Post Bridge、4年間の空振りの末に1年半でMRR $35K。動画2,000本で外し続けた人の「当て方」と公開ダッシュボード
Tシャツ・アフィリエイト・動画2,000本・初アプリと4年外し続けたJack Friks氏が、SNS一括投稿ツールPost Bridgeを2024年末に公開。1年半でMRR $35K。収益はライブ公開され、$1Mの買収オファーは断った。
執筆: Small Start 編集部(公開情報の要約+独自分析)
月商525万円は、月商を公開している掲載227件のうち上位34%。掲載全体の月商中央値は157万円です(データ集計)。
成功したソロプレナーの記録は、たいてい成功の1年だけが語られる。Jack Friks氏の場合、その前に4年分の失敗のリストが本人の手で公開されている。Tシャツのプリントオンデマンド、アフィリエイトのブログ記事、2年弱で2,000本を超えるYouTube動画、儲けて溶かした暗号資産、そして1年かけて月$3,000で頭打ちになった最初のスマホアプリ。
Post Bridgeはその後に来た。複数のSNSに予約投稿・クロスポストを一括でさばく地味なツールで、2024年末の公開から1年半、2026年6月時点でMRR $35,000(5万カナダドル)。今回も彼は数字を隠さず、収益は外部サービスのダッシュボードでリアルタイムに公開されている。
数字の整理
| 項目 | 数値(出典時点) |
|---|---|
| MRR | $35K・5万カナダドル(2026年6月) |
| 公開 | 2024年末(MVPは約1ヶ月で構築) |
| 体制 | 1人(必要時のみ外注) |
| 停滞期 | 8ヶ月間成長なし→直近6ヶ月でMRR倍増 |
| 2025年4月の月次内訳 | 全事業$22,690(Post Bridge $19.7K・X収益$1.3K・Curiosity Quench $1.5K他) |
| 買収オファー | $1M(2025年4月・拒否) |
4年分の空振りが作った一撃
Post Bridgeの起点は、Friks氏自身の作業の痛みだ。動画2,000本を各SNSへ手作業で配り続けた人間にとって、「全SNSに一括投稿」は他人の課題ではなく自分の請求書である。4年間の空振りは収益こそ生まなかったが、①課題の実在を自分で保証できるテーマ②TikTokとXで培った配布の腕③1ヶ月でMVPを出す速度、という3つの資産に変わっていた。
4年の内訳を数字で見ると、最初のアプリには1年を投じて月$3,000未満で頭打ち、YouTubeには2年弱で2,000本を投じている。1日3本ペースの投稿を2年続けて外した人間は、「どの動画が伸びないか」のデータベースを2,000件持っている。この失敗の在庫が、Post Bridgeの検証段階で効いた。作る前にTikTokでモックアップ(画像はChatGPTで生成)への反応を確かめ、需要を見てから1ヶ月でMVPを組んでいる。
配布はコンテンツ一本槍である。TikTokでの検証と日次の進捗動画、Xでのバズ投稿、当たったフォーマットの使い回し。広告は使わず、自分がツールのユースケースそのもの(毎日全SNSに投稿する人)として露出し続けることが営業になっている。プロダクトと配布が同じ行為に畳まれている点で、Tallyの「利用が配布になる」構造の個人版といえる。
無料プランを置かないという選択
価格設計は強気だ。無料プランはなく、トライアルにもクレジットカードの登録を要求する。SNSツールは無料ユーザーがAPIコストだけ消費して去りやすいジャンルで、Friks氏はそれを最初から締め出した。インフラ側でも、Supabaseのデータ転送で月$1,000かかっていた画像配信をCloudflare R2に移して$0にするなど、ソロの損益に効く場所を執拗に削っている。
8ヶ月の水平線と、ライブ公開という営業装置
成長曲線はきれいではない。途中には8ヶ月間MRRがまったく伸びない水平線があり、その後の6ヶ月で倍増して$35Kに達した。停滞期にやっていたことは、派手な打ち手ではなく、上述のコスト削減と日次の配布の継続である。ソロの停滞は資金が燃える停滞ではない。固定費を削り切ってあれば、水平線は「待てる」。この点で、解約率の天井に張り付いたScreenshotOneと同じく、停滞と失敗を区別して読む必要がある。
収益をtrustmrrのダッシュボードでライブ公開しているのも、透明性の趣味ではなく営業装置だ。Stripe連携で第三者が検証できる形の実額は、「このツールの作者は本当にSNS運用で食えている」という何よりの実演になる。SNS運用ツールを売る人間にとって、自分の数字こそ最強のデモである。
2025年4月のX投稿では、全事業の月次内訳($22,690=Post Bridge $19.7K、X収益$1.3K、Curiosity Quench $1.5K、他)まで開示した。主力への集中度87%。同じ投稿で$1Mの買収オファーを断ったことも明かしている。当時の月次収益の約44ヶ月分。売却倍率の相場に照らせば妥当な水準のオファーだったが、直後にMRRは倍増しており、結果論としては断って正解だった。
リスクと限界
Post Bridgeの土台は各SNSの公式APIであり、Gmailの中に住むGMassと同型のプラットフォーム依存リスクを抱える。X・TikTok・InstagramのAPI価格や規約が変われば、原価も機能も一晩で変わる。また「SNS一括投稿」は参入障壁が薄く、同種ツールは常に量産されている。Friks氏の差別化は機能ではなく、本人の配布力と公開経営への信頼で成り立っており、これは属人性そのものでもある。ツールの模倣は簡単だが、フォロワーと4年分の物語は模倣できない。強みと売却時の弱みが同じ場所にある。
再現の条件と限界
この事例が示すのは、空振りの累積が無駄になっていないことの具体的な形だ。①自分の作業の痛みから作る(課題検証が不要になる)②配布のスキルを先に持ってからプロダクトを作る(逆順は4年かかる)③無料で配る体力がないソロは、最初から払う客だけを相手にする。ただし、Friks氏の「日次動画を出し続ける」配布は誰にでも続けられるものではなく、この型の再現コストは見た目より高い。同じくコンテンツで受け皿を作った事例として7年分の蓄積がMint終了で換金されたLunch Money、対照的に検索一本で立ったものとしてSnappaを参照。
ソロ・副業の月商分布はこちらのコラム、ソロプレナーの事例一覧も参照。
出典
- 本人公開創業者Jack Friks氏の投稿「Hitting $35k MRR after struggling to make money online for four years」(Indie Hackers、2026年6月17日)
- 本人公開Jack Friks氏のX投稿(2025年4月、月次収益の内訳と$1M買収オファーの言及)
- 本人公開trustmrr(Friks氏の各プロダクトの収益をライブ表示する公開ダッシュボード)
本記事は上記の公開情報の要約と独自分析です。 詳細は必ず出典をご確認ください。
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