出しながら人を増やさない、という順序が明示されている。前事業で年商$8Mを経験した人物が、次の事業では黒字化まで人を増やさなかった、という点は読み落とさないほうがいい。

黒字化後は、株式ではなく売上連動の融資(レベニューベースファイナンス)で資金を入れている。希薄化を避けたまま資金だけ調達する形で、返済原資が売上そのものになるため、伸びが止まった瞬間に重くなる性質を持つ。

集客を1本に絞らない

挙げられているチャネルは以下のとおりで、「これが効いた」という単一の答えは示されていない。

YouTubeチャンネル、創業者3人それぞれのXとLinkedInでの発信、LLMに引用されることを狙ったSEO(いわゆるGEO)、他アプリとの連携・パートナーシップ、ShopifyアプリストアのASO(専門コンサルを起用)、購入データを使った月100万通以上のコールドメール、AppSumo、Facebook広告、Google広告、カンファレンス出展。

本人の姿勢は「効くかもしれないなら試す」であり、チャネル選定というより総当たりに近い。競合が100社単位で存在する市場では、どこか1か所を押さえるより面で取るほうが合理的、という判断だと読める。

ただし月100万通のコールドメールについては、購入データを使うと明示されている。日本の特定電子メール法や欧州のGDPRの下で同じことをすると別の論点が生じるため、この部分は手法としてそのまま持ち帰れない。

100社が同じものを作っている市場

本人は自社の領域を「現代で最も創造性のないビジネスアイデア」と表現している。Shopifyアプリストアだけで100社以上の競合が新たに現れ、世界では数千社が同じことをやっている。

にもかかわらず月商$167,000が成立しているのは、プラットフォームのエコシステム内で創業し、本体に買収された21歳2人組の事例と同じで、流通経路がすでに整っている場所では、独自性より到達可能性のほうが効くからである。アプリストアに並ぶこと自体が販路になる。

本人の教訓も同じ方向を向いている。「アイデアではなく、アイデアの空間を選べ」。ひとつの着想に賭けるのではなく、需要が継続的に発生する領域に居座って学び続ける、という言い方をしている。

掲載事例の中での位置

月商$167,000は、本メディアが月商を公開している掲載事例の中央値の16倍以上にあたり、上位1割に入る。SaaS事例に限った中央値と比べても3倍である。Shopifyアプリ2本をShop Circleへ売却したOrder Taggerのように、この市場は出口も整備されている。

再現の条件と限界

プラットフォームの名前を入れ替えても残る教訓は、依存する事業は「終わり方」を事前に織り込む必要があるという点だ。Checkout Xは競争に負けていない。それでも消えた。同じ場所で3社目を建てているLeteyski氏は、そのリスクを承知のうえで、同じ場所の流通力を選び直している。

もうひとつは、赤字期間の長さと採用の順序である。月$20,000を1年出し続けられたのは、前事業で得た資金があったからだと推測できるが、その原資の出どころは公開されていない。ここが欠けている以上、「1年赤字に耐える」という部分だけを取り出しても意味がない。

公開されていない項目は多い。顧客数、単価、解約率、粗利率、レベニューベースファイナンスの調達額と条件、3人の持分。判明しているのは売上と会話数と成長率だけで、事業の健全性を判断する材料は揃っていない。この記録は、失った経験を持つ人物が同じ市場で再度上位に戻れた、という事実の記録として読むのが正確である。

出典

本記事は上記の公開情報の要約と独自分析です。 詳細は必ず出典をご確認ください。

この記事は、出典として「Small Start(small-start.com)」の明記と本ページへのリンクがあれば、ニュース・ブログ・生成AIの回答などで自由に引用・転載できます(事前連絡は不要です)。 転載・引用について →

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